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3つの「Think」でお客様やお取引先様、あらゆるステークホルダーとともに持続可能な未来の実現へ。サステナブルの輪 Vol.028 大丸松坂屋百貨店

皆さまこんにちは。ヤマト運輸公式note編集部です。
ヤマト運輸公式noteがお届けしている「サステナブルの輪」では、ヤマトグループとともにサステナビリティへの取り組みを推進しているパートナーさまに、サステナビリティに関する活動や想い、狙いについて語っていただいています。

今回は百貨店事業を展開する大丸松坂屋百貨店さまの3つのThinkを軸としたサステナビリティへの取り組みをご紹介します。

大丸松坂屋百貨店さまは、2007年に老舗百貨店の大丸と松坂屋ホールディングスが経営統合して設立された、J.フロント リテイリングのグループ中核企業として、全国に15店舗(関係店含む)を展開しています。また、『5年先の「未来定番生活」を提案する。』というビジョンを掲げ、少しさきの未来に向けて彩り豊かなくらしを求めるすべての人に、5年後の未来に定番になっている幸せな生活スタイルや体験を提供する、未来の目利きキュレーターのような存在を目指しています。

今回、経営企画部サステナビリティ戦略担当(2025年3月時点)の池本飛雄馬さま、坪井瑞希さまにお話を伺いました。


脱炭素社会の実現に向けての取り組み

―まず、御社のサステナビリティ方針について教えてください。

池本:まずは、JFRグループ全体のお話をさせていただきます。JFRグループではサステナビリティ方針に、「持続可能な社会とくらしのあたらしい幸せの実現に向けて人びとと共に、地域と共に、環境と共に」を掲げています。5つのマテリアリティ(重要課題)には、「くらしにワクワクをプラスする」「地域の活力を高める」「環境と共に生きる社会をつくる」「価値共創するパートナーを増やす」「多様な人財を輝かせる」を設定しています。サステナビリティ方針とマテリアリティに基づいて、当社をはじめ各事業会社がサステナビリティを推進しています。

―JFRグループ全体の取り組みとしては、どのようなものがありますか?

池本:JFRグループでは、マテリアリティに基づいてさまざまな取り組みを行っていますが、ここでは脱炭素社会の実現に向けた取り組みについてご紹介します。まずグループ全体の目標として、2030年度までに、自社CO₂排出量のScope1・2(※1)では60%削減(2017年度比)を、サプライチェーンの上流・下流で発生するCO₂排出量のScope3(※2)では40%削減(2017年度比)を目指しています。2050年にはScope1.2.3、つまりすべての事業活動で排出する温室効果ガス排出量の「ネットゼロ」を目標にしています。

(※1)Scope1・2:Scope1は、自社の事業活動における直接的な温室効果ガス排出。Scope2は、他社から供給された電気、熱、蒸気の使用により発生する間接的な温室効果ガス排出。
(※2)Scope3: Scope1およびScope2以外の事業活動に関わるサプライチェーン上流・下流の温室効果ガス排出量で、15のカテゴリに区分される

―現在の温室効果ガス排出量削減の進捗はいかがでしょうか?

池本:大丸松坂屋百貨店単体では、2023年度のScope1・2について、基準年度比で59%削減を達成していますので、前倒しで達成できる見通しです。その要因として、再生可能エネルギーへの切り替えを積極的に拡大してきたことにあります。具体的には、直営の全国13店舗のうち9店舗と本社ビルで再生可能エネルギーを導入しています。電力使用量に占める再エネ比率で見ますと、約64%(2024年4月末現在)になっています。その他、社用車のEV化や照明のLED化も進めています。現在、導入比率はEVで約50%、LEDで約80%に達しています。

―Scope3はいかがでしょうか?

池本:2023年度のScope3は、基準年度比で▲4.5%となっています。現在、Scope3が大きな課題の一つです。とりわけ当社ではScope3カテゴリ1「調達した製品・サービス」(※)がScope3における温室効果ガス排出量の96%を占めています。
ホットスポットであるScope3カテゴリ1の温室効果ガス排出量削減には、商品調達先であるお取引先様との協働が必須であることから、現在、主要なお取引先様を対象とした脱炭素社会の実現に向けた取り組み説明会の開催や、お取引先様一社一社に協働での温室効果ガス排出量削減の働きかけ(サプライヤ―エンゲージメント)を図っています。
脱炭素社会の実現には、自社のみではなく、脱炭素取り組みの輪がサプライチャーン全体へ拡大することが重要だと考えていますので、今後もお取引先様との対話を継続しながら、一歩ずつ脱炭素社会の実現へと貢献してまいります。

(※)Scope3カテゴリ1「調達した製品・サービス」:お取引先様から仕入れて販売した商品の原料調達から製造工程での温室効果ガス排出量。

ステークホルダーと共に未来を考える3つのThink

―大丸松坂屋百貨店としてのサステナビリティへの取り組みとはどのようなものでしょうか?

