見出し画像

9月は山田康雄の名演を堪能しよう!

はじめに

9月10日はレジェンド声優・山田康雄の誕生日だ。ご存命なら91歳。

亡くなられて30年近く経つが、定期的に出演作品が放送され、今年の1月には「Z世代声優が選ぶ!昭和アニメのスゴい声優50人はこれだ!」(1月4日/テレビ朝日)でも在りし日の映像が流れるなど、その存在は未だに色褪せない。

そんな中、この9月は山田康雄の出演作品が多く放送されるので紹介したい。
名作揃いなので、ファンならずとも一聴の価値あり。
吹替ファンにとっては貴重な音源もあるため必聴だ。

9月放送予定の山田康雄出演作品

今月だけで15本ある。BS・CSの有料放送は繰り返し放送されるものもあるので、実際は上記以上放送される。

クリント・イーストウッドの代表作が概ね網羅されているので、いずれも必聴だが、いくつかの観点から作品の見どころを紹介する。

山田康雄の名調子を聞け!

『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』『戦略大作戦』『ダーティハリー』

以前の記事でも書いたが、『バビロンの黄金伝説』はルパン三世を演じる山田康雄が最も脂の乗っている頃で、流れるような名調子を聞くことが出来る。

『戦略大作戦』は、砲弾が飛び交う中言い合いをしたりするせいか、初期のナイーブな青年でも男臭いガンマンでも、渋い刑事でもない、テンション高めのイーストウッドの吹替を聞ける一作だ。

『ダーティハリー』はなんと言っても台詞回し。
「おぉっと...考えはわかってるよ。俺がもう6発撃ったか、まだ5発か。」の名台詞には痺れること間違いなし。

「ルパン三世」ファンは必聴!

『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』

いわゆる「ドル箱三部作」。マカロニ・ウエスタンの傑作としても名高いが、吹替版の楽しみは、山田康雄・納谷悟朗・小林清志・大塚周夫という、「ルパン三世第1シリーズ」の面々が吹替を担当していること。
「ルパン三世」の声優が好きな方ならニヤニヤしながら見てしまうことだろう。

レアな吹替版を聞き逃すな!

『ルーキー』『戦略大作戦』「ダーティハリーシリーズ」

『ルーキー』は残念ながら放送が終了してしまったが、今回の放送ではソフト版の短縮版ではなく、1993年に録音された音源が放送された。
『ルーキー』は、イーストウッド作品の中ではそれほど頻繁に放送される作品ではなく、BSやCS放送はノーカットのソフト版を放送することが多いので、1993年版はそれなりにレアなのである。

『戦略大作戦』「ダーティハリーシリーズ」は追加収録版がレアだ。
『戦略大作戦』については、9/10が初放送のムービープラスオリジナル版。「ダーティハリーシリーズ」も、WOWOWオリジナルで、ローカル局やBS12 トゥエルビでの放送歴はあるが、私の記憶が正しければ、WOWOWでの放送は約10年振りとなる。

追加収録版は、山田康雄没後にイーストウッド吹替の専属となっている、多田野曜平。声質や雰囲気の特徴が酷似しており、短い台詞だとどこを追加収録したのか分からないほど。
今回初放送となる『戦略大作戦』では、多田野曜平に加えて、大塚周夫の追加収録を息子の大塚明夫が務めており、新旧声優の妙技も堪能できることだろう。

いずれもソフト化されないオリジナル音源なので、機会を逃さず録画して、永久保存版としてほしい。

おわりに

冒頭で触れた「Z世代声優が選ぶ!昭和アニメのスゴい声優50人はこれだ!」で『徹子の部屋』出演(1979年)の会話が放送された。
この中で黒柳徹子に、「長い、25年以上の俳優生活で虹はお掴みになりましたか?」と問われ、「虹ってのは掴んじゃいけないですよ。追っかけてっても追っかけてっても虹ってのは追いつかないじゃないですか。あれでいいんですよ」と返すシーンがあり、これ自体がルパン三世のようでカッコいいと評判になった。

しかし番組用にカットされたシーンからでは、なぜ「虹」の話になったかが分からないので蛇足の補足をしておきたい。

山田康雄は俳優を目指すきっかけとして高校の時にダニー・ケイの「虹を掴む男」(1947年/1950年日本公開(山田18歳))を見たことを挙げている。
空想癖のある男が次々と空想を繰り広げるが、それが現実とつながって大騒動となるコメディ映画だ。山田はこの映画から「喜劇」に関心を持つようになる。
この前談があって「虹」の話になるのである。
ちなみに、クリント・イーストウッドも、「虹を掴む男」を見て憧れたと語ったことがある。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?