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練習の量と質、どちらが重要か【始めて1カ月間の記録を添えて】

こんにちは。
メモリーアスリートのYasです。

前回のnoteではMemory League World Championship(Memory League世界選手権、MLWC)参戦記を書きました。

本当は2回目の記事、すなわち今回の記事でMLWCの分析を出すはずだったのですが、内容がまとまらな過ぎてまだ書き終えていません。
4月中には出せるようにしたいと思ってます。

今回はもっと昔、2020年9月のお話です。
今は閉鎖してしまったBSAマガジンで一度似たような内容を書いたことがあるのですが、「僕がMemory Leagueを始めてから1カ月間での成長記録」を振り返りながら、練習の量と質の重要性について僕の意見を述べたいと思います。


前提

Memory Leagueを始めるまで

今でこそMemory Leagueをメインに戦っている僕ですが、メモリースポーツを始めた当初はMemory Leagueをプレーしていませんでした。
では何をしていたかというと、リアルのトランプを使ったトランプ記憶をやっていたんですね。

以下、ざっくりトランプ記憶始めた頃についてです。

2020年6月
平田さんの個人ブログ(現在閉鎖)で、トランプ記憶の方法が書かれた記事を発見。当時大学3年、コロナにより外出自粛の中、家でできる趣味を探していた時にこの記事と出会う。
記事の内容は「ストーリー法、場所法、1カード1イメージ、2in1」のやり方が細かく書いてあり、読んだ次の日に変換表作成、さらにその次の日に10分ほどで52枚記憶成功。この時トランプ記憶の成功時の快感にドハマりする。
そこからほぼ毎日、1日最低4,5回は練習していたと思う。月末には2分で記憶できるくらいまで成長。
当時は通し練習以外の練習法を知らなかったので、1ルートを何回も使いまわして練習していた。
2020年7月~8月
大学のテストやレポートに追われたり、コロナで止まっていた部活動が再開したりで、あまり練習せず。
数日に1回程度やってトランプ記憶2分が維持できていたくらい。

とまあこんな感じで、通し練習以外の練習を知らなかったのと、当時は目指すものがあまりなかったので、2分でトランプ記憶ができて満足していました。

ただ、これは後で分かったことですが、この3ヵ月で場所法やストーリー法の地力はかなりついていました。ルートは一つしかありませんでしたが、何回も練習していたことで場所の感覚がかなり強くなっていたようです。

また、意識はしていませんでしたが、1個目が人であれば2個目は手に持たせる、など変換に対するストーリーの自動化はある程度できていました。(変換自体は激遅)
これはやっていく中で勝手に身についていましたね。

Memory Leagueとの出会い

さて、肝心のMemory Leagueとの出会いは9月です。
たまたま8月にBSA(現メモアカclass)の説明会があり、せっかくなら真剣に取り組める環境でやってみるかと思い9月に入会しました。

当時のBSAのメモリースポーツコースには、SCCコースとMLコースの2つがありました。
・SCCコース:トランプ記憶のみ実施。土曜と日曜の10時-12時。
・MLコース:Memory Leagueを実施。土曜と日曜の12時半-14時半。

僕は「トランプ記憶だけできればいいや」と思って入会したので、最初はSCCコースのみ参加していました。
ただ、2週目の9/13に当時のコーチ(小林君、土屋君、青木さん)に「絶対にMemory Leagueやったほうがいい」と強く勧められ、ここでやっとMemory Leagueを始めることとなります。

ちなみに、BSA入会後モチベが急上昇した結果、入会時120秒ほどだったトランプ記憶のタイムが75秒まで縮みました。
詳細は覚えていませんが、入会前後で練習内容は大きくは変えていなかったはずです。
どちらかというと、競技前後のルーティンや反省のポイントなどを知ったことで伸びたものと思われます。

Memory Leagueの成長記録

Week1

Memory Leagueを始めるにあたって、当時のBSAコーチ陣からは「Cardsの下地があるから、まずはCards、Images、Wordsあたりをやってみるのはどうか」と勧められました。
というか、Numbersは変換が用意できていないし、Names系はやり方が違うので、いきなりは無理ですね。

そんなわけで初日はCardsとImagesだけ試してみました。
Cardsの下地があったためこの2種目はわりとすっと入れましたね。どちらも初日でレベル10になりました。
Imagesは爽快感があってとても楽しかったのを鮮明に覚えています。

初日のRated 少しだけ緊張してた
最初のRated 抜けすぎだ落ち着け


2日目以降も、場所法とストーリー法の基礎を活かしてCards、Images、Wordsを中心に回していました。割合で言うとCardsが3、Imagesが5、Wordsが2くらいですかね。(ただCardsはリアルトランプでもやっていたので、それを入れるとCardsとImagesの練習量は同じくらい)
Wordsは3日目にはレベル10になりました。ただ、Wordsはより場所にしっかり置くことが必要になってくるのと、表記ゆれなどもあるので、CardsやImagesよりも安定感はなかったですし、成長速度もゆっくりでした。

