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人間椅子という変態的性癖小説について

江戸川乱歩の名作である人間椅子をモチーフにしたカードゲームを作った。それくらい醜い職人の変態的な性癖にえらく共感している今日このごろである。

人間椅子のエロは、革を隔ててた感触に集中したものだ。情報量が一番多いと言われる視覚の情報はない。そして、一方的なエロである。完全に受け身だ。身動きを取ることは破滅を意味しているので、より受け身で感触に集中するエロなのだ。

そんな受け身で感触に集中したエロにすがるしかないのは、職人が醜いからであり、女遊びをするほどの金もないからである。一種の必然に感じられる。しかし、江戸川乱歩はそういうエロを妄想し、そのエロい状況が自然に感じられるよう周到に設定を整えたのだろう。ってはそのエロは実に興味深いのである。

エロは全体的で、文化的で、妄想的なものである。明るい外で素っ裸になった女性をみたところ、実際のところ何もエロくない。健康的で素敵な感じ。エロは薄暗い部屋で、モゾモゾしているようなものだ。もう老いてきたのかもしれないが、直接ぶつかり合っている映像よりは、椅子の革を隔てた小説の方がエロいと感じるのだ。

そういう連中と遊びたいゲームを作った。

文学ゲーム全集というムーブメントにのっかって「こころ-青春葛藤編-」を作った。その熱冷めやらぬ自分は2作目として、「人間椅子-快楽追求編-」を作った。いまは、その説明書を書いたり、カードのデザインを整えたり、枚数を調整しているところである。

ここまで読んでくれたならうっすらお気づきかと思うが、これは「人間椅子-快楽追求編-」の宣伝の一種なのだ。本来は完成しているはずの現在だが、イベントが中止になってすっかり気が抜けてしまったのだ。

青空文庫で「人間椅子」は無料で読める。そんなに長くない作品であり、とてもスリリングで面白い作品だ。変態的なエロと言いつつも、いや、変態的だからこそ、エグイ描写はない。エロとしてはライトでカワイイものなので、30代以上男性にはぜひ読んでいただきたい。

そして、人間椅子の職人の気分をカードゲーム「人間椅子-快楽追求編-」にてともに楽しもうじゃないか。同士を求む。

青空文庫「人間椅子」

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