Eurovision Song Contest 2022 注目しているアーティストたち ※準決勝2結果反映済み
今年もやって参りましたEurovision Song Contest(以下、Eurovision表記)。これは、欧州放送連合(EBU)加盟放送局により開催される年に一度の音楽コンテストです。参加各国から代表一曲が選ばれ、コンテスト当日のパフォーマンスはすべて生歌。映画にもなっていたので、そちらをきっかけに知った、という方も多いかもしれません。
今年は2021年の優勝国・イタリアで5/10~5/14の期間、こんな流れで開催されます。
5/10 準決勝1…全17カ国→10カ国が決勝へ
進出国:リトアニア、スイス、ウクライナ、オランダ、モルドバ、ポルトガル、アイスランド、ギリシャ、ノルウェー、アルメニア
5/12 準決勝2…全18カ国→10カ国が決勝へ
進出国:フィンランド、セルビア、アゼルバイジャン、オーストラリア、エストニア、ルーマニア、ポーランド、ベルギー、スウェーデン、チェコ
5/14 決勝………準決勝1&2、シード5カ国
(日付はCEST)
ヨーロッパ情勢が不安定な中での開催、出場アーティストや国に影響は出ていますが、せめてコンテスト中は出場者・観客共に楽しい時間が過ごせたらいいな! と思っている次第です。
そこで今回は、開催が迫る今年のEurovision出場者の中から、今私が気になっているアーティストを、
1.正統派シンガーソングライター枠
2.バンド枠
3.ナゾ枠
に分けて、ご紹介したいと思います。(末尾は出演予定日です)
ぜひ、大型連休中にお気に入りのアーティストを見つけて、本番に備えましょう!
※準決勝の結果、決勝進出者には🕺を付けています。
5/11 準決勝1の結果&感想追記
5/13 準決勝2の結果&感想追記
※🏆決勝結果含め、全ファイナリスト+αの感想はこちらをどうぞ。
1.正統派シンガーソングライター枠
S10 / De Diepte(オランダ) 5/10 🕺
曇り空のような淡いボーカルが魅力的なS10。歌唱はオランダ語で、彼女自身の物語でもある曲だからこそ、母国語で歌うのだそうです。
シリアスな曲調、歌詞も「この気持ちを知ってる? あなたの夢は、永遠に叶わない」から始まり、ひたすらに苦しくもがいていることがわかります。しかし、だからこそ美しい。コンテスト当日、この美しい歌声がどんな風に響くのか。今から楽しみですね。
※私のオランダと音楽の思い出はこちらの記事にて。
【準決勝1の感想】
美しい歌声とエモーショナルかつ静謐な空気にうっとり。暗闇を裂くような演出も、楽曲にぴったりでした。神聖な儀式を見たような心地。
Ochman / River(ポーランド) 5/12🕺
このMVは不穏なフルーツバスケットみたいで、どんな歌い方だろうかと思っていたら、ミュージカルとポップスの間のようなで驚きました。掠れることなく伸びる高音、甘く響く低音。なんでも、ポーランドの有名テノール歌手ヴィエスワフ・オクマンの孫にあたる人だとか。でも、血筋だけではなく努力があるからこそ、この歌声が出せるのだろうと私は思います。
彼自身はポーランド系アメリカ人、デビューアルバムは11月に出たばかりとかで、またとんでもない才能が世に放たれたな……と感じた次第です。
【準決勝2の感想】
えっ、歌がうまい……。喉からCD音源とはまさにこのことでは? サビのファルセットボイス含め、もうずっと音源みたいな安定感。雨音の演出から始まり、一瞬にして会場が彼の空気に変わるのがわかる、神聖ささえ感じる歌声。素晴らしかったです。
MARO / Saudade Saudade(ポルトガル) 5/10🕺
ハスキーボイスとシルキーボイスって、両立できるんですね……。そう思いながら聞き惚れてしまった歌声。切なく淡いメロディは、確かにポルトガルの音楽ってこういうところあるよな……と思わせてくれます。(※)
彼女はポルトガルでの予選を勝ち抜いた人。一般投票と審査員投票両方で首位を獲得したという、とんでもない代表です。圧倒的存在感、どんな結果になるかドキドキします。
※私のポルトガルと音楽の思い出はこちらの記事にて。
【準決勝1の感想】
ありがとう……ありがとうMARO……。心が浄化されそう。この切なさを大きなステージで表現できるのは本当にすごい。Eurovisionなのに、友達が隣で慰めてくれているような距離感。
Amanda Georgiadi Tenfjord / Die Together(ギリシャ) 5/10🕺
※5/11追記
【準決勝1の感想】
事前にはノーマークでしたが、準決勝1を見た時に心惹かれて見入ってしまいました。こういうことがあるので、Eurovisionは最高…!
