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バーンサムリ村#3
③
突然、どこからともなく強烈な硫黄臭が僕の鼻腔を襲う。
見上げると、何やら大きな黒い物体が坂の途中に横たわっており、数人の男が黒い物体の上で焚火をしている。黒い物体は豚で、硫黄臭は豚の毛の焼ける臭いだった。
「20Kgの黒豚を買わなければならないわ。祝いの席では黒豚と決まっているの。だって、黒い豚の方が美味しいの」
数日前のMaiの言葉を思い出した。
やがて、黒豚は男たちの手で解体された後、女たちの手で部位毎に細かく切り刻まれ、焼かれ、香草や野菜と一緒に煮込まれ、集まってくれた村人たちに振る舞われるのだと言う。
バナナの葉の上に部位毎に並べられた肉片を眺めていると、『世界ウルルン滞在記』と言う好きだったテレビ番組を思い出す。タレントが世界各地を訪ね歩く番組で、特に新人タレントは世界の秘境に送り込まれ、文化の違いを驚愕体験する番組だった。ああ、まさに私は今これから、『世界ウルルン滞在記』をリアルに体験するんだと僕は思った。