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光明院とわたし

大好きなお寺、
東福寺の塔頭"光明院"。
今年の5月から週に4回ほど朝にお掃除をさせてもらっている。

はじめて光明院に訪れたのは5.6年前だったか。
「波心庭」というすてきな名前のつく枯山水のお庭は作庭家、重森三玲さんがつくられた。
立てられた石、高低差のあるモリッとふくらむ苔の山、波紋が静かに波打つような海。少し視線をあげれば茶室に描かれた月が見える。

あまりの気の良さに、ここはわたしにとって特別な場所だと直観した。

その後も節目ごとに訪れるようになる。

振り返れば、東福寺には縁が深い。
幼少の頃、稲荷山から東福寺まで
よくハイキングや散歩をし
龍の天井画を眺めてきた。声を出すとお堂に響くのがたのしかった。

はじめての一人暮らしは東福寺今熊野、母方のお墓を熊本から東福寺の塔頭"大機院"に移したり、20年以上通う甘味処も東福寺にある。

光明院がぐぐっと近づいたのは、昨夏BRIAN  ENO AMBIENT KYOTOの展覧会のスタッフをした際、一緒に働いていたディレクターの大さんが
光明院と交流がある事を知り、住職の慶水さんを紹介してもらい、お庭の草引きをさせてもらった。

わたしのお掃除場所は主にお寺の外。玄関、前庭、波心庭、お墓周りなど。
初日にざっくり案内してもらい、あとはお任せスタイル。
お寺の決まりごとはあるか
慶水さんに尋ねたところ「決まりごとはとくにないが、自主性をもつことと、お寺に愛情を注ぐこと」という言葉が
返ってきてわくわくした。

自由にさせてもらい有り難すぎるのだが、
波心庭をわたしのように心のチューニング場所にしている
人が沢山いるだろうし、国外問わず観光客の方も連日よく見かける。
苔の合間に伸びてくる草をただ引けばいいとは到底思えなかった。


朝露に光る苔

毎朝8時前に光明院へ行き、摩利支尊天さんと本堂で手を合わせ
ぐるっとお庭の様子を観察し本堂ですこし目を瞑るのをルーティンとしている。

お庭の草引きをする時、どうしても苔を踏んでしまう。それがはじめは申し訳なくて遠慮がちな気持ちでお庭に入っていた。
そうすると、苔を踏む人と踏まれる苔という関係になる気がして心持ちを変えた。
お庭や自然と仲良くなりたい。
わたしが庭の一部として動くこと、庭と会話しながらお手入れをする人になろうと最近は思っている。

苔の事を知りたくて、図書館で借りた「コケ図鑑」にとても興味深い事が書かれていた。

コケは構成形態的に1本では立っていられないほどにか弱い。
だから多くのコケは寄り集まって群落をつくり、互いのからだを支え合って生きている。

コケ図鑑

その他にもコケのおもしろい仕組みを知り、ますます愛着がわいている。

お庭には苔以外の植物、昆虫、土などたくさんのいきものが住んでいる。
ひとつひとつを掘り下げると、はてしないけれど楽しい。

まだ入り口らへんでわちゃわちゃしてるのだろうけれど、少しずつ自分のペースで無理なく深めていきたい。
すぐ肩に力が入ってやり過ぎるタイプなので気をつけよう。

お庭に生えたキノコ

光明院に多謝。

野生の女



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