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故郷5

(過去作品「強くなりたいと思っていた」を、故郷4として再編集してアップしなおしています。興味がある方はぜひそっちも読んでみて下さい)


iyamori
#星読み
#過去
#過去の傷
#選択


まだ総勢6人で団地暮らしだった頃。

yamoは長い時間お家に居られなかった。

いつもミチヨや連れ子2人の視線に怯えていた。

ミチヨは、yamoに対してはいつも「居なくなってほしい」と言っていた。
yamoの顔を見ると不機嫌にいつも言っていた。

ミカは、ミチヨといつも「ほんと〜」と同調していた。
ユウコはyamoよりも小さかったこともあって無関心だった。
自分のおやつを食べることに集中しているという感じだ。

yamoにおやつは無い。

yamoはこの頃、ほんとうに居なくなることができればいいなと思っていた。

そう思いながらyamoはいつもお父さんの帰りを待っていた。

「居なくなってほしい」と、ミチヨが誰に言うでもなく口からそれを発すると、ミカが同調して、それが苦しくて、それが合図のようにyamoはいつも外に出ていった。

雨さえ降っていなければ外は良かった。
団地の敷地内には何箇所か公園が有って、そのうちの一箇所でyamoはいつも1人で遊んでいることが多かった。

でも、違う棟に住むマミ(仮)ちゃんとは仲良しで、学校の行き帰りもよく一緒に歩いたし、公園でも遊んだ。

yamoは鉄棒が得意だった。
ブランコに揺られるのも良かったけど、鉄棒が出来ると学校の先生が褒めてくれたから、小学校に入った頃からよくマミちゃんが居ない時は1人で鉄棒を練習していた。

逆上がりは確か早い段階で出来ていた。

この数年後、yamo達は団地から隣町に引っ越す。
父が古い小さい中古の一戸建てを買ったから(それでも団地よりは広い)。

学区が変わるからyamo達は転校する。

転校した先の小学校で、体育の授業中だったと思うけど、鉄棒をやる時間が有って、たかが逆上がりが出来るというだけでyamoはその時の担任の先生にとても褒められた。「転校生すごーい」とクラスメートのあくまで一部だけど称賛された。
出来ない子が多かったんだな?

この頃からの学校でのyamoの記憶はそんなに暗い物ではない。

まあでもそれはまた別の話し。

団地の公園に戻ろう。

夕方、夕焼けで空がオレンジ色に染まる頃、そのオレンジ色も消えかかって暗くなってきた頃、yamoは鉄棒にも飽きてブランコにも飽きていた。
ちらほらでも公園で一緒に遊んでいた子はみんなお家に「ごはんだから」と言って帰っていった。マミちゃんも「じゃあね〜」と言って帰って行った。
マミちゃんはいつも公園にお母さんが迎えに来ていた。

yamoもお腹が空いていた。


お父さんの帰りを待っていた。
お父さんの会社の送迎バスの停留所で座って待った。
いつもそうしていた。
時間が分かっていたわけではない。

お父さんは三交代制で、帰ってくる時間はバラバラだった。
でも、yamoはお家から出ると夕方まで外に居て、遊ぶのに飽きて疲れると、送迎バスの停留所に座っていた。
別にちゃんとベンチが有ったわけじゃない。

縁石に座っていた。

そこにバスが来て、お父さんがそのバスから降りてくるということを何かのタイミングで知ったyamoは、いつもそこでお父さんを待つようになった。

お父さんがバスから降りてくると駆け寄って「おかえりなさい」と言った。

手を繋いでもらって一緒に部屋の玄関まで歩いた。

お父さんはいつも優しかった。
yamoが停留所で待っていたことが普通に嬉しそうだった。

そこをyamoは疑ったことは無かった。

yamoとお父さんは普通に親子として両思いだったと思う。


お父さんに手を繋いでもらってじゃないと玄関に入れないというyamo。
暗くなっても帰らない時、姉がyamoを迎えに来た。
「今日はお父さんは夜の日だから帰ってこないよ」と言った。

そうかそういう日もあるのかと理解しながら、夜が怖かった。


ある日、お父さんがバスから降りてきて一緒に玄関に入ろうとした日。

何度めかのある日。

ただいま〜と言って玄関を開けて中に入って行ったお父さんの後ろに居たyamoに、ミチヨが小声で、「帰ってくるんじゃない」と耳打ちした。
立ち止まって動けずにいるyamoに更に「居なくなっちゃえ」と言った。

奥のテーブルに着いたお父さんにはミカとユウコがじゃれついている。
お父さんはそれにも嬉しそうだ。

思わずyamoはもう一回今脱いだ靴を履きなおした。
玄関から出ようとした。
苦しくて吐きそうだった。
吐いて汚したらまた怒られる。
どうしようどうしようどうしよう。

お父さんが呼んだ。
「ごはん食べろ」と言ってyamoを呼んだ。

席に着いていた姉が立ち上がって寄ってきた。



もう多分きっとギリギリだった。

小さいyamoはやっとそこに居た。

居なくなれと言われながらやっと居た。

ミカやユウコに比べて明らかに少なく盛られたyamoの夕食の皿を見て、お父さんがいつも言うのは、「yamoはもっと食べろ」だった。
ミチヨにも「もっと食べさせろ」と言っていた。
でもミチヨは決まって「yamoが食べないから」と言った。
だから最初から少なく盛るのだと。


yamoが食べないから。
たしかに。。。

食べたいとも思っていなかったかもしれない。
食べようとして食べきれないことも多かった気がする。


確かにそうだった気がする。

満腹感なんてずーーっと知らなかった。

星を読まなきゃ。。。。
この時の父を考察しようと思って書き始めたけど、それはまた今度。
スミマセン。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

また次回。

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