ご主人はおられますか?に留守ですといつもこたえる我が主人だ (だいだい)
だいだいさんのツイートやノートを二年近く拝見してきて、私はほかの方への視線とは全く違う思いを抱いてこの方を見ている。そもそも詩人(歌人)は心弱く病みがちで、貧しくて、コミュ障で、自立とは程遠い(という偏見が少しある)。しかしこの作者はそれらの正反対をゆくハイキャリアなのだ。言葉のひとつひとつが強く、つぶやきひとつにも深みと説得力がある。これ以外の短歌作品も、現代の闇を見据えた社会詠やアイロニーに満ちた時事詠はもちろん、私的な思いについても透徹な観察力で己を俯瞰しているものばかりだ。令和の世になっても、日本のジェンダー意識はきわめて遅れていて、学歴も仕事のポジションも結婚も、あるべき平等とは程遠い。「ご主人」といえば年上の男性が出てきて当然と思う訪問者の感覚に、「いつも」ひたひたとした怒りを覚えているのだろう。「我が主人だ」という言い回しは、実際とは少し違うだろうけれど、ここにおいては音数を整えるばかりではなく、我(が)を感じさせる「我(われ)」と、断定の「だ」によって、高い自尊心が生きる仕掛けになっている。カギカッコを配せず「?」だけを入れたことで、この社会への疑問が浮き彫りになるようで好ましい。
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