今月の短歌 23年7月16日~7月31日
ラーメン屋競馬場から徒歩一分うましと食す間に出走
「でオチは?」と問われ続けて30年今でも稀にジョーク飛ばして
闘志燃ゆ神戸市内のサウナにておじさんだらけのワールドカップ
元気無しせっかく伸びてきた蔓に雫と虹を、花が咲くまで
深き夏27時のハイスピード夢妨げては朝日顔出す
次回から「眼鏡等」での更新に童心戻り探すフレーム
梅雨明けはまだだと言わんばかりの雲クマゼミ気象予報士の指摘
「走りなさい」「夜寝てなさい」「食べなさい」それが出来れば楽だよ、ドクター
糸釣りを友と楽しむ夏休みアユを目論み上がるのはギギ
我武者羅な恋に溺れて夏の夜泡沫の刻闇に甘えて
後輪の太い883(パパサン)風を切り見ゆ日本海涙のほろり
木曜の朝に広がるブレンドの香り仄かな苦味を連れて
盛夏の日歩くステップ軽やいで素足に優しい微風を纏う
なんてことない11種の毒得る為の淡い診察
いじめという悪しき概念罪と罰のような美徳一寸に満たず
ゴーゴーかヒューヒューかよく分からない室外機の音にて目を覚ます
曇り無き青の螺旋を見つけたらこの足元に剛毅なる道
アンタレス赤色の花火夏祝う南天を突く燃ゆる心臓
透明感無香で溢れたこの時代「高鳴り」という名の香り纏う
夢高く青と桜の十二単南半球に踊る撫子
朝三時に職場出ては朝七時に出勤した美容の修行
右耳に微かにざわめく喧騒の生きてる心地気持ちが良くて
物凄く甘いキウイフルーツを食べた稀な日口角が上がる
2009年140文字のお陰でペーパーだが士(さむらい)になった
早歩きの紳士に負けるジョギングよ勝ち負けを諦めたのはいつ?
4個メはキングオブスイム鯱のやう要るは強さと速さ美しさ
黒色の棺に想い付いて来ず老人ホームの朝顔に水を
ルシフェルとアルテミスがお見合いす薄明かり柔い東雲色
スリッパと銘打つハワイのサンダルよ小石拾いて和の香す鼻緒
大脳がかき氷のやう萎縮する今日も記憶の欠片集めて
彷徨って目眩む時は星星の大合唱に呼応していけ
孤独から逃げようなんて思った事ないのでやはりラーメン屋が好き
糸を詠む吟遊詩人が嗤いては耐えられず死ぬ冬のヒグラシ
流行が過ぎれば終わりがやってくる一過性で溢れるこの国
この国は略語だらけで出来ていてノルウェーの友も驚くレベル
「肉を食え」「米を食え」と心配を掛けて過ごしたスーパーモデル
大阪は息が詰まると言いつつも憧れで止まる炎熱の首都
ライオンもしばしば狩りに失敗しその後現るハイエナも然り
失って失った後に見出して抗えたなら村人になれ
傷だらけのプレベに宿る青春に現の皺を刻むように弾く