1986年(昭和61年) 日本のお茶の間を魅了した「天上の女神の声」オペラ歌手キャスリーン・バトルのアルバムを紹介します
こんにちは。やんそんさんです。
複雑な仕事、家事、子育て、人間関係…。
何だかわからないけれど、気持ちがもや~っとしているあなたへ。
聴いていると、心が浄化され、気持ちがすっきりと、きれいになる、
オペラ歌手 キャスリーン・バトルのアルバムを紹介します。
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1986年。(昭和61年)
日本のお茶の間に、天上から降り注ぐような美しい女神の声が流れました。
美しい女神は、アメリカのオペラ歌手、キャスリーン・バトル。
流れる曲はバトルが歌う、ヘンデルのアリア「オン・ブラ・マイフ」。
オーストリア・ザルツブルクのヒンター湖畔で撮影された神秘的な映像は、
ゴジラ映画やオペラ演出を手掛けた鬼才、実相寺昭雄監督の演出。
ウイスキー「スーパーニッカ」のCMでした。
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CMで使用されている曲や歌手に関する問い合わせがメーカーに殺到、
低迷していたウイスキーメーカーの売り上げも増加。
新聞に“バトル現象”と報道されるほどの大きな反響がありました。
1987年1月発売のアルバム「オンブラ・マイ・フ/キャスリーン・バトル」は、3か月で25万枚を売り上げ、クラシック音楽のレコードとしては、驚異的な大ヒット。5月の初来日公演の入場券は発売後20分で完売。
クラシック音楽愛好家はもちろん、クラシック音楽に興味のない人でさえ、バトルの美しい声に魅了されたのでした。
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オペラやクラシックにも縁のない、お茶の間の日本人を魅了したバトル。
「無条件で、世界でもっとも美しい稀有な声のひとつに数えられる」
(ワシントン・ポスト紙)と、多くの批評家から讃えられ、
クラッシック・オペラ分野で、グラミー賞を5回受賞。
African-Americanの血をもつ彼女は、
黒人霊歌(スピリチュアル)の歌い手としての活動、ジャズメンと共演等、
クラシック音楽以外でも、天賦の才を発揮、
類い稀なる美しい声で、現在も多くの人々を感動させています。
話は1986年に戻ります…。
1986年当時の私は、ヴァン・ヘイレン ・ボン・ジョヴィ、ユーロビート等、
流行りの洋楽にうつつを抜かしておりまして、
クラッシック音楽は、ごくたま~に気分転換として聴くぐらい。
バトルのCMを見ても「ふ~ん、きれいな声と景色だなぁ」でおしまい。
この美しい歌声の持主が何者かと興味を持つこともありませんでした。
それから5~6年後、レンタルレコード店で、CDやレコードを物色中,
「あのCMのレコードだ。きれいな歌だったなぁ」
バトルのレコードに遭遇。そのままレンタル。
レコードに針を落とすと…スピーカーから聴こえたのは、
静寂の中、厳かかつ穏やかなピアノの伴奏が流れ、
天から降りそそぐ光のような女神の声…。
部屋中に広がる美しく清らかな声に、すぐに魅了されました。
レコードからカセットテープにダビングして美しい歌声を幾度となく堪能。
しかし…引っ越しを機に経年劣化したカセットテープは処分。
いつかCDを買おう…と思いながら時は流れ、
レコードはもちろん、CDも廃番となってしまいました。
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そして2021年の現在。
Sphotify、AmazonMusicに、たくさんのキャスリーン・バトルのアルバムが数多くアップされているではありませんか。しかもフリー!
レコードをダビングして、カセットテープで聴いていた頃と比較すると、
数千万曲の音楽がフリーで聴けるなんて、夢のような音楽環境です。
しかも、スマホがあればどこでも聴ける。
しかし、私がレンタルしたレコードのアップはありませんでした。
ですが…なんと!1989年に発売されたレーザーディスクを音源とした
アルバム「ディーバ/キャスリーン・バトル」がアップされていました。
聴いてみると、レンタルしたレコード(TVCM)と同じ音源でした。
ありがとう。Sphotify!AmazonMusic!
