あだち充『H2』ネーム完全解剖 第20巻 第9話
第9話 大きすぎる期待
千川対伊羽商の試合開始。千川の先攻。
伊羽商・月形の非凡さと、それを越える千川・比呂の凄さに触れる回。この試合の演出は難しい。ラストに劇的な場面が用意されているがそこまでの引っ張り方が難儀なのだ。あまり盛り上がるとラストが際立たない。抑えすぎると読者が目を離してしまう。あだちさんは月形選手の身辺事情でそこを切り抜ける算段。
それらは次回以降に触れるとして、本回では野球漫画の先攻、後攻について述べる。
一般的にこういう考え方をすると考えやすい。
主人公チーム・勝ち
相手チームを圧倒する場合 先攻・後攻 どちらもあり
相手チームが圧倒的な時 後攻の方が盛り上げやすい
相手チームと拮抗する時 先攻・後攻 どちらもあり
主人公チーム・負け
相手チームが圧倒的な時 先攻・後攻 どちらもありだが 後攻の方が作りやすい
相手チームと拮抗する時 先攻の方が盛り上げやすい
考えるポイントはサヨナラゲームという野球のルール。相手チームと拮抗していてサヨナラ負けになった時、実力に差がついた感じがしないという利点がある。ミスでもサヨナラは起こるからだ。
相手チームが圧倒的で負ける時は後攻にすると、ものすごく差がついて負けたような感じにできる。