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2024年はATLUSの年だった(2024年振り返り)

ゲームの話です。ひょんなことからPS5を入手しまして、昨年から本格的に環境を整えて使い始めました。で、たまたまATLUSの新作ラッシュだったんですよね。一年を通してほぼATLUSゲームをやっていました(その分音楽聴く時間が減った…)。基本的に音楽のことしか書かないブログですが、今回はゲームの話(少しゲーム音楽の話も)を書こうと思います。

まず、昨年のATLUSのリリースを振り返ります。

2月 ペルソナ3 リロード
3月 ユニコーンオーバーロード
6月 真・女神転生Ⅴ Vengence
9月 ペルソナ3 エピソードアイギス
10月 メタファー:リファンタジオ

…出しすぎ! 全部やりましたよ。多少順番は前後しましたけど、全クリしました。なので時々メタル史にも女神転生のネタが出てきたりしたんですね。Venomのアバドンと言われてもこっちしか浮かばない。

僕はメタルとワールドミュージックが好きなんですが、どちらも「自分にとっての幻想世界」に連れて行ってくれるから好きなんですよね。ワールドミュージックは幻想ではなく実在する世界なんですけど、行ったことがない異国はある意味ファンタジー。もちろん、そこにはシリアスな問題も多々ある(ウクライナやイスラエルやロシアの体制に反抗する音楽は今や切実な響きを持っている)わけですけれど、僕にとっては世界を拡張してくれる、新しい刺激をくれるきっかけなのです。創作物を通してまだ知らぬシチュエーションを想像し、体験する。

ゲームというのも仮想体験ですね。特徴として所要時間が長いことが挙げられる。上記したゲームはどれも50時間以上クリアにかかります。映画で言えば25-30本ぐらいにはなるし、音楽アルバムで言えば50枚以上の体験。

で、ゲームって緩やかですよね。特にロールプレイングゲームは反射神経でプレイするわけではないので、途中でいつでも止まれる。まぁ、音楽や映画も途中で止められますけど、止めることを想定はされてない。ロールプレイングゲームは一気にクリアする人なんかいないわけで、途中途中に休みながら進めていくわけです。適度な退屈さとクライマックスの盛り上がりが体験できるのはゲームならでは。レベル上げとか、なんか作業っぽい時間もけっこうあるじゃないですか。ああいうボーっとした時間が積み重なる故の物語のクライマックスの盛り上がりはゲームならではだと思います。74分とかの長尺のCDで、微妙な曲を越えて決め曲が来た時の快感がさらに高い、みたいな。最近のマーベル映画みたいな「ずっと目が離せない」みたいなエンタメもすごいなと思いますが、適度に流していても親切に盛り上がりを教えてくれるJRPGのゆったりしか時間も好きですね。

そんなわけで去年はけっこうATLUSワールドに浸っていました。久しぶりにゲームをがっつりやった気がする。

ゲーム音楽、というのは特殊なジャンルです。基本的に反復するし、声や効果音と混ざる。特に効果音は敵との遭遇とか、ゲーム性そのものに影響を与える要素なので重要。今のゲームの効果音は方角の概念もあり、擬似360℃でどちらの方角から何が鳴っているかとか制御されていますからね。そういうものをしっかり鳴らしつつ、ドラマ性を演出する必要がある。時々書いていますが、音楽は日常をドラマにします。

ATLUSはそれぞれ個性的なサウンドを作っていますね。ペルソナはちょっとアーバンでおしゃれな感じ。

この曲、4200万回以上再生されているのですね。ゲーム音楽の人気すごいな。

ペルソナシリーズはそれぞれ作品ごとに主題歌っぽいのがありますね。これは最初のメニュー画面の曲だったかな、選択画面とか。よく聞いた記憶があります。

こういうボーカル入りのゲーム音楽っていつ頃から出てきたんだろう。2000年代から2020年代までほとんどゲームやっていないのでだいぶ飛んでいますが…サクラ大戦とかが最初期なのかなぁ。ゲームのサントラを聴くとゲーム体験が蘇って独特な感覚になります。純粋に音楽単体として聴くと薄味なのだけれど、体験としては思い出と結びついている。

