目標設定のための10”化”条
はじめに
先日職場のチームのメンバー7名と目標面談を行いました。その中でメンバーと話、そしてアドバイスするときにいくつか気づいたことがあったのでそのことについて今回まとめてみようと思います。
何に価値があるのか
我々の職場では目標設定のシートが用意されています。そこには目標と遂行した結果、成果を記入します。そこの記入の仕方、そもそもの考え方で、もう少しこうした方がいいんじゃないかなと思ったことがあります。
まず目標についてですが、いくつかあるんですが私が一番気になったのは、自分でコントロールしきれない領域で目標を設定しているケースがいくつかありました。例えばレビューで5件指摘する、他チームからの質問を0件にするなどです。おそらくこれは定量的に判断できるということでこのような数値を目標にしてるのかもしれません。ただレビューで言えばその成果物の質によって指摘できる件数は変わってきます。質が悪ければ誰でも5件は指摘できるかもしれませんし、質が良ければどんなに自分が頑張っても5件も指摘できないかもしれません。質問についても同様です。他チームのその人が経験が浅い人であれば自分が悪くなくても質問は出てくるだろうし、経験があるできる人であれば自分が悪かったとしても質問は出てきません。このように外部的な要素が含まれてしまう目標だと本当に成果があったのかどうか振り返りが難しくなってしまいますし、外的な要因で「達成できませんでした」ということも発生してしまいます。定量的にというのは良いと思うのですが、ただただ数値を意識してしまうだけだと良い目標にならない事があったりします。定量的に判断できる目標である場合でも自分がコントロールできる領域の目標数値にした方が良いでしょう。例えばレビューで言えばレビューのチェック項目を5項目明確にしてそれを確実に行うとか、質問であれば質問から回答までの時間を1日以内にするなどです。これであれば自分がコントロールできる領域の目標設定しかも定量的になっているので判断もしやすいのかと思います。
次に成果、成し遂げたことに対する気になったところです。設定した目標に影響するところもあると思うのですが、コアな情報が不足しているケースが多かったように見えました。××ができた、◯◯をやった、△△はできなかった、□□をしなかった、といった表現です。これもまた自分が何を頑張ったからか、何を意識したからできたのかというのが分かりません。またうまくいかなかった場合もそれが本当にその人の原因なのかというのも分かりません。単純にできたできない、やったやらないの振り返りでは再現性もなくどちらにしても意味がないように見えてしまいます。成功にしても失敗にしても、何をしてこうだったからこういう結果が出た、という情報こそに価値があるのかと思います。であれば、その情報を得たことそのものを成果にしたほうがいいんじゃないかなと思いました。なので当然目標もそれを想定したものを建てておいた方が振り返りしやすいです。つまり「こういうことを試してこういう情報を明らかにする」といった目標です。
こういったことを目標面談でメンバーと話す中でいくつか共通して使っているワードがあることに気づきました。それは習慣化、言語化、効率化など◯◯化といったワードです。そこで、目標設定に使える◯◯化をまとめてみようというのが本記事の趣旨になります。今回は10"化"条ということでひとまずまとめてみたのでそれをご紹介します。今時点でパッと思いついたのがこの10個になります。今後この10個のうちいくつかは入れ替えるかもしれません。また10個ではなく12個とか15個とかそういった形に変形する可能性もあります。今時点ではこの10個ということで見てもらえればと思います。それではどうぞ。
習慣化
まずは習慣化です。これはよく目標シートで見るのですが、『◯◯を意識する』、『××を心がける』といった表現です。こうやって文字にしたことで多少は変わるかもしれませんが、意識したり、心がけるというのだけではなかなか行動は変わりません。そうではなく、やろうとしていることを習慣化するのを目指した方が良いでしょう。そのためには何かをした後にこれをやる、こういう場合はこれをやるなど具体的に行動をデザインしておいた方が良いでしょう。いわゆるif-thenルールというものになるかと思います。習慣化されてしまえばかなり強みになりますのでそこを目指すことが大事です。どうすれば習慣化できるかそれを意識して目標設定してみるといいかもしれません。
仕組化
続いて仕組化です。たまたまうまくいったようなことをそのままで終わらせてしまうともったいなく、自分やチームの成長にもつながりません。無意識に行動した事や、たまたま行動したことを次も同じように、どんな状況においてもできるように、そして誰でも同じように行動できるように仕組化を目指すのが良いでしょう。業務、仕事のプロセスに組み込んで確実に行うようにすることです。自分だけでなく、チームの成長、改善、底上げにもつながるので大変重要な要素になります。貢献度合いも高まってくるので、仕組化できた場合は十分評価されるべきものになるでしょう。
言語化
さて次は言語化です。自分が何となく考えていること、なんとなく行動していることを他人と共有するために言語化することを目指します。0から1にする行為でもあるので場合によっては大変難しいです。ただこの言語化が次のアクションを決めていく上で大変重要なものになるので、この言語化できた情報というのは大変貴重です。言語化できれば色々なものに繋がっていくので、なんとなく考えていること、なんとなく出来てしまっていることを言語化してみることからはじめてみると良いでしょう。いきなり正確なものを目指すのではなく、まずアウトプットしてみるぐらいの感覚で始めるといいかもしれません。その後でいくらでもブラッシュアップできるのでまずは言語化することが重要です。
