連載小説《Nagaki code》第8話─個性的な第一印象
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「長岐洋介です。こういう仕事は初めてなので緊張してます。よろしくお願いします」
職場に通された僕は、照内さんに紹介されて挨拶をした。職場にいたのは、照内さんを含め3人。
「はーい、みなさん仲良くしてくださいねー」
呑気な声で照内さんは言った。職場の人達は「はーい」と声を合わせた。
「おー、爽やか好青年だねぇ」
頭にタオルを巻いた男性が僕に近づいてくる。
「俺、清川一輝ってんだ。カズって呼んでくれ。よろしくな!」
清川さん……カズさんは握手を求めてきた。僕は「よろしくお願いします」と手を握り返した。
「さっそくだけど長岐君、彼女いるのか?」
「なっ!?」
突然の質問にドギマギする。
「もう、カズ君ったら」
カズさんの隣にいた女性がふふっと笑った。歳をあまり感じさせない綺麗な人。こういう人の事を美魔女って言うんだろうな。僕はそんな事を考えた。
「私は佐伯里花。よろしくね、長岐君」
名前を聞いてひとり納得する。『リカ』という名前の人には綺麗な人が多いという自分の中の決めつけが当たっていた。僕は佐伯さんに「よろしくお願いします」と頭を下げた。
僕らが話していると、照内さんに連れられ、学校の制服を着たひとりの女の子が職場に入ってきた。
「はーい、高校生アルバイトの子でーす。自己紹介どうぞー」
相変わらず間の抜けた声で照内さんが言う。
「薬師岱高校2年、須川靖歩です。よろしくお願いします」
短めのポニーテールのその女の子は、ぴょこんと頭を下げた。
「高校生だからっていじめないでくださいねー」
照内さんが言うと、またみんな「はーい」と声をそろえた。
靖歩ちゃんと目が合う。何故か視線を反らすに反らせず、しばらく見つめ合っていると、彼女の方から僕に近づいてきた。
「あなた……ネコね」
「へっ?」
僕を見てニヤッと笑った靖歩ちゃんは、それだけ言うと僕の元を離れ、説明を聞くため照内さんの方へ行ってしまった。
(ネコって、何だ……?)
疑問を抱いたまま、僕も説明を聞きに照内さんの元へ向かった。