#猫の恩返し さよなら
自問自答
嫁さんはたくさん調べました。
嫁さんはたくさんのアドバイスを聞きました。
そして嫁さんは選択しました。
チビ太を親の元に返す。
チャンスを与える選択
すくなからず私たち家族には情というものが心の中に芽生えてきました。それは家族間で生まれる情とは違う感覚。
チビ太がもたらした情でした。
『チビ太、君はどうしたい』と問いかけている嫁さん。
チビ太はただ、ただ、一点を見つめている。
彼から発する気というかオーラーというか、感情の波から伝わるのは、『早く親元に帰りたい』と
もしかしたら、私たちの情けがチビ太という存在に当てはめてしまい、一方的な思い込みから来る『ここなら大丈夫』という自分たちを正当化するための言い訳をしていたのかもしれない。
チビ太にとっては私たちの情けという想いは関係なく早く親元に戻り安心して暮らしたい。
ただ、それだけのなかもしれない
と気づいた。
嫁さんの言葉
もしチビ太が母親に会えなかったらというゲスな想像はしないと。
『わたしは、車にひかれたチビ太を回復するまで保護をし親元に返してあげる』
『それが、私の出来ること』
涙目で。
子たちの声
少なからずチビ太が来た事によって、子ども達は愛おしく思えることや、か弱いこと、感情を読み取るということの感覚を知り得たと思う。
離れたくないと泣いて泣いて、駄々をこねて泣きじゃくって、蹴り飛ばして疲れ果てて寝た末っ子長男。
愛おしい
動物愛護団体からのアドバイスでは母猫なら戻すのがベスト。母猫の移動には3日から4日のペースで行うといっていた。
チビ太が見ている世界
ゲージの中のチビ太は角の方で相変わらず聞き耳を立てながら寝ている。いや、いつでも母猫の声を待っているかのような感じがする。
ときより、子どもたちがスマホでゲーム音の猫の声にチビ太は反応しては泣き声を出してはまた寝る。
『やっぱ、母猫に逢いたいよね〜』と言って嫁さんはチビの身支度をし始めた。
身支度といっても何もないのは分かっているが、短い時間しか過ごしてはないが、【僕らは家族】と心のどこかでそう感じている。
うしろ姿に見惚れて
嫁さんはチビ太と遭遇した場所に戻った。そこは草むらで当たりは茂っていて猫たちにとっては格好の隠れ場所でもある。
ゲージを開きチビ太を外に出す。
嫁さんがチビ太を連れ出す時に自分にこう言った。
『もしゲージや私の側から離れてなければ、それはチビ太の意思とみなして連れて帰ってお家で飼うからね』
っと言ってそっと出て行った。
※ここからは嫁さんの話を聞いて書きます。
ゲージから外に出したチビ太は私をよそにすぐに生い茂る草むらへと真っ直ぐに走っていったと。
『私の気持ちも少しは気遣ってよ』と走り去るチビ太の勇敢な後ろ姿にツッコミを入れたと。
これまでのいろんな感情や想いなど駆け巡った数日間。愛護団体の活動などこう言った巡りあわせがあった事で知ることができたと。
#猫の恩返し
私は猫の恩返しを期待した。
そして、そんなものは無いと知った。
ただ、チビ太のおかげで数ヶ月ストップしていたnoteが再スタートできた。
チビ太は家族に愛おしさを伝えてくれた。
猫の恩返しは幻想である。
あとがき
その後を伝えたい。
嫁さんはというと数日間、チビ太と別れた場所を探偵のように張り込んで見守っていた。
とうのチビ太はというと、あれ以来もう姿を見せなくなっていた。
そんな中、嫁さんの携帯に電話が入った。義理のお母さんからだ。
『夜のウォーキング中に子猫が鳴きながらずっとついてきて、連れて帰ってきちゃった』
嫁さんは、はぁ〜っと演歌歌手ばりの唸り声をあげては、『チビ太飼えたじゃん』と電話口で話していた。
嫁さんはチビ太が使っていたゲージやミルク、おしっこマットなど一式をまとめて実家に持っていった。
ももちゃんと言う名前に決まったそうだ。
チビ太と違った事は恐れてなく、自分から相寄ってくる。そう考えるとチビ太は母猫のもとに戻れる事が彼にとってベストだったんだと。
もしかしたら、主観的で勝手な思い込みだと人に言われるかもしれないがそう言われても仕方がない。
ただ、嫁さんが考え抜いた『回復までお助けさせてもらう』
そして私は猫の恩返しを期待した。
猫の恩返しは幻想である。
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