Heathen / Empire of the Blind
1984年結成、1987年デビューのアメリカ、サンフランシスコのスラッシュメタルバンド、ヒーゼンの2020作。1992年に一度活動停止したものの2001年に活動再開。キャリアのわりに寡作なバンドでこちらは10年ぶり4枚目のアルバムです。ベイエリアスラッシュの源流の一つでもあり、オールドスクールなスラッシュ/パワーメタルを奏でています。目新しさはあまりないもののベテランならではの匠の技と円熟のバンドサウンドを楽しめます。
2020年リリース
★ つまらない
★★ 可もなく不可もなく
★★★ 悪くない
★★★★ 好き
★★★★★ 年間ベスト候補
1.This Rotting Sphere
抒情的なアルペジオからスタート
リードが乗ってきて、エレキギターの合奏に
そのままドラムとベースとリフが入ってきて音圧が増す
美しいギターメロディはそのまま
ギターオーケストレーション
イントロ
★★★
2.The Blight
少しうめくようなギターとザクザクしたギターのせめぎ合い
高速で疾走感があるギターリフ
リフからコード展開して一瞬景色が変わり、リフに戻りボーカルヴァース
スラッシュの語法、やや吐き捨て型だがメロディアスなボーカル、ブリッジ~コーラスではメロディアス
アグレッションのあるリフとメロディパートが交互に出てくる
コーラスはバッキングのギターがコード展開を伴うメロディアスなリフでメロデスの語法を感じる
間奏部を経て少しミドルなボーカルのかけあいに、声質は違うが一瞬ジェイムスヘットフィールド的な歌いまわし
ザクザクしたアナイアレイター的なリフの合間に入ってくるメロディアスな要素が面白い
コード展開するリフを弾いていたと思ったら美メロのツインリードが切り込んでくる
抒情性のあるメロディを奏でていてもバッキングはザクザクしていてリバーブ少なく抒情性が薄いのが面白い
★★★★
3.Empire of the Blind
メロディアスでパワーメタル的な展開
ギターの音はザクザクしていてスラッシーなのだが、歌メロは曲展開は完全にパワーメタル
ボーカルもコーラスは朗々と歌い上げている
元がスラッシュバンドかと思ったら違うのか
エピックメタル的な歌い上げ方ではなくあくまでもパワーメタル
音の質感がダークでホラーなのが良い
ちょっとクレイドルオブフィルスとか、ブラックメタルのプロダクションも感じさせる
ドラムが超ブラストとかそういうことではなく、弦楽器やドラムの音色だけ
ツーバスとツインリード、絡み合うボーカル
最後に疾走して終わり、疾走感は面白い
★★★☆
4.Dead and Gone
ややヘヴィなリフ、ミドルテンポ、ドラムの音が渇いている
ギターリフとボーカルだけになる、ボーカルはパワーメタル
メタルチャーチとかヴィシャスルーモアズとかあっち系なのか
歌い上げるというよりは吐き捨てる感じ、スラッシーな質感がある、ああ、アンスラックスにも近いのか
そこに煽情的なメロディやツインリードがときどき入ってくるのが個性
ややオリエンタルなギターソロ、しっかりしたハードロック、80年代後半~90年代のメタル的か
ややスラッシーな間奏に、ギターのザクザク音が軽やかで心地よい
★★★
5.Sun in My Head
メロディアスなソロギターから、そのメロディを弾き継いで曲が始まる
ギターメロディからヘヴィなリフに切り替わり、ボーカルが入ってくる
ギターの音が好み
ブリッジはコールアンドレスポンス系だがコードが展開していきメロディを感じる
コーラスはギターがメロディアスに絡みつく
ふたたびヘヴィなリフのヴァースへ
ジャケットの髑髏はちょっとメガデスのラトルヘッドのようにも見える
破滅のカウントダウン~リスクあたりのメロディアスなメガデス期に近い曲かも
声やギターがメガデスほど切り込んではこず、もっと抒情的なギターメロディが入ってくる
