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Unleash the archers / ABYSS

アルバムレビュー1発目です。特に強い思い入れがあるわけではなくたまたま思い立った日に聞いたという。ドイツのバンドで最近のMVの出来が良かったのでアルバムを聴いてみました。パワフルな女性ボーカルを擁するメタルバンドです。なんとなくは知っているアーティストですが、フルアルバムを集中して聴くのは始めてです。

評価軸は突き詰めれば「現在の個人的な好み」ですが、だいたい下記5項目をなんとなく考えて星付けしています。

・演奏力/編曲力 = 単なる楽器のうまさというよりは曲を飽きずに聞かせる編曲力と、それを演奏しきって聞きどころを作れるだけの演奏力
・作曲力 = 楽曲のフックを作る力、メロディ展開の多様さや説得力
・プロダクション = 録音状態、音質、音の迫力
・新規性 = 「聴いたことのない音楽」かどうか
・娯楽性 = 「聴いて楽しい」かどうか

下記がざっくりとした星の基準です。★=1、☆=0.5で10段階評価。以下の各曲のレビュー文章は実際にその曲を聴きながら書いています。メモ的な内容で文章のつながりがおかしいところもあるかもしれませんが、ライブ感を重視しています。そもそも「アルバムを聴こう」と思った時点で明らかに嫌いなものは聴かないので、だいたい★★★以上にはなります。

★ つまらない
★★ 可もなく不可もなく
★★★ 悪くない
★★★★ 好き
★★★★★ 年間ベスト候補

また、そのアルバムの個人的ベストトラックを1曲貼っていきます。

それでは、アルバムレビューです。

1.Waking Dream
イントロが長め、ケルティックなメロディ、コーラスが入りだんだん熱を帯びる、ドラムイン
ミドルテンポ、音が重なって力強さを増してくる
アルバムのイントロ的な曲
電子音が入り曲が終了、次の曲へなだれ込む
★★☆

2.Abyss
タイトルトラック、1曲目と同じミドルテンポでスタート、荘厳なイメージ
ハイトーンボーカルのコーラスと共にツーバス(2倍速)へ、疾走感が増していく
電子音の存在感あり
ドラムは重め、BIB(Beast In Black)ほどではないがシンセ音などややディスコサウンド感あり
ただ、テンポは速め
メロディは極端な高低差はなく、じっくり進む感じ
転調や予想外の展開はないが、重厚感はある
ボーカルパフォーマンスは見事
間奏に入る前のシャウトが急に上がるところなどはスリリング
コーラスだとツーバスドコドコで単調さはあるが、リズムも一本調子にならないように工夫されている感じはする
★★★

3.Through Stars
ミドルテンポ、リフはそれほど印象的ではないがボーカルの歌いだしとの絡みは気持ち良い
ブリッジでのバッキングはプログレ的な演奏
サビも北欧的なメロディのきらめきがある
きらびやかなシンセ音がずっと鳴っていて透明感、爽やかさに一役買っている
メロディーは自然に流れつつ煽情性もある
もうちょっと楽器隊のアレンジが凝ってほしい、リズムがやや単調
★★★☆

4.Legacy
出だしは耳を引く、イントロでいきなりシンセが暴れまくる面白い展開
ドラムもたたきまくり、宇宙的
ボーカルの入りもYESを彷彿させる、プログレ
コーラスが入ってジョン・アンダーソンに聞こえる瞬間あり
サビに入るとデヴィン・タウンゼント的か
全体的にプログレ色強め
雰囲気や展開はいいので、後はスリリングな見せ場があるか
コーラス(サビ)の練りこみが弱い、残念
あと一歩のところが越えられない
間奏は頑張っている
★★★

5.Return to Me
リフのメロディはいい、グロウルの入り方もいい感じ
ややリズムは単調だが、歌いだしは緊張感を保っている
ボーカルは高音部にパワーがある
転調などを駆使し、サビのメロディーは練りこんだ形跡があるが、
印象的で素晴らしいメロディとまでは言えない
シンセが入ってくる感じは悪くないが
★★★

6.Soulbound
これは良い、最初から多重的にメロディと要素が絡み合っていく
ボーカルのハーモニーが3段階でハイトーンが突き抜ける感じ
勢いはかなりあるが、サビでもう一展開欲しくはある
メロディーの展開に意外性が少なく
次に何が来るのかのワクワク感が足りない
間奏からの展開は良い
★★★☆

7.Faster Than Light
続いてキラーチューン、疾走感とハイトーンコーラス
様式美をカリカチュア化したような極端な曲
歌メロも入りは悪くない
ブリッジでは世界観が変わる
コーラスは典型的メロスピ
メロディーのつながりは自然
全体的なバランスも良く、これはいい曲
サビで景色が開ける感覚がある
★★★★

8.The Wind That Shapes The Land
歌いだしは緩急があっていい、アルバムの流れ的に前曲から景色が変わる
ブリッジまではメロディーも良い
サビが弱い、高音やボーカルの煽情力に頼りすぎ
アレンジとかメロディー展開でもう少しバリエーションがあると良い
メタルとしてのクオリティは高いが印象に残るメロディーがないのが惜しい
ボーカルパフォーマンスは素晴らしい
間奏後の展開は凝っていて良い感じ、何か印象に残るフレーズかパートがあれば化ける曲
★★★☆

9.Carry The Flame
曲の出だしは違う風景、ギターポップ的というか
景色が変わる感じで良い
ギターリフ、コード進行、メロディーの絡み合いが他と違う
作曲能力の高さを感じるが、サビが惜しい
もう一展開欲しい
男性ボーカルとの絡みは魅力的、アルバムにバリエーションを出している
アルバム後半はバリエーションがあり
ゴリゴリのメタルやメロスピ一辺倒ではなく北欧らしい美しいメロディーや抜け感を感じられる
ただ、アルバムの中のバリエーションとしては秀逸だが「このバンドでなければ作れない名曲か」と言われるとクエスチョン
編曲や演奏のクオリティは心地よいがメロディーがあまり印象に残らない
★★★☆

10.Afterlife
1曲目を回収するかのようなケルティックなメロディーでスタート
からの疾走、Helloween、マイケルキスク期を彷彿とさせるポップ味のある歌いだしから
グロウルでアグレッシブなブリッジへ
やはりコーラスが弱い、悪くないが想定内で印象に残らない
もう一段階、曲を次のステージに引き上げるコーラスがない
丁寧に作られているのでふと流れてきたら耳を惹くが、口ずさめない
演奏はうまいが、息をのむほどスリリングな演奏でもない
★★★

アルバム全体評価
クオリティは高く、演奏力も高いのだがやや一本調子
編曲の工夫も感じるのだが、リズムのバリエーションが少ない
7曲目はひたすらハイテンションで押す魅力があるが、突き抜けた部分はこれぐらいか
8曲目も8分半あり、さまざまな工夫が盛り込まれてはいるものの、展開がゆったりしている
演奏力や魅力はあるのに作曲力、特にサビの歌メロが惜しい、もう一皮剥けてほしい
アルバムを出すごとに成長は感じる
★★★

リスニング環境
夜・自宅・ヘッドホン

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