ただ20世紀の遺産?のためか、音質があまりよろしくないのです。
しかし!!!
キャスリーン・バトルには多くの素晴らしいアルバムがありますが、
私がこのアルバムをあなたに聴いてほしい理由があります。
それは、このアルバムに収録されている「オンブラ・マイ・フ」が
CMと同音源の1986年に、アビーロード・スタジオで録音されていたものだからです。
あなたにも35年前に、日本中が感動した歌声を聴いていただきたいのです。
スタジオ録音の影響も多分にあると思うのですが、
このアルバムではリラックスしたバトルの声を聴けるのも大きな魅力です。
歌劇場や大スタジオ録音では、ホール中に響き渡る声で歌っていますが、
このアルバムの歌声は、
すぐ近くで、やさしく語りかけるように歌ってくれているようで、
心にじ~んと響くのです。
また、ハープの伴奏がとても素晴らしく(4曲目と5曲目)、
美しいハープの音が流れると、
ギリシア・ローマ神話の世界を体感しているような
夢の世界が脳内に拡がります。
声楽やオペラのことは、全くと言っていいほど、わかりませんが、
このアルバムを何度も聴いているうちに、
声楽家の歌も素晴らしいなぁ、
オペラや歌曲のこと、もっと知りたいなぁ・・・と思ってしまいました。
また、いつものように前置きが長くなってしまいました。
それでは「ディーバ / キャスリーン・バトル」を紹介いたします。
🌸Spotifyのプレイリストを貼付けました。パソコンやスマホにSpotifyを入れて聴いて下さい。AmazonMusicでも全曲聴けます。
ソプラノ: キャスリーン・バトル
ピアノ: スローレンス・クロバクス (1.2.3.8)
ピアノ: ダニエル・サウンダース (6.7)
ハープ: ナンシー・アレン (4.5)
【録音】
1986年:ロンドン・アビーロードスタジオ(1.2.3.8)
1987年:ロサンゼルス・キャピトルレコードスタジオ(4.5)
1987年:ニューヨーク・デジタルレコーディング(6.7)
1.オンブラ・マイ・フ (G・F・ヘンデル)
オペラ「セルセ」第1幕冒頭のアリア。
「ヘンデルのラルゴ」「なつかしい木陰」という名称でも知られています。
静寂の中にピアノの調べが穏やかに響き、
木々の間から射し込む光のような声が、すこしづつ近づいてきます。
こんなに愛しくやさしく 心地良い木陰は他にない
自然への賛美と感謝の歌です。
聴いている人を包み込んでくれるようなやさしい歌声と
光の陰影のように変化するピアノの調べをじっくりと聴いていると、
心が清らかになっていくようです。
(歌:イタリア語)
2. イントゥルティーナ (C・オルフ)1937年
カンタータ「カルミナ・ブラーナ」より
「カルミナ・ブラーナ」といえば、
TVや映画の劇的な場面のBGMとして使用されるオープニングの大合唱「おお、運命の女神よ」が有名ですが、
第3部・7曲目の「イントゥルティーナ(天秤棒に心をかけて)」は、
とてもロマンチックな愛の歌です。
歌詞は、男性に熱い恋心を告白された女性が
貞淑な女性でありたい心と、彼に身をまかせてしまいたい心の間で
揺れ動く様を歌っています。
気品の中に、艶やかな色気と愛らしさを感じる、バトルの歌声。
曲が終わっても、耳に美しい調べの余韻が聴こえます…。
(歌:ラテン語)
3. 夜と夢 (F・シューベルト)
シューベルトの歌曲といえば音楽の時間に聴いた
「魔王」「ます」「野ばら」しか思い浮かびませんでしたが、
さすが歌曲王、大人向けの曲も美しくアダルトな雰囲気です。
神聖な夜、人々を楽しませる夢
日が明けると過ぎ去ってしまう夜と夢
また私のところへ戻ってきてください
月の光に照らされた、深く美しい夜のようなピアノの調べと甘美かつ清らかな歌声。