ちなみにCards初パーフェクトはMemory Leagueを始めて4日目です。
この時は本当にパーフェクトを出したくて1日に何十回もトライしていた気がします。

めちゃめちゃ嬉しかった

Numbersは6日目か7日目に変換表を作ったみたいです。
(5日目のNumbersで8桁、7日目のNumbersで40桁(レベル7)の記録があった)
メモアカのYouTubeにある数字変換用の動画を使って、毎日10周以上は変換練習をやっていたので、わりとすぐCardsに近い感覚になりました。

Week2

Week2での目標は「Cards50秒切り」でした。

当時トランプ記憶で日本記録を持っていたのがkoba選手で、記録としてはMemory Leagueで10秒台が出たくらいだったと思います。そんなkoba選手の使っているシステムがPAシステムで、もともと使っていた2in1から移行したのが50秒を切ったころだ、という話を聞いていました。
また、当時の日本のトップ選手も皆PAOシステムなどを使っており、2in1でトップまで上り詰めている選手はいませんでした。そのため、口ではシステムに優劣はないと言いつつも、「2in1では早めに限界が来る」という雰囲気が正直ありました。
ただ、個人的には2in1でもまだまだ伸びる気がしたし、他システムを試していないながらも2in1が自分にフィットしている感覚があったので、「成長が止まったらシステム変更しよう、それまでは2in1の限界に挑戦したい、できればkoba選手が移行した50秒を切って2in1の可能性を広げたい」と考えていました。

と言いながらも、Numbersも変換が身についてきたし、NamesとInterにも手を出し始めていたので、Cardsに特化して練習していたわけではありません。
全体を10とすると、練習比率は「Cardsが4,Imagesが2、Interが0.5、Namesが0.5、Numbersが2、Wordsが1」くらいですね。

練習方法は変わらず、通し練習をメインに、時々変換練習。
1日の練習量は全体で20-40ゲームほど(+変換)やっていました。

そんなこんなでゴリゴリ練習していたら、9日目にCardsで50秒切りを達成しました。
初パーフェクトから5日で10秒縮めたことになります。
自分で言うのもなんですが、驚異的な成長速度です。

めちゃめちゃめちゃめちゃ嬉しかった

その他の種目についても、Inter以外はすべてweek2の間にレベル10に到達しました。

なぜかこれだけ画面直撮りの写真

レベル10になった順番はImages→Cards→Words→Names→Numbersでした。
比較的簡単なImages、慣れているCards、変換不要のWords、慣れればある程度できるようになるNames、変換の用意が必要でパーフェクトが必須のNumbers、わりと妥当な成長パターンだったかなと思います。

Week3,4

Week3、4はWeek2と特に変わらずですが、全体の練習比率の偏りがなくなって、満遍なく練習するようになりました。

そして、最後に残ったInterをレベル10にするのが本当に大変でした。
Names系が全然好きじゃなく、練習でもNames系以外を選びがちだったので当然ですね。Names系はNames系でしか伸ばせないし、他種目よりも練習量による慣れが必要なのに、その2種目を敬遠していたら伸びるわけがありません。

Interがレベル10になったのは30日目、始めてちょうど1か月経ったときのことでした。
Overallの順位は40位くらいだったと思います。

始めて1か月後のRecent Best
Cardsも40秒切り達成

初心者、未経験者への僕の考え

量と質、どっちが大事?

ここまで振り返ってみて、思ったことが一つあります。

「………めっちゃ練習してるな、この頃の自分…。」

途中でも書きましたが、当時の練習量は1日20-40ゲーム程です。それに加えてCardsやNumbersの変換練習、場所をたどる練習、SCCの練習…今では考えられないほどの練習量を毎日こなしていました。
(今はできても1日10ゲームほどだし、そもそも週3日くらいしか練習できていない…)
まあこなすと言っても、楽しくてやっていたので練習という意識もあまりなかったですけどね。

ここで、改めて当時の練習スケジュールを振り返ってみましょう。

平日は昼1時間トランプ記憶の練習、夜2時間Memory Leagueの練習。
土日は午前2時間トランプ記憶のレッスン、午後2時間Memory Leagueのレッスン、夜2時間Memory Leagueの練習。
コーチであり、途中からライバルでもあった小林君と土屋君は、授業内外で彼らの持つ技術や練習方法、考え方などを惜しみなく教えてくれました。
メインコーチではなかった青木さんからも、大会での戦い方やメンタル面などを教わりました。

これを見て、何か気づくことがありませんか?

