青果物の非コモディティ化
僕たちがスーパーへ行けば、当たり前のようにならべられている青果物の数々。
リンゴやみかん等の果物をはじめ、キャベツや人参といった僕たちが日頃から口にする野菜がズラリと並んでいます。
そこでこんな疑問を持ったことはありますでしょうか。
同じリンゴでも250円で販売されているものもあれば、150円ぐらいで販売されているもの。そして、キャベツや人参もリンゴと同じように価格に差があったりすることも珍しくはないはずです。
もちろん品種や産地の違い(国産、海外産)によって仕入れ値が変わってくるので、一見同じ青果物にみえるものも、そうした理由から価格に違いが生まれたりするのは当然のことです。
しかし、残念なことに販売者側、もしくは生産者から見ると全く違った品種であっても、それらを買う側、いわゆる消費者側から言わせてみれば、どれも同じ商品に見えてしまいます。
消費者のなかでもこの産地の〇〇は美味しいとか、〇〇の品種は甘味がすごいとかを考えながら購入しているのは全体の一割にも満たないはずです。(正式なデータはありませんが...)
とはいえ、『リンゴは青森県のリンゴが美味しい』などは青果物によっては"ブランド化"している産地もあるので多少は理解できますが、品種の違いはほとんどの消費者にはわからないはずです。
なので、前述したとおり消費者側から見た時に店頭に並べられている商品は、"どれも同じ"ということになってしまいます。
販売者側や生産者側が、全然違うと言ったとしてもその事実は覆りません…
でも、これってすごく勿体無いことだなと僕は思います。
僕はJA職員なので、日頃から青果物を目にする機会が多いだけに、リンゴはリンゴ、キャベツはキャベツと一括りにされてしまうと本当に美味しい食材を逃すキッカケにもなってしまいますし、丹生込めて生産した農家さんの"存在意義"というか、"付加価値"というか、そういったものが無いと言っても過言ではありません。
僕がこうして声を挙げるのも、日頃から多くの生産者(農家)と関わっているので、適当に野菜を出荷してお金のことだけを考えている人もいれば、一生懸命生産し、消費者のことまで考えながら出荷をしている生産者が同じ括りになってしまうことが少しだけ心苦しかったということです。
少し余談ですが、農薬には "散布してもいい基準" というのが設けられていますが、基準値内であればどれだけ使用しても問題ないということになっています。
なので、基準値内をMAXに使用する人もいれば一度も使用せずに野菜を作りあげる生産者もいるということ。
そして、恐ろしいことに農薬の使用は生産者自身で自己申告となっているので、言ってしまえばウソをついてもなかなかバレるものでもありません。
農薬検査が抜き打ちで行われることがありますが、これだけ多くの農家がいるため、そうそう指名されることもありません。
これだけ多くの農家さんや、市場で重複される多くの青果物、いわゆるコモディティ化されている中から、本当の意味での適正な野菜を見つけ出すのは至難の業です。
そして、もしこのコモディティ化を解消することができれば、販売する側も高値で提供することができるし、買う側にとっても、明確な理由による価格の違いならば、少し高い野菜であっても財布と相談できるはずです。
そして、安価による価格競争から、消費者側にも理解を得られる高値での販売を実現していけたらいいなと思います。
そのためにはまず、『一人の生産者を幸せにしたい』そんな思いで僕のこれからの事業を進めていけたらいいなと思います。
移動販売なのでかなり小規模スタートになりますが、小さなことからコツコツと。
それでは。