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Dead Lord / Surrender

スウェーデン、ストックホルム出身で2012年結成2013年デビューのデッドロード。Thin Lizzyなど70年代、80年代のハードロックに影響を受けたヴィンテージロックを奏でていました。聴いた印象だけだとThin Lizzy関連の人が作ったバンドなのかと勘違いするほどそれっぽい。特に関係ない若手バンドのようです。人間椅子の鈴木研一さんが「70年代HRは完成した芸術だと思っている」と話していましたが、その言葉の通り一つのスタイルとして完成されているので、現代にリバイバルするバンドたちはけっこう好きです。以前紹介したLuciferなんかもこの系譜のバンド。

2020年リリース

★ つまらない
★★ 可もなく不可もなく
★★★ 悪くない
★★★★ 好き
★★★★★ 年間ベスト候補

1.Distance Over Time
ドラムタム回しからいなたいツインリードへ
ロックンロールリズム、NWOBHM的だがノリはちょっとケルト的なロックンロール
Thin Lizzy的なツインリード
ボーカルはフィルライノットを意識している感もあるがもっとパンクっぽい
ちょっとミックジャガー的でもある、吐き捨てだがメロディアス
ガレージバンド的な音作り、ソロはツインリードで締め
再びヴァースへ、バイクで聴いたら気持ちよさそうな疾走感がある
リフの中のツインリードの絡みが上手い
★★★☆

2.Letter from Allen St.
完全Thin Lizzy。人脈のバンドなのだろうか。
リズムやコード進行、ギターは完全にThin Lizzyを意識しているが
音作りはもっと生々しい、ギターリフとボーカルの掛け合い、ギターが隙あらばメロディーを入れてくる
ブリッジでアコギが入る
サビは情けない系のUKロック的な歌い方、パンクス、ニューウェーブ的な
基本メジャーなのだがどこか哀愁がある、ところどこに入るマイナーが効いている
リズムは単調にならず、展開は多い
ギターソロはペンタトニック王道で、手数が多いわけではないが悪くない
Thin LizzyやWhishbone Ash的なツインリードで終わり
70年代英国HRの影響が強いのだろうか
NWOBHMより前の音楽性をルーツにしているから結果NWOBHMに近く聞こえる気がする
音作りは若いので若手だろうか
★★★☆

3.Authority
少しテンポがかわり、ツインリードなしのギターリフ
今度は歌メロ、言葉のリズムがフィルライノット的
ただ、ボーカルの歌い方や声そのものには違う個性がある
もともとゴシックっぽさもあるので、音像が少しシリアスだとゴシックっぽさも出てくる
コーラスはフックがある、途中で1回展開、同じフレーズの繰り返しではない
リフが前2曲に比べるとヘヴィでダーク、あくまで前2曲に比べて、だが
間奏でギターリフの雰囲気が変わる
ギターソロ、ペンタトニック一辺倒から変わる
UFO的とも言えるか、別にソロはマイケルシェンカー的ではないが
ソロ~ボーカル~ソロ、2回目のソロに入る前のブレイクがうまい
ギターが一生懸命弾いている、それほどテクニックが感じさせないがきちんと構成されている
UK的な歌いまわしとメロディ
★★★★

4.Evil Always Wins
なきのツインリードからスタート、カラッとしたハードロックに展開しボーカル
ボーカルとギターリフが絡み合うパターン
今度はRAINBOW的かも、メロディは。サビでSURRENDERを伸ばすからだけかもしれないが。
泣きのツインリードにはThin Lizzy感があるが他は違う質感
オーソドックスなHR、サビはメロディアスでシンガロング、パンクアンセム的
三連符でソロが進んでいく、ソロ~ソロ~ツインリード、構成がうまい
ソロがイーグルスのホテルカリフォルニア的なフレーズで終わり
コーラスへ
★★★☆

5.Messin' Up
ちょっと違う雰囲気、散歩しながら聞くような、パリの散歩道的なリズム
泣きのツインリードは入ってこないが
Thin LizzyのDancin’ In The Moonlightのリズムか
心地よいリズムでタメの効いたギターが入る
ブルースというかブギのリズムか
世界観が前までと変わっていてバリエーションを出している
★★★

6.Dark End of The Rainbow
ドラムから緊迫感を出すエレキインスト的なギターリフへ
ベースが入ってくる、ギターの刻みもだんだんフェードイン
静かに感情を抑えるような展開、やや早めだが抑え目
サビでメロディが展開、Ginger的なメロディでもある
マイナーで疾走感があるまま展開、1回目のサビでは極端に盛り上がるまではいかず
だんだん感情が上がっていくだろうか
ためるようなブリッジ
サビではメジャー感、2回目のコーラスではハーモニーが厚くなる
ソロ、エレキインスト的、コード展開をうまくつかっている
ソロ内でメジャーに切り替わり場面転換、そこからマイナーに戻ってきた
時計のちくたく音のような刻み
大げさではないがライブは面白そう
サビへ、サビが惜しい、もう少し盛り上がってくれればいい曲なのに
★★★

7.Bridges
ギターソロからタム回しへ、疾走系HR
ユーライアヒープとかか、ドラムがバタバタしながらも手数が多い
そこそこ手数が多いタムをきちんと回している
メイデンのRun To The Hillsのような駆け足リズム
サビのコーラスは勇壮でマイナー調
ツインリードが入ってくる
今までとは違う組み合わせの曲調、ただちょっとボーカルに合っていないかも
曲のクオリティは下がっていないしアイデアも多く盛り込まれているが、少しバタつきが気になる
★★☆

8.The Loner's Ways
ややゆったりしたリズムに戻る、メロディアスなギターから
Thin Lizyy的なメロディに戻る、こちらの方がボーカルがイキイキする
サビへ、気負いがなく良いメロディ、メジャーからマイナーの使い方もうまい
コーラスではもう少しギターと絡み合ってもよかった
ギターのメロディが控えめでリフに徹しているのが惜しい
ソロでは遊び心を感じる
★★★

9.Gonna Get Me
ハードロックリフ、ミドルテンポ、ちょっとファズがきいたギターのカッティングが入ってくる
ボーカルはフィルライノット的
コーラスは今までと違うパターンでリズム、ボーカル、コーラスが絡み合う
ちょっと教会音楽的な絡み方か、ゴスペルというよりあくまでロックにおける語法だが
ギターソロへはしっかりためて展開
アイデアは分かるがもう少し何かが足りない、部品の組み合わせとしてはうまいのだが
テクニックだろうか
プリミティブなロック
★★★

10.Dystopia
不穏なベース音から疾走ドラム、やる気のあるツインリード
刻みとメロディがうまく組み合わさっている
ややアジるようなボーカルが入る、アップテンポ
緊迫感あるマイナー調の刻みからブリッジでメジャーへ
サビではマイナーに戻る、Dystopiaのフレーズが耳に残る
刻みも適度で緊張感がある
サビのギターフレーズはもうちょっと切り込んできてもいいのに
その後の刻みとの対比か
ソロの入り方、リズムパターンを変えるにはうまい
ツインリードが入り、緊迫感を維持
そこからさらにソロへ、ノビノビ弾いている
★★★☆

全体評価
★★★
悪くはない、曲ごとにバラエティがあり聞き疲れることはない
ただ、キラーチューンがなく耳をひくクライマックスが少ない
70年代HRの手法を総括するほどバラエティもテクニックもない感じ
音楽性的に、超絶速弾きとかの方向のテクニックではなく、もっと味というか
スリリングな瞬間が増えると化けるかも

リスニング環境
朝・家・ヘッドホン

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