言葉尻とテニヲハを工夫するだけで顧客満足度が向上し自分も助かるという話。
今回の話は顧客満足度なんてタイトルになっているから、ビジネスの話だと受け取られてしまうかも知れないけど、実は対人関係をスムーズにするプライベートでも役に立つ話なので、最後まで読んでもらえれば嬉しいです。
言葉尻だけに限らず、自分の放つ言葉で相手を傷つけてしまったり、やる気を無くさせたりすることもあるので、口にする言葉は慎重にTPOを考えて発するようにしたいものです。
ほんのちょっとした言葉のアヤから、大事に発展するなんて言う話もよく聞くことで、企業であれば取引状況に影響を及ぼしプライベートでも対人関係を拗らせる原因になりやすいから、じゅうぶん気をつけたいですよね。
じゅうぶん気をつけるといってもそんなに難しいことではなくて、自分が発する言葉に、相手を咎めるようなニュアンスを感じさせないように気をつけるとか、言い回しを工夫するといった程度でもかまわないのです。
相手に何らかの行動を起こして欲しいときには、命令や指図に受け取られない口調と言い回しをするとか、助詞である「テニヲハ」に気をつけるだけでもじゅうぶん柔らかい印象になるし、行動を促すことに繋がりますからね。
私が飲食フランチャイズの店舗を経営していたことは、ほんの少し過去記事で書いたことがあるんですが、店舗のスタッフに指導していた細かい言い回しがあったんですが、そのことを実例をあげて説明してみますね。
経営していた店舗はハンバーガーチェーン店で、レジ前で注文を聞いてからパテとバンズを焼き始めるという手作りでの提供方式で、できあがった注文のハンバーガーやサイドメニューをトレイに乗せて配膳していました。
そして食べ終わったお客様に下げ膳の時だけ、セルフサービスで店内の下げ膳棚に運んでもらうというスタイルで店舗運営をしていました。
そんなに広い店舗でもなかったので、退店されるお客様がトレイを抱えて下げ膳棚に向かおうとしているタイミングで、声かけするわけですがその時の声かけが、今日のこの記事のテーマにぴったりだと思うので紹介しますね。
食べ終わって退店されるお客様に声かけするときに「そのままで、けっこうですよ」と言い、お客様がセルフサービスで下げ膳棚に向かうのを、そのままテーブルに置いていてかまわないということを伝えるわけですよ。
これが手が空いているときにセルフサービスの形式ながら、できるときには店側でやってあげようという意思で、声かけしたスタッフにとっての、お客様サービスというわけですね。
すると声かけしてもらったお客様はどうするかと言えば、手にして立ち上がったトレイをもう一度テーブルに置き直しされて、お客様によっては「ごちそうさま」の声を残し、そのまま店から出て行かれるわけです。
これって一見したらお客様へのサービスに見えるかも知れませんが、実はかえって顧客満足度を下げてしまう事態を引き起こすんですよね。
店内が混み合っておらずに、スタッフの手も空いているときなら問題がないかも知れませんが、お昼のピーク時や夕方の混み合っている時間帯には同じ声かけはできないわけです。
ですが、一度スタッフに「そのままで、けっこうですよ」と声かけされたお客様は、ピーク時や混み合っている時でも食べ終わったままのトレイを、そのままにして退店されることになってセルフルールが崩れてしまうんです。
するとどうなるかというと、次に来店したお客様がテーブルに着席しようとしても、食べ終わったトレイが乗っかったままなので「ここいいのかな?」と片づけてないテーブルに、遠慮しながら座るしかないわけですよ。
繁忙時はスタッフもきりきり舞いなので、客席が空くとすかさずダスター片手にホールに出て、空いたテーブルを拭き、椅子を定位置にセットしてすぐにまた厨房に戻るわけですね。
その時にテーブルに片付けていないトレイがあっても、座っているお客様がおられたら、食べ終わって寛いでいるお客様と勘違いして、トレイすら片付けないのですよ。
その席のトレイが食べ終わったお客様のものであれば、退店を促すような催促がましい行為に受け取られかねません。
もちろん、確認のための声かけは大事ですが、お昼の決められた1時間前後の慌ただしい昼食時間を、なるだけゆっくり過ごしてもらうためにも店舗のオペレーションは重要なんですよね。
ここで大事なことは、セルフサービスをお客様が理解して店舗を利用し、店舗側もそれに基づいて店舗を運営してる中で、サービスの在り方はもっと本質的な部分に拠らなければいけない、ということです。
そこで指導していたのが「そのままで、けっこうです」ではなく言い回しを少しだけ変えて「そのままでも、けっこうですよ」と言うように徹底したわけですね。
この言い方だと、今は混んでいないのでそのままでも、スタッフがやりますよ、という意思伝達になりお客様も、どっちでも良いのだったらせっかくトレイを持って立ち上がったついでに、下げ膳棚に持っていこう、と・・・。
お客様の行動を見て、そこですかさず「ありがとうございます!」と声かけするように指導しました。
すると、お客様の反応は「いえ、どういたしまして、ごちそうさまでした」とスタッフとの間に言葉のコミュニケーションが生まれ、スタッフにお礼を言われて、気分良くお店を後にしていただけるようになったんですよ。
これは店の文化だと言ってもいいけど、専門学生のお客様も多かったその店舗では、自分たちのトレイだけでなく、他の席の食べ終わってそのままになっているトレイまで、下げ膳棚に戻してくれるという行動になったんです。
その挙げ句に、店舗のファンクラブまでできて、開店1周年の時にはファンクラブのメンバー全員の寄せ書きと、お手製の飾り物までいただくという嬉しいことがありました。(^^ゞ
このことだけじゃないのですが、これまでの経験の中でも際だった出来事でしたが、たった1文字の「も」を付け加えただけで、劇的な違いが生まれることを再認識したエピソードなんですよね。(^_^)b
そのままで、けっこうですよ・・・要らんことするな、そのまま置いておけ!
そのままでも、けっこうですよ・・・あ、戻してもらったら凄く嬉しいです!
本当はどういう行動を望んでいるのかを言外に匂わして、相手がその通りに行動してくれたら思いっきりお礼を言う、すると相手はセルフサービスのはずなのに、当たり前のことをやってお礼まで言われて気分が良い、と。
こうなれば確実に顧客満足度はあがります。(^_^)b
そしてお客様は自分が役に立てたという自覚があるので、店舗の運営スタッフにも共感してくれて、まるで自分が運営している店舗のように、お店の商品とスタッフを贔屓目で見てくれるようになるのですね。
たった1文字ですが、その1文字の威力をぞんぶんに活用して、対人関係をスムーズにしてみてはどうでしょうか?(^_^)b
ってことで、今回は
「言葉尻とテニヲハを工夫するだけで顧客満足度が向上し自分も助かるという話。」という言い回しの大切さでした。
※見出し画像のイラストは、メイプル楓さんからお借りしました。
では!
一文字で みんな幸せ のほほんと
<1文字から始まるライティング>