本を読む
わたしが初めて読んだ江國香織さんの著書は神様のボート。
初めて読んだ時、わたしは多分中学生くらいだったとおもう。感想は、一言で言えば「退屈な小説」。
読了するまでに忍耐が必要だった。
挫折しがちなわたしが最後まで投げ出さなかったのが意外だ。その後江國さんの本を手に取ることはなかった。読む前か、読んだ後か、うろ覚えだが母は江國さんの文章を「ふわふわしている」と言って、好きとも嫌いとも言わなかった。わたしも聞かなかった。
しかし、神様のボートというタイトル、江國香織という女性小説家、「この人の書く文章って、何だかふわふわしている」という母の感想、ふわふわした小説は退屈で好きじゃないというわたしの感想は何故かずっと覚えていた。
当時私が好きだった小説家は湊かなえさんだ。グイグイ引き込まれて、つい時間を忘れて没頭してしまう、読むのを中断したら続きが気になってしまう、江國さんとは正反対のストーリー構成だ。
いつの間にか、小説を読みたくても読めなくなっていた。買って帰ったり、図書室で借りたりしたけれど、本の世界に入れなくなっていた。運悪く7年近くも好みの小説に出会えなかったのか、読書をする心の余裕がなかったのか。あるいは両方か。本を読めなかった時期、情緒不安定で病んでいたのは認めよう。
現在は、精神的に落ち着きつつあり、時間もある。ふと母の本棚から神様のボートを取り出してみた。読了した本だというのに、背表紙のあらすじにまったく覚えがなかった。
今さっき読み終わった。当時は退屈であったこの小説だが、22歳のわたしは、その退屈さが穏やかで、嫌いじゃないと思った。最後のほうはいくつか章を飛ばしてクライマックスを読んでしまったがそれもまた良い。感想はまた今度ゆっくり書く。そして、江國香織さんの著書を他にも読んでみたい。ゆったり時間をかけて。
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