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後輩たちへの手紙⑪働く楽しさ

大学3年生の就活を伴走する1年間のゼミを運営しています。
ゼミを通じて、学生から社会人への大きなステージチェンジを一緒に過ごした卒業生へ向けた、お手紙の記録です。


24年4月30日の手紙(前半)

4月は、どんな1ヶ月でしたか?

振り返りマニアの私は、日々の振り返りだけでなく1週間/1ヶ月/半年/1年…と、なにかと振り返ってしまうのですが…
4月は、12ヶ月の中でも新しくて忙しくて、情報量の多い特別な1ヶ月だと感じます。

今年のゼミは51人、例年通り4月最後の水曜・木曜からスタートしました。
まだ顔と名前は一致していないけれど、これからこのメンバーの人生に関わらせてもらうのだなぁ…と、うずうずするような気持ちで迎える初回。

今年はその90分の中で「私の自己紹介に対してなにか問いを出してみて」と無茶ぶりしてみたのですが、「なんの仕事をしている時が一番楽しかったですか?」と聞かれたことが印象に残っています。

「今が一番楽しいよ!」と、考えるより先に答えていました。
答えてから、そうなのか…私は今(フリーランスで、ツギハギのスタイルで仕事をしている今)が一番楽しいのかと気付きました。
反射的に本心がことばに表れて出てきた問いでした…最近の問いの中で、一番ハッとさせられた問いだったかもしれない。

みんなはどう?この4月、いろいろな場面があったと思うけど、なんの仕事をしている時が一番楽しかった?

なにげなく、「楽しかった仕事は何か?」と聞いたんだけど、何を思い浮かべただろう?それって、どんな経験だった?
順風満帆に、何事もなく完了した経験でしたか?
…意外とそうではないんじゃないかなぁ、きっとそんなはずはない…と思っているんだけど…
というのは、働くときに感じる楽しさは、他の場面で感じる「楽しい」とは違うと思っているから。

ビター要素がある、というのかな。しんどさとか大変さや苦労がちょっとある。
簡単に今までの自分の持っているもので楽々とできることでは太刀打ちできず入念に準備するとか、必死で対処するとか、失敗した反省を活かすとか…
そういった手間をかけて、心を砕いたからこそ得られる「楽しい」

私はカウンセラーやファシリテーターとして人に関わっていることが多いわけだけれど、その時その瞬間を逃さないことが重要だと分かってきた。
なので、ギューっと集中していたり全身全霊で観察していたり、のんびりゆったりしている風を装いつつ、内側はものすごく緊張しています。

それだけ集中していても、後から「あぁあの時、もっとこうできたらよかったのに」と悔しく思うこともある。
でも、だからこそ、次に同じような場面に出くわした時に「…今だ!!」と反省を活かして対応できたりして…
そんなときにすごく楽しさを感じるんだよね。


最初の会社で営業として働いている時も、そうだったと思う。
「契約とれない人はいないから」って言われて、毎日飛び込み営業をやるんだけど今日も契約はとれなかった…
そんな日々の中で「とりあえず今日もやるか」と目の前のことに対応し続けていると、本当に先輩の言った通り契約がとれた。

契約書を書く手がふるえて…お客さんにばれないように大きく深呼吸したっけ。
ダメもとでオプションも提案してみたら「それも付けといて」と言われて、心の中でガッツポーズしたり。
外に出て、もう夕焼けが始まっている地下鉄日本橋駅までの道で、にやにやするのを抑えられなくて、あーやっと仕事楽しいって思えた!とつぶやいた春。

誰かと協力して何かをやり遂げるときも、楽しいよね。
サポート役にまわったり自分がリードしてみたり、自分の「得意」を使いながらも「苦手」と向き合い続けるようなやり取り。
チームメンバーのすごさに尊敬したり嫉妬したり、でも感謝もされて嬉しかったりして。
ひとりではまだまだな自分を痛感すると共に、一緒にいてくれるメンバーがいたから最後までできた…みんなでやり遂げた!という達成感。

「成長痛」ということばがあるけれど、自分が働く中で少し自分の幅を拡げていくときは、ビター要素がくっついてくるものなんだろう
その苦みが美味しさを深めてくれる。働く楽しさは、大人の味だね。


後半に続きます

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