真・女神転生Ⅴは昔ながらのゲーム音楽という感じ。シンセというかMIDI音源感があります。真・女神転生はⅡからやっているので、お馴染みの世界観という感覚。

今作は戦闘音楽もかなりバリエーションがありました。けっこうプログレッシブロック感があり面白いサウンド。

セリフや効果音と重なるので、絶妙に薄いんですよね。ボーカル入りの曲はオープニングとかムービー用なので、それ以外の音源は適度に隙間がある。

ユニコーンオーバーロードは異世界感があります。ただ、ちょっと他の作品に比べると音楽単体としての印象は弱いかな。ゲーム体験を盛り上げる、という意味ではしっかり果たしているんですが、曲単体としてはそんなに覚えていないかも。この曲が出撃前の編成画面の曲なので一番覚えています。

メタファー:リファンタジオは音楽の作り込みも凄かった。この作品は本当に「異世界を作る」という意気込みを感じた作品でした。各種族の作り込みとか背景も濃い。異世界譚として成立している素晴らしい作品。現役僧侶の読経を大胆にフューチャーした主題歌は白眉。


改めて考えると、女神転生ってめちゃくちゃ尖ったゲームですよね。神殺し、特に女神転生Ⅱとか、最後にYHVHを倒せるし。これ、今やったらイスラム過激派に狙われるんじゃないか。

だいたい、名前の出てくる神様全部倒せるんですよね。オーディンとかシヴァとかアマテラスとか、各神話の主神クラスがずらりと出てくる。敵対することもできますから、いわば神殺しを繰り返すことになる。

とはいえ、冷静な考えれば多神教の神々って神話の中で死んでいることも多いからまぁ神話の再現といえばそうですね。神ロールプレイング。ただ、一神教はヤバいです。さすがにYHVHは女神転生Ⅱ(1990年作)以降出ていないですね。ただ、YHVHを倒すルートってルシファーを仲間にし、「神によって悪魔に堕とされた」彼らの名誉回復でもある。キリスト教の10大悪魔、ベルゼブブとか、ああいう大悪魔はもともとメソポタミアの古い土着神だったりしますから。キリスト教と敵対した地域で信仰されていた神々を邪神としていった歴史がある。

また、女神転生Ⅱは「YHVHは絶対神ではなく宇宙を司るエネルギーの一部(下級神)」という概念も出てきて、これはグノーシス一派の考え方。だからけっこう設定がきちんとしているんですよね。その後、Fateシリーズとか「実名の神や英雄が出てくる創作物」は色々出てきましたが、女神転生はめちゃくちゃ尖っていたと思います。僕がヘヴィメタルの世界観に惹かれたのも、女神転生のプレイ体験がベースにあったのかもしれないなと少し思ったり。

そういえば、ノルウェジアンブラックメタルの人たちが初期、キリスト教寺院の焼き討ちをしましたが、あれも「キリスト教は侵略者で、我々の古来の神を取り戻すのだ」みたいな理屈が(後付けかもしれませんが)あったようです。ノルウェジアンブラックメタルを描いた映画Lord of Chaosから教会焼き討ちのシーン。実態としては彼らは今で言う迷惑系YouTuberが暴走したようなものだった気もしますが。最初は何か話題になりたくて、どんどん過激化していってしまった。ただ、その行動そのものに一定の論理があったからいまだに一部の世界でカリスマなのでしょう。

そこまで過激な行動に移さなくても、ペイガニズム、ペイガンフォークとかは現代の資本主義社会への反発とともに一神教から距離を置こうとする傾向も感じますね。でも、そんな中でも女神転生はぶっちぎりで世界観が尖っていると思います。これは、そうした論争がリアルではなかった1990年の日本だから生まれた気もします。

今日はゲームの話でした。メタルと密接なファンタジー世界系の話は音楽以外でも時々書いていこうと思います。

最後に一曲、ゲーム音楽的な雰囲気を持ちつつしっかりプログレッシブロックなMoron Policeが今日のオススメ。

それでは良いミュージックライフを。

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