今月の短歌 24年5月1日~5月15日
うざったいと思っていた青春に閉じ込められていたターコイズ
「ありがとうございました」へありがとう ふたつ離れた距離に甘えて
夕焼けの嫉妬は赤く傷口と特別でない未来を添える
あの夜の一等星の光から 白 浴びながら笑っているさ
時々は牙を剥き出す あの春の三十一文字も喉乾くでしょ?
ただ眠りたいのです、ただ。薄明かり僕には見えぬ時計は進む
すぐそばの螺旋階段 鈍い音 知らない階下 見据えてた猫
二度とない時と時とが過去になり君もセピアに色付いていく
限られたラピスラズリの青に触れ まだ乾かない季節と馴染む
明日もし目が開かなくなろうともイタドリに向けたシャワーノズル
夢という贅沢なんて 半額のレバニラ炒め 浅い呼吸で
マズローの二番目あたりの欲求を刺激し合って保たれた「和」
.足元の半透明の傷口に餃子のような靴を重ねる
お洒落着のままで老いさらばえること 重力すらも欺けそうだ
左目も二重になって港にもうすら波立つ 恋しいタバコ
幸せになりたいでしょう たんぽぽの綿毛は東、空からの報せ
ああそうさ、羊と蛇は逃げないよ 終わるとかそんなんじゃないのさ