【他の人よりチョット詳しくなれるフィンランドの教育】どうやってPhenomenon-Based Learningを実施するの?
PhBLの理論や大体のことはこれまでまとめてきました!
今回はPhBLをどうやって実施するのかについて、文献から抜粋してまとめます!
前提
Silander(2015)は、PhBLを実施する際に留意すべき観点を提示し、どの程度満たしているかを確認することができるルーブリックを示しました。
端的にいうと、PhBLを実施するための理論的枠組みを彼は示したということです!
このルーブリックは、「全体性(Holisticity)」、「真正性(Authenticity)」、「文脈性(Contextuality/ context)」、「問題基盤型の探究学習」、「学習過程」の5つの観点で示されています。
それぞれの観点は「限られた形跡(Limited evidence)」、「創出(Emerging)」、「開発(Developing)」、「促進(Accelerating)」、「発展(Advanced)」の5つの尺度で分けられています。
これはPhBLの達成度1から5みたいなものです!
さて、ここからは5つの観点の中で、「発展(Advanced)」の尺度を基に、それぞれの内容を要約していきます!
「全体性」
学習の対象は『現実世界の全体の学際的な現象』
学習活動は原則として、授業や教科としてではなく、現実世界の現象から生じる
PhBLにおける主要な教師の働きかけはチームティーチング
つまりは、現実世界の現象を取り扱って、それに対して学びが展開されるということ、教師は協働的に学びを促進するということが、PhBLの実践には必要だいうことがわかります!
「真正性」
学習の対象は、現実世界の真正の現象
現実世界の真正の現象とは、学習者の現在および将来と関連する内容
学習活動は可能な限り教室ではなく、実際の環境で行う
このとき、学習者は現実の状況で必要とされる知識を適用および使用する
学習者は本物の専門家やプロの使用する、真正の資源や資料、ツール、方法によって学ぶ
学習を通して、成果や制作物は、実生活や周辺社会と関連する
つまりは、学習者にとって自分事として捉えられる現象や事象を内容として取り扱い、実際の場所で、実際に使われるモノを使って、実際に生かすということです!
「文脈性」
学習者は、自然な文脈で学習する
物事の背景と意味は様々な側面やトピックが集まる、幅広い文脈の観察によって理解される
学習の対象は、事前に定義された現象ではなく、漠然とした曖昧な現象
学習活動は、課題解決型学習と同様に、学習者が様々な視点から現象を構築および分析する
つまりは、人工的に作られた問題解決ではなく、幅広い文脈から観察可能な曖昧な、現実世界の問題を解決するということですね!
「問題基盤型の探究学習」
現象は学習者の個人および協働による問題設定に基づいて学習される
現象は学習者を取り囲む現実世界と関連する
問題設定は、学習の全体を通して継続的に、個人および協働的な知識構築を導くように設定される
学習過程において、学習者は仮説と理論を発展させていく
つまりは、学習者は個人や協働で自分事と捉えられる問題を設定して、問題解決を通して、仮説・理論・知識を構築していくということです!
「学習過程」
PhBLでのオープンエンドな課題によって、学習者は独自の学習過程と学習ツールを創出するように導かれる
学習者は協働的な学習過程も計画するように促される
つまりは、答えの1つに定まらない課題を個人または協働で解決しようとすることで、創造的に学ぶということでしょう!
おわりに
どうでしょう?
これまでより概念的でわかりにくいですよね…。
日本の教育現場の現状を想像して、当てはめてみて、
実際にどんな感じか、イメージできそうでできない。
といった感覚になりますね!
次回はPhBLの具体的な実践を文献から持ってきます!
今の絶妙なイメージと疑問が解消できるようにまとめてみます!
参考文献
Silander, P.「Rubric for Phenomenon Based Learning」2015年。 https://nebula.wsimg.com/c58399e5d05e6a656d6e74f40b9e0c09?AccessKeyId=3209BE92A5393B603C75&disposition=0&alloworigin=1