見出し画像

年を取って最近のマンガが全く楽しめなくなったので代わりにリベラルアーツの本を読み始めたら毎日が少しだけより良くなった話と、日本人のIT・会計・ロジカルシンキング崇拝に異を唱えたくなった話

twitterで定期的にバズる鉄板のネタがある。

「オタクは加齢でアニメが楽しめなくなり、アニメが好きなキモヲタからアニメを見ないただのキモになる」

代替こんな感じのツイートだ。

元からアニメを見ない自分からしたらそりゃあそうだろう、日本の深夜アニメ/萌えアニメなんて学園モノばっかで、よしんば学園モノじゃなくても主人公が10代から20代中盤の若者を対象としたコンテンツばっかなんだからそりゃあそうだろう、感情移入できねーよとしか思わない。

そうやって加齢でアニメコンテンツやなろう系に興味を失ったオタクの人たちを私は対岸から冷笑していたのだが、20代後半以降私自身もある重大な問題を抱えていた。


「あれだけ好きだったマンガが全然楽しくない」


私はアニメは見ないタイプのナードで、小学校まではジャンプ漫画やスポーツ漫画を好んで、中学生からヤンマガ、高校生からスピリッツに触れてきたバックボーンを持つ。

男性ということもあり青年誌のサブカル寄りとされる漫画を主に好んできた。

小学校高学年から中学生時代に古谷実作品(僕といっしょ)、安野モヨコ作品(花とミツバチ)、the3名様,闇金ウシジマくん、松本大洋作品(青い春などの初期作品)などの王道にハマって、大学時代に花輪和一の刑務所の中とアラサーちゃんにハマったのを機にパタッとマンガにハマらなくなった。

(これ以降の20代中盤から10年間近くは引きこもっていたこともあり自己啓発や中身がヘリウムより薄いビジネス書や簿記、プログラミングの本、健康ハック系統の本にハマる暗黒期なので本来はあまり思い出したくない,鬱っぽくなるので)

私はこれまでマンガにハマれなくなった自分を執拗に責めてきた。

感性が衰えた老害になってしまったのだと。

そんなある日、日本オタクのナードが集まる英語圏のフォーラムで「2010年代の日本の漫画コンテンツは幼稚化した」というスレッドが盛況になっているのを見て、安心したのだ。

ああ、俺が悪いだけじゃないんだな。コンテンツの発信側にもどん詰まりが発生してるんだな。と。自責するのもやめよう、そう思った。

だって、妻と見に行った鬼滅の刃の映画もその原作も最後まで観れなかった。寝てしまった。

ゴールデンカムイもダンジョン飯もすぐ飽きた。

推しの子に至っては3ページで挫折した。

そんな自分を責めるのはやめた。

代わりに哲学の本や経済学の本や人類文化額の本を読むようにしたのだ。

これが何と楽しいこと!!!!


あれだけ好きだった「書籍コンテンツ」を再び楽しめるようになった喜びと言ったら本当に無上である。

私はやはり人間に興味があるんだなと思った。

哲学も歴史も経済学も(数式理論系は除く)人を対象としたジャンルで、言ってみたら「人間を学ぶ」ジャンルである。

特に哲学に関してはめちゃくちゃ賢いおっさんたちがその当時の世の中の常識や道徳を徹底的に疑う思考の作業だ。それと並行して自分の中の偏見という色眼鏡を外していく作業でもある。ものの見方を変える作業だ。

これが本当に楽しい。

私は文系なのだが、今まで数学ができない自分に深い劣等感を持ち、簿記や会計、プログラミングなどの実学だけが大人のエンタメでありビジネスであるというものすごい強烈な思い込みを内面化して生きてきた。

これは日本の実学偏重の影響もあるとは思う。

しかし、哲学のように大きな物語を描くジャンル、美意識や形而上観念を鍛える重要性が30代後半になって身に染みるようになってきたのである。

なぜかというと、日本のビジネスマンは著作で小手先のITや会計や英語のスキルやロジカルシンキングの話しかしないが、欧米の成功したビジネスマンは皆口をそろえて哲学と歴史の話ばかりするのだ。

これは「模倣品を作る能力は非常に高くIQは高いけど抽象的なことを考えたりクリエイティブにゼロからイチを作るのが苦手な東アジア人」というステレオタイプがある程度正しいということと、そのステレオタイプまんまである東アジア人の自分を考えさせられる出来事だった。

あと、私は理系リテラシーや知覚推理IQが低く単純に会計やプログラミングに向いていないのだ。

向いていないことをやるのって本当に苦痛なんだよな。

自分の感情と向き合うのもセルフケアだと思う。

我々日本人の30代男性は本当にセルフケアが苦手だとつくづく思う。自分に対してちょっと暴力的すぎる。

「自分の機嫌は自分で取れ」という手あかのついた陳腐なフレーズを少しだけ最近見直すようになった。


以下のような記事を書いています。よかったら是非。
好評だった記事たちです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?