文書化
そして文章化です。文書化の前提にはある程度もまとまった情報があるということになります。その情報を関係者間でいつでも誰でも同じ共通認識を持って行動、思考できるように文書化することを目指します。形にするということに関しては一番わかりやすく成果を認識できるものかもしれません。これは50ページくらいにまとめるなど大げさなものでなくても、Wiki ページに1ページまとめるぐらいなものでも立派な文書化になります。その情報をもとに自分以外の誰かが行動できたり、考えられたりすればいいのです。また形にするということに関して言えば、今後は文字だけではなく、音声や動画といった形式で情報をまとめるというのもありかもしれませんね。
可視化
続きまして可視化です。何がどういう状況なのか伝わりやすくなるよう日々の業務を可視化することを目指します。可視化のためにツールなどを利用するというのも検討すると良いでしょう。ただ全てデジタルツールが適切とは言えないので、場合によってはアナログで情報を提示するといった方法が効果を発揮する場合もあるかもしれません。それ自体も色々試してみてどういう効果があったかどういう結果が出たかの情報を得ることそ大事にしたほうがいいでしょう。また可視化は仕組化と合わせることで、見える化になるかもしれません。
効率化
次はよく耳にする効率化です。やっぱりこれはこれで必要です。現在実現できていることを効率化することを目指します。もちろん機械やツールを使って手間を省くというのも効率化ですが、そもそもやらなくてもいいといった無駄を省くという側面もあります。これは省力化とも呼べるかもしれません。効率化に関しては一度自分やチームの業務タスクを整理し、ここはツールが使える、これはもう不要といった形で業務を分解してそれぞれのアクションを考えられると良いでしょう。というわけで業務を分解することが効率化の一歩だったりもするので、まずはそこを目標に設定するのもありだと思います。
自動化
さらに自動化です。達成したいことを人手をかけずに行うことを目指します。効率化における手間を省くも当然含まれますが、それだけではありません。これまで実現できなかったことを自動化によって達成するというのも含みます。例えば自動化によってチェックの精度を向上させるというのもその一つでしょう。これまで検知できなかった問題を検知するといった意味で大変価値があります。自動化というのは今の時代とても強いワードですが、何のために自動化するのか目的をはっきりさせておくのがとても重要でしょう。よく言われていることですが自動化することが目的になってしまうケースが多いので、あくまで手段の一つとして自動化があり、それによって何を実現させたいのかを目標設定時点でも明確に持っていくことが良いでしょう。
汎用化
次は汎用化というものです。成功事例でも失敗事例でも事例として提供できるよう汎用化することを目指します。この前提には言語化というのが当然必要になってきます。言語化できた次に汎用化かという感じでしょうか。実際にあったことの内、固有の要素は削りつつも本質的、共通的で大事な要素を残すということが重要になってきます。というわけで当然高度なスキルが必要になってくるわけですが汎用化することで多くの人とつながりも持てるのでとても大事な行為です。汎用化という表現ではなく、一般化、抽象化を使ってもいいかもしれません。
標準化
これもまたよく聞くワードかもしれませんが標準化です。うまくいったことやベストプラクティスを共有し、他の人含めて再利用できるように標準化することを目指します。もちろんそのために既出の言語化や文書化、それから汎用化といった要素も必要になってきます。ただ標準化の場合そこだけではなく、いかに他の人に浸透させるか、身につけてもらえるかといったところまで含まれてきます。つまり教育的な活動も標準化の一部になります。標準化できたかどうかを評価するのは難しい部分もあるので、標準化に向けて何をするか、どういう変化をもたらすかを具体的にしておくことが重要なのかもしれません。
構造化
最後に構造化です。今起きていることの問題の把握、優先的に取り組む課題の設定、高速に行動する(すぐに情報を入手できる状態にしておく)などを目的として、各種情報の構造化を目指します。様々な情報を整理することによって、情報共有やコミュニケーションのやりやすさやスピードの向上につながります。多くの情報で溢れ、そして高速で流れていく今の時代、この構造化というのも大変重要になるでしょう。自分が得た知見、ノウハウを構造化しておくというのも重要かもしれません。
さいごに
今回は目標面談をしていて気づいたことをまとめてみました。特に目標設定する際に意識した方が良いのではないかと思うことを、10化条という形式で表現してみました。正直言うとまだしっくりきてないところもあるので今後見直すかもしれません。ただ何も考えずに目標を設定するより、こういったことを意識して目標設定した方が、行動しやすく達成もしやすく、そしてまた振り返り、評価も明確になるという側面もあるかと期待しています。最後にはなりますが、ここまで読んでいただきありがとうございました。