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感情の消えた夜

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#制作メモ

感情の消えた夜  境界線 Ⅴ

感情の消えた夜 境界線 Ⅴ

彼の居ない時間

きまって日曜日は私と彼は一緒に居ない。
深い理由はないのだけれどなんとなくそうしていた。

私は社会人になってからほとんど学生時代の友人や知人と会わなくなっていたのだけれど、数少ない親しい友人と久しぶりに会うことになった。
彼女とは中学校の頃からの付き合いで、将来の事や趣味の話、恋愛の愚痴まで話し合える仲だったし一緒に居て楽だったから前はよく会っていた気がする。

ある土曜日、ウ

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感情の消えた夜  境界線 Ⅵ

感情の消えた夜 境界線 Ⅵ

真夏の静かな休日に 

彼と私は珍しくいつも行かない場所へ来ていた。

夏休みという事もあるのだろうけれど、どの店も混んでいる。

本当はマスターの店でいつも通り食事をする予定だったのだけれど「いや今日混んでるしお前らたまにはいつも行かない場所とか行きなよ。」とマスターに追い返されいつもと違う街へ電車に乗って向かい彷徨うことになった。

「賑やかだなどこも。普段どこにこの人達は潜んでるんだ。電車に

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感情の消えた夜 - 境界線 Ⅶ

感情の消えた夜 - 境界線 Ⅶ

社会人になって初めての夏

この年は湿度も高くとにかく暑くて、決して快適だったとはいえなかった。
それに学生の頃の様に大きな休みがあるわけでもなかったし、大きな楽しみや華やかなイベントがあるわけでもなかったけれど、私はなんだか初めて心の中が溢れそうなくらい満ちた日々を過ごした気がする。

私と彼がゆっくり合うのは金曜日の夜から遅くても土曜の昼くらいまでだけだったけれど、やっと仕事に慣れてきた私にと

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