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恋愛小説「女子高生の平穏じゃない日常」

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連載恋愛小説です。 高校時代の素直になれない感じや友人関係のしがらみなど、甘酸っぱい雰囲気で蓮足しております。
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記事一覧

小説「女子高生の平穏じゃない日常」最終章

第4話 最終章「今日は、」

あの後、すぐに担任が教室にやってきて数学の授業を始めたので状況はなにも変わっていない。

授業中、異変に気づいた先生が「あれ、今日は金山が静かあなぁ」と褒めてるのか心配しているのか分からない言葉を掛けていが、
前の席の金山はそれにも答えず、50分間ずっと耳を真っ赤にしていた。

「やる。」
授業が終わるや否や、チョコを乱暴に私の机へ置き教室を飛び出して行った。
入れ替

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小説「女子高生の平穏じゃない日常」第3話

第3話「波乱の教室」

 翌日、沙穂と共に学校へ向かう。寮から学校までは歩いて15分。始業のギリギリに間に合えばいいので8時過ぎに出発した。

学校へ向かう途中のコンビニでお茶とお菓子を買うのが日課になっている。昨日金山に奪われたのは、この時買ったチョコだ。

 沙穂は小さいグミがたくさん入っているお菓子を買っていた。私もいつも買っているチョコのお菓子を買った。もちろんHORNは買わない。

その

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小説「女子高生の平穏じゃない日常」第2話

第2話「憂鬱な放課後」

「めっちゃ金山くんに絡まれとったね。金山くん去年もクラスで騒いどったらしいよ。」
「まじか、お菓子取られたしなんかヤバそうな奴だったね。若菜に助けられたー。」

「そうとー?なんか楽しそうに見えたっちゃけど。」
「え、ほんとに?めちゃくちゃ嫌だったよ!」

「そうなん?じゃあ良かった!」
「また明日ね!」

若菜はそう言うと、駅のホームへ駆けて行った。彼女は家から1時間ほ

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小説「女子高生の平穏じゃない日常」第1話全編

第1話全編「席替えは大抵希望通りじゃない」

「ゆりえさ、まじキモくない?可愛くないくせに男好きとか可哀想っちゃけどー」

授業の合間の休み時間、特段話のネタがあるわけではないが必ず後ろの席の私へ話しかけてくる。

若菜は基本的に他女子の悪口の同意を求めてくる。

彼女は美意識が高く、かなりモテる。そのため、自己評価も高く平気で他人の容姿を悪く言う。

 「そうかなー、でもずっと男子といるね。」

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小説「女子高生の平穏じゃない日常」第1話後編

第1話後編「席替えは大抵望み通りじゃない」

「え?してないよ。」

「なんや!お前変なやつやなー。なんか菓子持ってない?」

いや、明らかにこいつの方が変だろう。至近距離の大声で耳も痛くなってきた気がする。しかも、菓子ってなんだ。お菓子って言えよ。あげないけど。

助けを求め若菜の方をみるが、彼女はなぜか一人本を読んでいた。そういえば面白い小説があるって話してたな。

ん?いつのまにか金山が私の

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