神がかったパフォーマンス、緊張しているのかややぎこちなさはありつつも、まるで神殿から音楽の女神さまが現れたような神々しさ。決勝でも彼女のパフォーマンスが見られるのが嬉しいです。
Nadir Rüstamli / Fade to Black(アゼルバイジャン) 5/12🕺
※5/13追記
【準決勝2の感想】
この曲聴いた覚えあるし、自分は好きそうだと思いましたが、何故かピックアップしてなかったですね。思い出せて良かった!
座ったり寝転がった状態でそんな歌声出せるの……? 歌唱力に惹きつけられ、会場の人たちと一緒に固唾を飲んで見守りました。(それにしても低い地声とのギャップよ……)
Sheldon Riley / Not the Same(オーストラリア) 5/12🕺
※5/13追記
【準決勝2の感想】
歌が、上手い…!ノーマークでしたが、あんまりにも歌がうまく、本人以外を影に据えた美しい世界観に見とれてしまいました。性別を超越した衣装やステージングの出演者の姿が見られる準決勝2、現代的で良いですね。歌唱後の笑顔まで美しかった。
Andrea Koevska / Circles(北マケドニア)
※5/13追記
【準決勝2の感想】
最初の震える歌声がシリアスな曲調と合っていて、その後の高音とのギャップ含めやられました。ダンサーなし、本人も黒一色のシンプルな衣装、光演出のみという中、高い歌唱力が輝いていました。私はなぜだか泣いてしまいそうでした。
Sam Ryder / SPACE MAN(イギリス) 5/14
Eurovision以前にTwitterで彼を見た時、なんとなく「明るそうな人だなあ」と覚えていたので、再び名前を見られてとても嬉しかったです。
グラミー賞受賞者のAmy Wadgeと共同制作された楽曲、彼の特徴であるハイトーンボイスを活かしたメロディ、耳に残るキャッチーなサビ。きっと歌っている本人も、気持ちがいいでしょうね。UKアーティストの中でTikTokでのフォロワー数が最も多いとのこと、その人気も納得の歌唱力です。
2.バンド枠
The Rasmus / Jezebel(フィンランド) 5/12🕺
フィンランドと言えばメタル大国。その印象があったので、この曲を聴いた時思った以上にメロコアで今年は来たんだなあ~なんて思いました。
しかし蓋を開ければこのThe Rasmus、活動歴30年以上の大御所とか。それにしてはなんだこの瑞々しい感じは……とびっくりしました。Spotifyが生まれる前、2003年リリースの楽曲にもかかわらず、再生数は1億回を突破。なるほど……。これがフィンランドの本気! 大御所ならではの安定感あるライブが見られることでしょう。
【準決勝2の感想】
こんな力強い歌声のジョージィ……がいるか。そしてやはり安定感がある、さすがベテランですね。トップバッターとは思えない、空気感が彼らのワンマンライブの最後の曲並みの盛り上がりで圧倒されました。
LPS / Disko(スロベニア) 5/10
こちらは一転して、2018年に学校の音楽室で出会って結成されたスロベニア代表の若いバンド。LPSという謎のバンド名の由来は“Last Pizza Slice”だそうです。ピザかあ。あまりにも検索が難しいバンドで、YouTubeチャンネルを見つけるのに苦労したので、貼っておきます。
サムネの時点でいい予感がしていましたが、まさにその通り! 歌謡ショーのようなステージング、楽曲もその名の通りディスコで流れていそうな80年代風。ファンクなちゃかちゃかギターが耳に楽しいです。
ただし内容は、”ボーカルのFilipがディスコで恋人に振られた”という実話に基づいたものだとか。その甘酸っぱさも含めて、いい感じです。
【準決勝1の感想】
レトロと若さの甘酸っぱさの融合、聴いててワクワク楽しいです。こういう「往年のあの頃系音楽」って今の音楽業界の主流といった印象がありますが、準決勝の中では珍しいんだなと改めて思いました。