美しい夜と夢の世界へ、歌が誘ってくれます。
(歌:ドイツ語)
4. なんときれいな髪の毛(F・オブラドールズ)
「一番細い髪の毛で」とも訳される、
スペイン・カタルーニャの作曲家オブラドールズの 美しい歌曲です。
ハープの伴奏は,青く透明な美しい川のながれのよう。
夢心地なハープの音と女神の美しい声。
まるで、神話の世界に迷い込んだようです。
あなたの編んでいる髪の 一番細い髪の毛で鎖を作りましょう
あなたを鎖で引き寄せられるように
あなたの家の水瓶に私はなりたい
あなたが水を飲みに来るたびに あなたの唇に口づけができるように
歌詞は現世なら「アブない男の人」ですが…。
昔の女性はこんなラブレターをもらうと嬉しかったのですね。
(歌:スペイン語)
5. 愛のよろこび (J・P・E・マルティーニ)
フランスの作曲家ジャン・ポール・マルティーニの歌曲。
バロック歌曲の中でも有名ですが、エルヴィス・プレスリーのバラード「Can't Help Falling In Love」の原曲としても知られています。
とてもロマンチックで美しいメロディですが、
フランスの詩人、ジャン・ピエール・クラリス・デ・フローリアンの
作った歌詞は、恋人に振られた男性の嘆きの歌です。
愛の喜びは たった一日、愛の苦しみは 一生続く
耳に残るやさしい調べとフランス語の美しい響き。
他の歌曲とは異なった、あまく切ない歌声に心を奪われます。
(歌:フランス語)
6. ポプラの林に行ってきた(H・ロドリーゴ)
スペインの盲目の作曲家、ホアキン・ロドリーゴ・ビドレによる、
ラテン民謡を編曲した「4つの愛のマドリガル」の中の4曲目です。
お母さん、ポプラの林に行ってきた
ポプラが風に揺れたのを見てきたよ
セビリアのポプラの林で恋人に逢ってきたよ
スキップ&ダンスしているピアノの伴奏、
若々しい少年のような歌声。清涼感のある楽しい曲です。
(歌:スペイン語)
7. あなたがどこを歩くとも(G・F・ヘンデル)
ギリシャ神話を題材にしたオラトリオ「セメレ」の中のアリア。
ギリシャ・テーベ王カドモスの娘セメレは、
ボイオーティアの王子と婚約中ですが、神々の王ジュピターと不倫関係に。ジュピターの妻ジュノーの陰謀によって、焼死してしまうという、
恐ろしくも悲しい物語です。
「あなたがどこを歩くとも」はセメレのためにジュピターが建てた宮殿で、
セメレを楽しませようとジュピターが歌うアリアです。
あなたがどこを歩くとも、そよ風が木陰を吹き抜け、
あなたが座る木々は、木陰に群をなす
あなたが目を向けると、全てが繁栄する
美しい宮殿を自分が歩いているような気持ちにしてくれるピアノの調べ、
聴く人をやさしく祝福してくれる歌声は、
心の中の心配事や不安が少しづつ消えていき、
平穏な気持ちへとリセットされるようです。
(歌:英語)
8. いとしの森よ (G・F・ヘンデル)
オペラ「アタランタ」の中で歌われるアリア風の独唱曲です。
主人公のメレアグロが、恋人アタランタを追って、森の中で歌います。
いとしの森よ、私は愛する人を探してここにきました
シンプルでやさしいピアノの伴奏が、
情感あふれる美しい歌声を、より魅力的に聴かせてくれます。
(歌:イタリア語)
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日本のお茶の間を魅了した「天上の女神の声」
キャスリーン・バトルのアルバム「ディーバ」はいかがでしたか?
朝・昼・夜 問わず、心はもちろん、
お部屋の中の空気を
リフレッシュ&リセットしたいときにお聞きください。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
また、お会いできるのを楽しみにしています。
やんそんさんでした。