ちょっとマイケルシェンカー的な抒情メロディー
メロディアスなパートから最初のヘヴィなリフに戻り終曲
★★★☆
6.Blood to Be Let
ミドルテンポでヘヴィなリフ、グルーヴィというよりは大型車的な
戦車ほどではないが馬力がある
適度なメロディがある、この「適度さ」というのがこのバンドの個性なのだろう
コードと歌メロのずらし方、テンションのかけ方はブルージーな部分もある
リフの進行感、速度感は変わらずにギターソロへ
リフ速度は変わらないがドラムの手数が変わり緩急をうまくつけている
★★★☆
7.In Black
ザクザクした刻み、リズムがややヘヴィ目に叩いている
ボーカルが入ってくるとドラムがやや早めのテンポに変わる
ツインリードでメロディアスなギター
ギターの音圧が強い
曲はいいし煽情力もあるがプロダクションがちょっとかっちりしすぎているのかも
00年代、ダンスオブデス以降のライブ感あるメイデンのアルバムと真逆の作り
特にドラムがかなりかっちりしている、もうちょっとドラムの音に迫力があってもいいような気はする
展開はラムオブゴッドなどに比べると緩やか、彼らが8小節で次のパートに行くところ16小節かける感じ
その分反復の心地よさはある、これは好みの問題
★★★☆
8.Shrine of Apathy
美しいアルペジオからスタート、その上にギターソロが乗る
そのまま抒情的な中音域の歌が入ってくる
ドラムも入ってきて、ロックバラード
ギターのアルペジオは続き、その上にメロディアスな歌
美しいがちょっと引っ掛かりのあるコード進行
そのままのテンション、テンポで抒情的なギターソロへ
展開したブリッジ~ツインリード~コーラス
しっかりバラードとして盛り上げる
最後はアルペジオとボーカルだけになり終曲
★★★
9.Devour
短いツインリード~ヘヴィなリフへ
刻み感が強いリフの上でメロディアスなギター
扇風機リフ
ツーバスになりボーカル、極端に早くはないがアップテンポ
ギターリフの上で何かアジっているような話し声が乗る
そこからメロディアスな短めのソロが入りコーラスへ
★★★
10.A Fine Red Mist
ギターソロ的な反復フレーズからスタート
刻みリフとユニゾンのバンドが入ってきて、やや疾走感がある
機械的、一定のリズムで回るモーター、乾燥機とかのスピードか
ツインリードが入りメロディアスになる
ふたたび乾燥機グルグルリフへ
刻みとメロディが交互に出てくる
この曲はインストなのか
刻みからブレイクが入りメロディアスなソロへ
反復フレーズがツインリードに
ジェントやプログレ勢ほど技巧的ではないが、ぎりぎりスリリングな速度とテクニック
★★★
11.The Gods Divide
メロディから刻みにいきドラム、疾走感が強い
ボーカルが入ってくる、ドラムの手数が多い
ギターの刻みが曲を引っ張っている
ベースも同じ刻みのようだ
コード展開があるコーラスからギターソロへ
交互に弾いた後ツインリードで締め、という王道パターン
間奏からコーラスへ
★★★☆
12.Monument to Ruin
抒情的なアルペジオ、短い小曲、終章
★★
全体評価
★★★☆
オールドスクールなパワーメタル、抒情的なメロディが武器なのだろう
刻みのリフとメロディの対比が面白いし、ボーカルメロディも魅力的な部分がある
ただ、曲展開はどれも王道で先が読みやすく、各パートのテクニックも突出したものはない
前にレビューしたパーフェクトプランと同じような「ベテランバンドによる匠の技を感じられる作品」ではある
流して聞く分には心地よいし、音作りも安定しているが、じゃあ集中してこのアルバムを何度も聞くかと言われると否
聴いていて心地よいアルバムだとは思う
リスニング環境
朝・家・ヘッドホン
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