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今月の短歌 23年10月16日~10月31日

幾分に赤黃無邪気な木々の葉に柿と無花果熟れて心も

あつあつのだいこん玉子あつあげを燗で流した幸せな日々

リネンシャツ一枚ではとストールを巻いてはらりとトアロードにて

君がいつも認められていることを少し妬いても嬉しく思う

あの夜も肯定された殴る蹴る 「手に職」とはこれかと嘆く

晩秋のこの寅の刻 目覚めの音鳴り満つ汽笛 念いの中に

グラグラの基礎に建物建てるよう レザー仕上げのエアマックスは

白くしたその嘲笑い理解して二度死んだ灯のどうでもよさよ

我が家にも金木犀を植えたけど驚くほどに香らないのだ

お洒落大好きの友達語るのは ロンドンの街 文化と差別

憎しみを洗える涙流せたらバナナを探す猿になりたい

瀬戸内の真鯛は何処も美味でいてほろほろした身明石で食す

ただ僕を否定した肌寒さとハグ スケボーの怪我ヘアスタイルも

定番が流行となり廃れてく MA-1もそうなるのかな

誤解への予想雨量を測れたら涙たる前線に傘差す

その鏡くもり残さず拭くことで未来の君を映せるんだよ

静寂が今にいちばん合う夜にツンとした残り香消えた街

二十八粒の生きれる種により得る長閑やか(のどやか)を見守る臓器

翻弄されるそのほんの繊細で触れちゃいけない域を跨いで

南見ゆ オライオン座の流星にそこはかとない意味付けをして

死ぬ前にアンナプルナを登りきり「アクロフォビア」克服して死ぬ

柿の種飛ばして距離を競い合う老若男女、霜降に湧く

Holidayにそのブランドの「顔」となり立ってただけの変わったバイト

ミディアムの長さに伸びた髪の毛をまとめる時にサイドが跳ねる

自動巻き 今の吾には巻き辛い オーバーホールいつか?と急かす

青と碧 蒼と翠の差見えずともマーブルの渦混ざりはしない

「Made in Italy」の靴 大体は履き心地無視してると思う

イノシシと対峙した時は 動じない 目線は合わせて 後退りしない

芦屋には串揚げの名店ありて美味に比例し店主の視線

冷えた夜 響くギターが僕たちの「孤独」を慰める、そんな夜

洋梨の残り香弱く薄れても より高い音鳴る胸の鐘

割らせない 割れないはずだ その刹那 パリンと音が ガラスのハート

木星の重さ土星の複雑さ 等しく廻る緩やかな時

劇薬が視界を塞ぎ眼球の上下左右の「自由」も奪う

環境は大事だよねと言い訳をしながら歩くグーグルアース

静謐な港の赤いベンチにて二十年後の幸せ誓う

友人は強く立派なパパとなり 「高校生」で止まりし我が夢路

ラグビーに感化され始める仏語 伸るか反るか「ラ・マルセイエーズ」

結わる髪 菊花のようなマンバンを色変わる日に優しく添えて

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