一番になる事の意味。
よく、何でも一番になれ、という人が多い。
これは少し違うと思う。
なりたい人と、なりたくない人が存在する。
分けて考えた方がいいと思う。
No.2のポジションでいた方がいい、
そう言う人もいる。
理由は、全責任を負わず、業務に専念出来るから。
若しくは自分の器量はNo.2だ、と自覚し望まない。
こういう人は一番になる必要はない。
昔、業務仕分けという事をした、愚かな党の女性議員が、こんな発言をした。
「なぜ2番じゃダメなんですか?なぜ1番になる必要があるんですか?」。
こういう愚考は、社会で笑われる。
ビジネスでは、一番売れる物はイコール、消費者が必要とする物である。
1番になると更に売れる。
だから儲けが出て、その儲けでより素晴らしい物を開発し、お客様に提供し、より喜んで頂く。
だから、一番にならねばならぬ。
こんな事も分からない者と、議論する気になれないので、私は日本の政治に期待しないのだ。
さて、写真にあるのは今月の30日。
大分県の中津市でデビュー戦を行う、国分蓮太。
高校生の頃、バトミントンで日本一位。
その世界で国分の名を知らぬものはいない、と聞いたことがある。
彼が入会して1年位は、あまり気にならなかった。
ボクシングにバトミントン。高専では成績優秀で、コンビニでバイトをする。
何故入会したのか分からず、よく叱った。
確かこいつが15,6歳の頃。
その頃の私は、人としての生活をしてなかった。
24時間戦えますか?というCMがあったが、10年間戦えます、という仕事ばかりの日々を送っていた。
常に夢遊病状態だが、事が起きれば、脳内コカインが出る。
アドレナリンと共に徹夜で仕事をする。
ジムでスーツから運動着に着替え、リング上で夢を一瞬見て、ミットを持ちながら、てめえの寝言で起きた事なんか2回はある。
ついウトウトした、という言葉はカワイイ。
ウトウトではなく、いきなり失神、または気絶する。
今、現役のプロで試合をしてる子は、そんな私を、当時そっと寝かせてくれた。
小学生の父兄の当時の合言葉は「会長さんは仕事が忙しいから、邪魔にならないようしなきゃダメよ」だった。
本末転倒も甚だしく、今思えば本当に、感謝と謝罪の気持ちでいっぱいである。
私は学歴もなく、得意な事は交渉事だった。
次に人を見て心理を読み、将来どういう人間になるかを当てさせたら、誰にも負けない、という取り柄があった。
故に、色んな企業や人から引っ張りだこで、報酬換算すれば、田舎のビルを10棟位は買える程だと思う。
しかしお金は殆どもらわず、お世話になった所で、色んなトラブルや交渉を片付けた。
この手のコンテストがあれば、多分一番だった自信がある。
そんなある日、國分からラインが来た。
内容は「僕は、1人で何個も仕事をする会長を尊敬している。どうすればそうなれるか、今度相談させてほしい」。
こういう内容だった。
よく見てる面白い奴だなと、昨日の様に記憶している。
さて昨日。
國分が試合のチケットを取りに、夜遅く家に来た。
一度に何個もこなす2人は、お互いチケットを渡す事も貰う事も忘れ、ひたすら話すこと二時間に及んだ。
國分はまだ22歳だが、30代の実業家に、経営学を教えてる様な錯覚に陥った。
今度の試合は、恐らく國分の、最初で最後の試合になると思う。
だからその後の人生において、2つの事を教えた。
一つはどんな事でも三年は辛抱し、雑巾掛けをやること。
一つはその世界で一番になりたければ、一つの仕事に専念する事。
ただ、後者は本人の自由である。
将来、私の会社に入社するかも、等と話をしてると、よーく考えたら試合チケットを撮りに来たんだ。
それを思い出した。
帰る前の30分間。
人生論になり、國分は直立不動で立ち、手を後ろに組み、一言一言噛み締める様に聞いていた。
もしボクシングに専念すれば、こいつは日本タイトル迄持っていく自信がある。
しかし、本人は起業を目標としてるので、ボクシングと仕事に通ずる共通項を探し、正道を彼に教えた。
こいつは打てば響く。
子供でさえ、打っても響かない子がいる。
こういうのは親が悪い。
うちのスタッフに、私の書くタイムラインは、朝起きて毎日イイねを押す様、ルーティンにしろ、と言い続けたが、3日続いた奴はいない。
イイね、を押す意味は少しでも多くの人に、当ジムの理念を理解してほしいからである。
それすらやらない者は、そう簡単に人生の勝者になる程、世の中甘くはない。
だから今は言わない。
打っても響かなければ、言う時間が勿体無い。
さて、國分に教えた3年の辛抱。
なぜ3年かというと、3年でやっとその道の基本を知る。
分かるのが10年。
10年と1日目から、分かった事を行う。
3年で知り、10年で分かり、その後に真の行動、となる。
1番になりたくて120%、正しい経過を正しい努力で行えば、まず達成する。
出来ないのは、やってるつもりの時。
この世で唯一、反省できる生き物は人間だけだ。
反省なきところに、気付きはない。
気付きが無ければ疑問もなく、思考停止のまま生きるだけとなる。
そういう人間を多く見てきた私は、YANAGIHARAジムから、そんな人間を出したくないので、私は人より難しい事へ敢えて挑む。
この世に無駄はない。
そう最後に言い、昨夜國分を帰らせた。
最初で最後になるであろう、30日の試合。
國分の集大成を、お見せしたい。
この日の興行で一番面白い試合をし、第二の人生も関わっていく。
プロとは、ボクシングに限らず、何の世界でも、お客様に一番の物を提供する人をプロと言う。
そんな当たり前の事を、当たり前にやろうと思う。
皆様、応援の程、是非宜しくお願い致します。
YANAGIHARAボクシングジム
会長 柳原廣一