MONO / 25th Anniversary “OATH” Japan Tour featuring Orchestra PITERZA @ Spotify O-East 2023.11.20
MONOを観てきました。簡単に言えばハードコアマインドを持ったシューゲイズバンドで、基本インスト。シンプルな反復音のレイヤーを重ねていってドラマティックな音世界を紡ぐバンドです。日本より世界で知名度が高い(今回も日本公演は2つだけれど世界ツアーの真っ最中)。詳しくは過去記事をどうぞ。
結成25周年記念ツアーで、20周年記念アルバム「OATH」に連動したツアー。長年プロデューしていた盟友であったスティーブ・アルビニ(グランジムーブメントを支えた名プロデューサー)の訃報を受けて、彼にささげた曲も収録されています。
今回はオーケストラとの共演。バンドマスターだけシカゴの人で、他のメンバーは日本人。全12名。チェロ×4、バイオリン×4、管楽器(トロンボーン、トランペット)並びに時々鉄琴が4人という割り振り。
場所は渋谷O-East。どちらかといえばじっくり聞かせる系のバンドだし、オーストラも一緒ということでスタンディングってどうなのよ、と少し思ったものの、結果としては演奏が始まってしまえば立っていることを忘れる熱演。音世界に没頭できました。
今回、初めてライブを観て思ったこと。
・思ったよりビートが強い、ドラムが入ってくると体に響く感じがあり、(こぶしを振り上げたり暴れる感じではないものの)自然と体が揺れる感じ。
・やっぱりTortoisとの類似性は感じた、あと、BoatのROROとの連動性も。
・ミニマルでシンプルなフレーズを繰り返していく手法はスティーブライヒ的とも言えるかも。ただ、その組み合わせ方が分かりやすいし、きちんと展開していく、この辺りはロックだし、日本のバンドならではの「ポップさ」というか、展開がしっかりある(日本の音楽ってコード展開がかなりはっきりしているのが特徴だと思っている)。
・インストバンドでありながらいわゆる技巧的なものがあまり前面に出てこない、反復フレーズを繰り返すことが主。ノイズフィードバックはあるもののいわゆるギターソロらしいものはあまりない。ただ、ほぼミスタッチがなく心地よいビートで刻まれるフレーズは凄い。目の前で次々と音が重なっていき変化していく。
けっこう凄さとか良さが伝わりづらい、マスに訴求することはほとんどなさそうなバンドながら、今回はO-East(キャパ1300名)がソールドアウト。1000名以上は入っていました。すごいな。会場を去る時、近くにいた人が「OASISでドントルックバックインアンガーを合唱するより、MONOのライブを観た方が嬉しいっす、ライブ観てみたいランキング上位」みたいな感想を述べていたけれど、確かに「これは観ておいて良かった」感は強かった。
何より、多分ライブを体感しないと伝わらないものが多いと思うんですよね。他に逃げ場のない空間で2時間向かい合う体験。なかなかほかの環境で聞くとそこまで集中力を持続するのは(個人的には)難しいタイプの音楽だと思う。ライブ、眼前で積み上げられる音世界は情報量が多く、さまざまな場面を想起しました。日常生活をドラマティックに彩るサウンドトラック。映像を貼っておきますが、映像だとなかなか伝わらない気もする。
インタビュー込みのライブ映像がありました。
今回のライブ演奏曲は11曲。本編9曲はすべて最新アルバム「OATH」からのナンバー。アンコール2曲は2009年の「Hymn to the Immortal Wind」から。
記憶に残るライブバンド。ライブならではの”体験”を感じた一日でした。五感で音楽を浴びる感覚。
それでは良いミュージックライフを。