気のせいだろうか。今宵はいくらか涼しい。
寝不足気味で列車に揺られていると危うく駅を通り過ぎてしまう。
眠気醒ましにどうでもうい話をしよう。
地獄の業火と人間界で使われる火はそもそもの特性が結構違う。地獄の住人にも人種的なものはあるし、暖かめな地域から極寒の地域まで広くに渡って展開されている。
そんな地獄出身の僕からしてみてもこの日本の猛暑というものは中々にこたえるものがある。灼熱地獄のアルバイトの時に周囲の警備をしているのが中々しんどかった。とかいうのとはちょっと訳が違う。
ただし太陽は気持ちがいいものだなと感じる。眩しすぎてずっと見たり浴びたりしていられないけど、あっちにはなかったな。こんな暖かい光は。
下を向けば蟲の死骸、前を向けば生き急ぐ人間の群れ、上を向けば人をやめた者たち。後ろを振り向けば小さな子供や年老いた大人たち。
少し前には車内が同じ様な服で溢れていたと思えば、今や様々な色をした皮が吊るされている。
さて、この駅を越えたらもう大丈夫。明日に向かって家に帰ったらトレーニングだ。
気怠い心を揺さぶりながら今年の夏も楽しく乗り越えて見せようぞ。