そうです。 この1か月間について、先ほどは練習量が多いと書きましたが、 練習の量、質ともに日本の環境の中で限りなく高いレベルで練習ができていたのです。

逆に、というわけではありませんが、それなりのレベルに到達するまでの段階で伸びづらさを感じる場合は、練習の量と質どちらかが不足していることが多いと思います。
(ある程度までいけば伸びづらくなるのは当然ですが…)

量が不足していて伸びないのはまあ理解しやすいと思いますが、質に関してもそうです。
仮に量が足りていたとしても、特に初心者期間に我流で突き進んでしまうと、それがその場限りの手法であった場合に、より伸ばすことのできる感覚や考え方、マインドに後から修正するのはなかなか難しいです。
もちろんそれぞれのやり方を否定するわけではないし、後から修正することもできますが、初心者期間のなんでも吸収できるスポンジ状態のうちに、正しい知識や一般論を理解したうえで練習することがポイントだと思っています。

つまり、僕の考えとしては、「質も量も大事。特に初心者期間は両立が大事!」ということになります。
「いや結局どっちつかずかよ、おもんな」と思った方、すみません。でももう少しだけ話させてください。

(補足:上級者に対しては「質」と答えます。量が少なくても質が担保されていれば最低限維持はできます。質の悪い練習はそもそもする意味がなく、練習の前提に質が求められているからです。ただ、初心者期間に「維持」というターンはなく「伸ばす」ことしか必要ないため、質と量どちらも必要だと考えています。)

メモリースポーツは量と質の両立がしやすい

「質と量のどちらが大事か」という議論は、どちらも取ることが難しいからそのような議論が起こるのだと思いますが、メモリースポーツはその両立がしやすい競技だと考えています。

練習量については、個人の忙しさに依存するところもありますが、1日1時間以上あれば十分だと思います。僕の先ほどの練習は世界40位のレベルの話ですし、そもそも下地がある状態なので、1日1時間でも3ヵ月あれば世界100位から200位くらいはいけると思います。
(※ある程度短期間で集中的にやることが必要)
そして、Memory Leagueはパソコン(タブレット)1台あれば練習ができること、サイト内にレベルやレートなどのラインが設定されており目標を立てやすいことなどから、練習量は比較的確保しやすいのではと思います。

問題はですよね。量は個人でなんとかできても、質は確保するのが難しい。
ただ、メモリースポーツが質を確保しやすい明確な理由があります。

それは、「トップ層との距離が他種目よりも圧倒的に近い」ことです。

日本のメモリーアスリートはX(旧Twitter)に多く浮上しています。
メモアカのメンバーが多いですが、メモアカ所属でない選手も積極的に発信しています。選手のXをチェックするだけでも、世界クラスの多くの情報を得ることができます。
そして、ほとんどのメモリーアスリートが親切なので、質問をするとわりと短期間で答えをもらえます。(過剰な質問等を推奨するということではありません。)

(ここからは宣伝を含みます)
さらに、メモアカclassではさらに詳しい話を聞くことができます。月額8800円ですが、1コマ1時間で月8コマあるので、1時間1000円ほどで世界4位の山口と世界9位の外園選手と練習することができます。自分で言うのもなんですが、かなりお得じゃないですか?

メモリーアスリート育成プロジェクトはメモアカclassをさらに特化させたものです。
これはマンツーマンレッスンもついているので、質の面をかなり担保することができます。
こちらは一旦1期生が3月に終わり、100位台や200位台の選手も輩出できるなど、全体的にまずまずの結果を出せました。今後の実施スケジュールがどうなるかは未定ですが、個人的には今後もやりたいと思っています。

まあ最後は若干宣伝含みになりましたが、それを除いても明らかに他のスポーツなどよりも量と質を確保しやすいです。
量と質を高めることができれば、できる→楽しくなる→やりたくなる、といった好循環につなげることができます。あとはもう自分自身が勝手に成長してくれます。

まとめ

特に後半がだいぶごちゃつきましたが、この記事で伝えたかったのは3点です。

「練習は量と質どちらも大事、特に初心者期間は大事」
「メモリースポーツはそれらを両立しやすい」
「(メモアカclassにはその環境が整っている)」

世界4位までなれたので、この3点はある程度自信を持って言えます。
この記事を読んでくださった方の参考になれば嬉しいです。

そして、最後の最後に。
メモリースポーツ、本当に面白いです。
記憶できることの楽しさ、成長できることの楽しさ、工夫改善をこらすことの楽しさ。すべて備わってます。

メモリースポーツはいつでも皆さんをお待ちしています。
メモアカも、そしてもちろん僕個人も、です。

ぜひ一緒にメモリースポーツをやりましょう!

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