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歩く産業廃棄物
2021年5月4日 19:52
「丸ちゃん、来てくれてありがとうね」優華は手元の水割りで口を濡らして言った。「かまへんで。俺はただこの昭和町というイカれた街を体感したかっただけや。決してお前に会いたいなどという思いは1ミクロンもないで。あっ、こりゃすまん、あんた文系か。早口やけど精神は希ガスくらい安定しとるで。あ、こりゃすまん、あんた文系か。まぁ俺のエネルギーは丸井というでかい質量と早口のスピードからきてるからなぁ。つまりE
2021年3月24日 11:14
数分歩いてドヤ街の前の自販機に宇賀を下ろした。 丸井は縁石に腰掛け、残り少なくなったハイライトに火をつけた。煙はモクモクと立ち昇り、夜空に消えていった。 「丸井、送ってくれておおきにやで」 丸井はビクッとして後ろを見た。知らぬ間に宇賀は目を覚ましていた。彼は地面に落ちているタバコの吸殻を当たり前のように拾うとフッフッとゴミを吹き落とし火をつけた。流れるような仕草が千利休の追い求めた"