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⑩ 「家族はタイ語で《クロープクルア》と言います」 「クロープクルア?」 「はい。《クロー…
① =君のパパとママに、僕はどんな風に挨拶をすればいいのですか?= 僕は日本語でスマホにそ…
② 間違いなく斜度30度はあろうかと思われる坂道を、作り終えたばかりのナムプリックを手に…
③ 突然、どこからともなく強烈な硫黄臭が僕の鼻腔を襲う。 見上げると、何やら大きな黒…
④ 八十歳を過ぎたMaiの父親は無口な男で、僕の「ホッファー、パパぁ」の言葉に、「うむッ…
⑤ 「上はそのTシャツで良いですから、下はこれを履いてください」 Maiから深緑色の化繊の…
⑥ リス族の先祖は元々、中国雲南省辺りから来たと言うこともあってか、母親のMaiの肌は中華系の白い肌であるのに対し、Vinはタイ人独特の浅黒い肌である。しかし、涼しげな目鼻立ちはどこか日本のアイドル歌手を思わせ、きっと、バーンサムリ村の少女たちの心をときめかせているに違いないと思った。 その時、Vinの背中に隠れるようにひとりの少女がいることに僕は気付いた。 Daoである。 僕と目が合うと、Daoは目を伏せ、すっとVinの背中に隠れたが、すぐにキラキラと光る瞳を上目
⑦ 僕は夢を見ていた。 夢と言うものは、いつだってそんなものだ。遠い記憶と新しい記憶…
⑧ 『ティティティ、ティート、ティティティ、ティート』 小鳥の鳴き声で僕は目が覚めた。 …