組織は人を大切に、愛情を持ち、ある時は非情になり、泣いて馬謖を切る。

先日、小倉であった火事は天麩羅油に火がつき、そこに水をかけた事が、火事の原因である。

私はこれを聞き、頭が？となる。
ボクシングに限らず家庭の知恵は、島田トレーナーに聞く。

なぜ火に水をかけちゃならないのか？
そう聞く私に、島田トレーナーは優しく教えてくれた。

しかし今迄「男は厨房に入るな」と、母に教えられ生きてきた私が知る筈がない。

聞く所によると、議員の何割かは知らなかったという。
これを笑う事は出来ない。私には（笑）。
ご年配の方は結構知らんのだ。

「会長の教育論は素晴らしいけど、義務教育でもこういうのは教えるべきじゃないですか、笑われますよ北九州」。
そう怒る国立大での議員に、学のない私は「まあ私の様に男子厨房に入らず、を通せば、油の使い方を知らんのだから、火はつきません」。

と冗談の様で真顔で言うと、珍しい生き物の様に見られた。

話は少し変わる。

尋常小学校があった当時、文武両道を唱え、教育をしていた明治頃は、20歳で一端の大人であったという。

尋常とは以下の意味である。
・特別でなく、普通であること。また、そのさま。あたりまえ。

・見苦しくないこと。目立たず上品なこと。また、そのさま。

・態度がいさぎよいこと。すなおなこと。また、そのさま。

・りっぱなこと。すぐれていること。また、そのさま。

ボクシングジムも会社組織も、報告・連絡・相談がないと崩壊する。

これを口酸っぱく言わぬいトップは、当然情報は入らず、私の様に口酸っぱく言っても、言わない社員が多い時は対応に困る。

本音では、「何かあった時、その報告がなかった事が原因なら責任を取れるのか」と、言いたくなるのが、経営者の正直な気持ちだろう。

しかしラッキーか、悲しいのか、我が社は、色んな情報は他の組織から入る。
うちの情報が他から入る、という事態を想像してほしい。

哀れである。惨めである。そして怒り、呆れるしかない。
唯一、他の組織が心配してくれる、という事が救われるだけだが。

ある経営者が「悔しいけど会社組織は、ヤクザ組織のこの手の教育には勝てない」と私に言った事があるが、確かに正解である。

うちでも口を酸っぱくいうが、感情や余計な私見を込めず、報告を正確に端的に上げる従業員は、ごく数人。

こうなると教育係が要るのだが、ある時付けた教育係は、これがまた報告をあげない事では、北九州で3本の指に入る男だった。

今の私は、ジムに行く時間になると、肝硬変末期の状態になる。

何故なら私には一円もならないが、北九州の改革を考え、物凄くリアルな発想が噂となり、昔なら考えられぬ、雲の上の人と話す。

そんな人や縁の下の人と話したり、今後多くの会社をご紹介をされる、という順調さを考えると羨ましいと思うだろうが、相当な勉強と知識を此方も努力して頭に入れる。

裏返せば、それ位頭を使う。
当然、話す時は神経を使う。

終わると、かの様にぐったりとなり、ジムでは、今迄の様に動けない。だからジムの内容は報告がいる。

北九州の改革は、社員は使わない。
政治や社会の仕組みをまだ教える時期ではないので、今、与えた仕事に専念させる。

社員は殆ど私と一緒にいる時間がないから、と思うのかも知れぬが、それは違う。

「普通の人」「素直な人」なら、普段一緒じゃないからこそ、報告を通常より上げる。

それでも私は「ジムや会社であったことで、お前には大した事ない出来事と思っても、そのことの重大さは俺が決める」と教える。

これが報告であるが、密告と勘違いしたのがいて、先週叱り上げた。

しかし2度3度、となると、もうこいつには期待しない、となるのが私の悪いところで、だから少数精鋭で来た。

しかし、数年前から仕事のキャパを超え、数人社員を増やした。

給料を払い同じ方向に行き、利益を上げ還元するのが会社である。

組織は大抵、自分が優秀だと思う者か、失敗を恐れ、何にも触れない者とに分かれる。これが報告をあげないパターン社員となる。

勿論この時点で、彼等は、優秀ではなく尋常ではない。

歴史を紐解くと、馬謖を切られる人は、大体が優秀な人に多い。
俺が知ってればこの組織はいいんだ、と言う勘違いは怖い。

しかしそこに行くまでの尋常さを、学校で教えない。

今子供たちを教育してるから、尚更感じる。
この子らは日本の至宝だから、大人が間違えず、いい子のままで育ってほしい、と。

最近人は見てくれてる、と気づき、本当に今まで駆け抜けてきて、よかった、と思う。

同時に、社員の事も社長は見える。
しられてない、と思うのは甘い。

尋常小学校で、どんな勉強を教えていたのか。
一度一から習ってみたい。

最近ビジネスの方でも、尋常小学校を無くし、教育は将来悪くなる、と当時予言した安岡正篤氏の言葉を読み、大きなヒントを得ている。

さあ、明日も大事な打ち合わせ。
隙間時間で徹底して、この辺の歴史教育を勉強し、明日の打ち合わせに生かす様にしたい。

人間前向きで諦めず、素直で利他的であれば、必ず夢は達成する。