後輩たちへの手紙⑫無知の知
大学3年生の就活を伴走する1年間のゼミを運営しています。
ゼミを通じて、学生から社会人への大きなステージチェンジを一緒に過ごした卒業生へ向けた、お手紙の記録です。
24年5月27日の手紙(前半)
先週『業界・職種研究』をテーマにゼミを開催しました。
毎年「仕事理解」シリーズに4コマを割いていますが、初回でお伝えするのは「知らない企業を知ろう!」というメッセージ。
「知らないと興味も持てない、だから知っている企業に目を向けるのではなく知らない企業こそ知っていこう」
…なーんて偉そうなこと言ってる私自身、まだまだ知らない企業があるんだけどと心の内では思っています。
このあと何年もキャリアセンターで働いたとしても、一生キャリア支援の仕事をしたとしても知らない企業は尽きないと思う。
企業や仕事は新たに生まれ続けている。宇宙では星々が、地球上では赤ちゃんが生まれ続けているのと同じように。
結局、知ることができる企業・仕事なんてほんの一握りなんですよね。その、ほんの一握りの中から働く場所が決まっていく。
ほんと、就職って「ご縁」で「めぐりあい」です。
就職活動は自分について知ると同時に社会についても理解していく活動ですが、いつも『無知の知』ということばと共にある…そんな活動でもあると思います。
社会の仕組みやつながり。様々な仕事や役割が存在してお互いを支えたり刺激し合って、成り立っているこの社会。
ときどきは、社会と身体はリンクしているようだと気付くこともあります。
いくつもの細胞がつながり、ホルモンや神経が作用しあって成り立っているわたしの身体。
人間の細胞は60兆個。地球の人口(約80億)の7500倍の数らしいですね(今調べた)。
想像を超える数の細胞が働いて機能し合って、一秒一秒、命を継続している。社会も同じかもしれないです。
そんな社会についても自分自身についても、構成している要素ひとつひとつを把握することなんて到底できない。
すべてを知ることはできないし、どこまでいっても「知らないことを思い知らされる」んだけど。
でも、確かに社会の一員としての私がいて、その私を動かす自分自身の意志があって、構成要素のひとつとして働いて、働きかけている。
社会の一員として、自分が生きる世界に好奇心を持って探求し続けていきたいと思います。それが「社会を構成する一要素」としての責任を果たすことなんじゃないか。
自分についても、分かった気になって「こんなもんだ」と限定するのでなく、可能性を模索し続けたい。
それが自分自身に責任持って、自分を生きることだと思うから。