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リアル教育日記・小学校校長編

※写真と本文は関係ありません。


かなり昔の話で時効だな、という体験記を思い付くまま書く。

以前うちのジムの小学生の子が、学校で他のクラスの子と喧嘩をし
て先生から叱られたと言う事があった。

親や大人が子供の喧嘩に出ていく事は、子供の自立を阻害し将来
自己判断能力の低下等に繋がるので、喧嘩自体は問題ではない。

この時うちの小学生の親が「納得がいかない事がある」と私に伝え
に来たので、その時の経緯を以下に記す。

  1. 当ジム生が小学校で友人に喧嘩を売り相手が暴力を振るった。

  2. 先に喧嘩を売ったのはうちのジムの子なので、先生に謝りなさい、と言われ相手に謝った。

  3. 対する相手の子は、殴った事を謝らないので教員が謝るよう諭したが、頑として謝らないと言い続けている。

簡単に言うとこんな流れだが、私は両者の言い分を聞き、何か齟齬
がないか、嘘がないかを見極てから話をする。

当該小学校に私が電話をしたのは、忘れもしない金曜の昼。

「校長は外出してるので帰り次第伝えておく」と言われた私は、
「大事な事なので、帰り次第一番に電話する様お願い致します」。
そう言って電話を切った。

それから待つ事、4時間以上が経った16時40分。

一向に折り返しの電話がないので、再度電話をすると、やはり校長
は帰っていた。教育に鈍感になられた方かな、と言う思いが過る。

「いつお戻りになられたのですか?」という私の問いに、校長は
「15時頃だ」と答えた。

これも想定内で、全く子供の教育に関心がないから、校長としての
行動の優先順位を間違えてるな、と思った事を覚えている。

「この件で明日の土曜日朝、当ジムで親御さんと担任の先生とお話
をしたいんですが」。

校長「明日は休みでして」。

「ご安心下さい、うちのジムは営業してます。まさか・・・。校長
が子供の問題でお休み、とは言わないでしょ?担任の先生の身内に
不孝事でもあると言うなら分かるんですが」。

校長「いえ・・・。では2人で行かせてもらいます」。

こうして翌日の土曜日に、我がジムの会長室に、私、当ジムの子供
とお母さん、校長と担任の先生の5人で話し合いをもった。

うちのジムの子のお母さんが頭の良い方で、説明も理路整然として
分かり易かった。

特に「うちの子が謝り、相手が謝らないのが通るのは相手の子にも
良くない。平等にするのが教育ではないか」と言った点。

これが俎上に上がることになる。「今回の件はお互い悪い事をした
んだから、謝りましょ」。

それが論点に絞られ、私は担任の先生に意見を求めた。

担任の先生はまだ20代の女性教師だった。目を見て教育には非常
に真摯で、真剣に向き合ってる方だな、と感じさせる人だった。

この先生の主張は、このようなものだった。

「生徒の意見を尊重したい。謝りたくない子に無理に強制して謝ら
せるのは間違いだと思う。謝るまで本人の意思を待ちたい」。

簡潔に纏めるとこの様な意見で、確かに全否定は出来ない主張だと
思う。

過去に私は2冊の本を出しているが、教育は家族にあると言うのが
西洋でも世の常識で、学校は家庭、つまり教師は親の延長線に立っ
ての目線であらねばならない、と信じる。

私はこの様な質問を思い出し、言った。

「先生。ある有名なテレビに出る先生が、偏差値70以上の高校に
行き講演をした。一本で100万程のギャランティを取る方です。最
後に質問はあるか?と言うと、1人の生徒が質問をしたそうです。先生達は何と答えますか?」

そう言い、間髪入れず、その時の高校生が質問した事を振った。

「何故、人を殺しをしちゃだめなんですか?」


私が「そう聞いたそうです。さて、先生。何と答えますか?」

そう言うと、女性の担任教師は「その人の親や子供が悲む・・」。
そう言い出したので、話しを遮り、こう言った。

「偏差値70以上の高校です。国立大に行くレベルの子ですから、
そんな事も全て含め、考えに考えた上での質問です。哲学的な考え
をする子は、得手してこう言う事をよく考えるんです」。