We Are Domi - Lights Off(チェコ) 5/12🕺
低めの女性ボーカルがかっこいい、シュッとしたエレクトロポップ。デビューは2019年、チェコ出身のボーカル・Dominika Haškováと、ノルウェー出身のミュージシャン・Casper HatlestadとBenjamin Rekstadによるトリオです。
"あなた"の喪失を歌うシリアス寄りな雰囲気ですが、タイトに仕上がったダンサブルなサウンドが、心行くまで躍らせてくれる楽曲。ライブで聴いたら飛び跳ねたくなりそうです。
【準決勝2の感想】
MVで感じる悲壮感よりもアグレッシブな舞台演出、やはりテクノ要素があると盛り上がっていいな〜なんて思いました。
Zdob şi Zdub & Advahov Brothers / Trenulețul(モルドバ) 5/10🕺
※5/11追記
【準決勝1の感想】
彼らは、楽曲の良さはもちろんライブを見てこそだな!と実感しました。Zdob şi Zdubは1994年結成(Eurovision出演は3度目だとか)、Advahov Brothersは2005年結成と、ベテランとしての風格を感じました。会場の空気を一気に彼らのものにした感じ。ポップス×バイオリン&アコーディオンの組み合わせ、楽しいですね。生で見たい。
3.ナゾ枠
Subwoolfer / Give That Wolf A Banana(ノルウェー) 5/10🕺
私にはノルウェーがわからない。
確かに、妖精とかそういうたぐいの話が好きそうだな……くらいの気持ちではいましたが、なぜ自国の代表に「月から来た」と自称する2人組(黒スーツ・サングラス・黄色い体・口から謎のビロビロが出ている)を選んだのか……。私にはノルウェーがわからない。
見た目のインパクトはもちろん、2人が奏でるダンスミュージックはかなり癖になります。なんとなく、懐かしの"江南スタイル"を思わせる雰囲気。そして甘いボーカル。
正直、誰が歌ってるのかはよくわかりませんが、そういうことじゃないんだと思います。当日の会場の雰囲気が楽しみです。
【準決勝1の感想】
め、めちゃめちゃ盛り上がってるーーーー!そして文字も出て来る……!この見た目で楽曲は極めて正統派のダンスミュージックなのと、ボーカルの声色が爽やかなのがずるいですね。最後のイケメン立ちもずるい。去年のDaði og Gagnamagniðもそうですが、どうして北欧は曲がいいナゾ枠を入れて来るのか。
Circus Mircus - Lock Me In(ジョージア) 5/12
2020年に結成された、ちょっぴりミステリアスな彼ら。中毒性の高いプログレロック、ノリのいい楽曲です。
ところで、何がどうミステリアスかと言うと、彼らの紹介ページをご覧ください。
どうしたどうした。
こんなメッセージを出す彼らの曲が、ひたすら「私を宇宙船に連れて行って/ダンスクラブに連れてって」なんですから、気にならないわけがありません。
【準決勝2の感想】
スチームパンク風な衣装と、ややサイケな舞台演出。彼らのこれまでの文脈を少しでもわかっていると楽しいですが、このパフォーマンスが初見だと盛り上がるのが少し難しいかもしれませんね。どちらかと言えば淡々と楽しい曲調ということもあり、新規ファンより既存ファン向けのように感じました。私は好きです。
今年のEurovisionも楽しくなりそうですね! 今から楽しみにしています。他にも楽しみな出場者について、楽曲が公式YouTubeチャンネルで公開されています。当日までに推しを見つけて、応援していくのもまた一興。
よいコンテストになりますように!
※本記事の和訳部分は全て矢向による意訳です。
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