哲学的な考えを子供の頃からする私はそう言い、次に校長に質問を
振った。

しかし、というより矢張り、まともに答えは言わなかった。

この校長は自分の身の保身しか考えてない、と思った私は校長よ
り、さっきから興味深く話す女性教師の方を向いて言った。

「いいですか、先生。何故人を殺したらダメか?なんて質問をまと
もに受けるからいけないんです。親や教師がダメなもんはダメだ!
理屈じゃねえ!そう言えばいいんです」。

続けて、こうも言った。

「校長は教育に興味がない様ですので、お答えにならなくて結構で
すが、担任の先生は子供の頃、親から、何でこんな理不尽な事で叱
られるんだ?と歯痒く思った経験が多々あったでしょう?」

聡明な女教師は「そういえばお箸の持ち方とか、マナーとか」。

「そこなんです。膝を立ててご飯を食べちゃいけない決まりはあり
ません。でも親がダメな物はダメだ!と言えばダメ。今は煩かった
親に感謝してるでしょ。これが躾ではないでしょうか?」。

目から鱗が取れた女教師と「早くおわんねえかな、怖い目つきした
ボクシング屋が偉そうに」と言う目をした校長に、更に言った。

「子供の頃に悪いものは悪い、そう言う時は謝れ!そういう事を素
直に聞く年が小学生の頃です。謝りたくない、そんな権利なんか親
から食わせてもらうお前にない!そうはっきり言うのが躾です」。

女教師は納得したが、校長はサバの様な目で、相変わらず心ここに
あらず、という態度が続く。仕方ないので切り札を出した。

「校長。この話がお分かりにならないなら、同じ話しを教育委員会
に行ってするだけです。私は誰が相手でも、同じ事を堂々と主張す
るだけです。」。

自分の保身を守る天才、サバの目がサメの目になった校長は、いき
なり立ち上がり「分かりました!速やかに善処します」と言った。

私は「事を大きくせず、子供に正しい事を教えて下さい。今恨まれ
ても、教育者だから仕方ないですよ、後で子供も分かりますよ」。

そう言って解散したのだが、一抹の不安が残った。

そして事件は起きた。

翌週月曜日。

校長は、小学校で全校集会を催し、今でも不思議でならんのだが、
全生徒を集め、その満座の場で、うちのジムの子を殴った子を立た
せ、何と謝らせた、という。

これを聞いた時、何かのジョークであって欲しい、と思ったが手遅
れだった。

この校長は聞く所によると、異例のスピードで何処かに飛ばされ
と聞いた。

北九州は、市長と教育委員会が本当にしっかりしてる。
何故もっとベストな、いやまともな指示を仰がなかったのかと嘆い
ても遅い。

全ては教育から始まるのに、政治家が良くなる事を優先順位の上位
に持ってくる、誰が聞いても順序が逆だと分かってて着手しない。

しかし、無理だと言えばそこで全ては終わる。

私個人で言えば今は力を蓄え、私財で将来やりたい教育があるが、
まだ偉そうな事を言う程分かっていない。

この校長も私も、そして貴方も君も、1ヶ月前、1年前を振り返り
その時と今とどう自分が変わったか。悪くなったならどう治すか。
良くなったのなら、もっとベストなやり方はないか。

これを反省と言う、人間だけが与えられた能力なので、反省は必ず
行うべきだ。

自分が正しいと思うのはいい事だが、少なくとも謙虚さや人の意
見に耳を傾けなくなると、必ず反動が来る。

少なくとも自分と、自分が大切だと思う人の為を思えば、自分達が
楽しく正しく生き残れるコミュニティは持つべきだ、と考える。

問題は誰がそれをやるか、だけだ。

少なくとも自分の身の保身だけを考える人は、人から喜ばれも嫌わ
れもせず、存在すら忘れられる。

そんな理由の為に人は生かされてるのではない、と思うのだがどう
だろうか。





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