池本:当社では、グループのサステナビリティ方針に基づいて、ステークホルダーと共に未来を考える3つの「Think」‐「Think GREEN」(地球環境再生と事業活動の両立)、「Think LOCAL」(店舗を構える地域の魅力発信)、「Think SMILE」(すべてのステークホルダーの人権尊重と笑顔輝く社会の構築)‐を軸としたサステナビリティ活動に取り組んでいます。オフラインとオンラインの両方で生活者との直接のタッチポイントを持っている百貨店の事業特性を生かして、お客様とともに未来を考え、行動することを大切にしていこうという想いから「Think」と表現しています。

―大丸松坂屋百貨店ならではの3つの「Think」の取り組みをいくつかご紹介いただけますでしょうか。

池本:「Think GREEN」の取り組みでは、2021年3月からスタートした百貨店業界初のファッションサブスクリプションサービス「AnotherADdress(アナザーアドレス)」があります。毎月、ウィメンズとメンズの国内外270以上のデザイナーブランドの衣類から自由にレンタルをすることができるサブスクリプション型ファッションレンタルサービスです。豊富なラインナップからお好きなレンタルアイテムを自由に選んで、着用後は洗濯・クリーニング不要で返却ができますし、購入することもできます。
「ファッションを愉しむ」とファッション業界を取り巻く大量生産・大量消費・大量廃棄の環境課題の解決の両立を目指して、シェアリングで衣類の大量廃棄を減らすというサービスの根幹を大切に2021年の開始以降、国内初の再利用可能なガーメントバックによる循環型配送やレンタルが難しくなった衣類に新たな息を吹き込むアップサイクルブランド「reADdress」の展開など新たな取り組みに積極的に挑戦しています。

坪井:例えば、2023年12月にスタートさせたアップサイクルブランド「reADdress」とは、「レンタルが難しくなってしまった衣類を生まれ変わらせることで寿命を延ばし、もう一度楽しんでいただきたい」という想いで、傷や汚れが理由でレンタルができなくなってしまった衣類に染色やパッチワーク技法を駆使したリメイクを施して、廃棄せずにレンタル品として取り揃えています。

池本:2024年夏からは、アナザーアドレスの衣類循環アップサイクルプロジェクト「roop(ループ)」が新たに始動しています。「roop(ループ)」は、環境省による「デコ活運動」(※)の推進事業として採択された取り組みです。お客様から「もう着る機会はないけれど、思い入れのある衣類」を集めて、集めた衣類を素材に未来を担うデザイナーが新しい衣類へとアップサイクルをした後、アナザーアドレスでレンタルができるようになる循環プロジェクトです。思い入れのある服の回収にご協力いただいた生活者が、衣類への思いをデザイナーに託して、アップサイクル品に生まれ変わることで、その思いとともに長く着用され続けます。
「roop」には多くの皆さまからの共感を頂戴し、アナザーアドレス会員様からの提供と合わせて約2,000着の衣類の回収を記録しました。多彩なデザイナーや学生の手によって一つひとつ丁寧に紡がれたアップサイクル品は、2025年2月に開催した「roop Award 2024‐2025」でファッションショー形式でお披露目され、その後、アナザーアドレスのレンタル品としてお客様に実際に着用していただけるようになります。

(「roop AWARD 2024‐2025」で総合グランプリを受賞したアップサイクル品)

(※)デコ活運動: 2050年カーボンニュートラル及び2030年温室効果ガス削減目標の実現に向けて、国民・消費者の行動変容、ライフスタイル変革を強力に後押しするため、環境省が推進する新しい国民運動の総称

地域ならではのサステナビリティへの取り組み


―「Think LOCAL」や「Think SMILE」では、具体的にどんな取り組みがありますか?

池本:「Think LOCAL」では、「まちのために ひとのために 想いをつなぐ場所になる」をコンセプトに店舗を構える地域ならではの魅力的なモノ・文化を探索し、発信していこうという取り組みを行っています。その一環として、2022年から店舗を構える地域の魅力を人やモノ、文化にフォーカスして伝えるオウンドメディア「Think LOCAL マガジン」を立ち上げています。2023年と2024年には、全国の大丸・松坂屋で働くスタッフが推薦した各地域の自慢の逸品をご紹介し、WEBマガジンの読者の皆さまにご投票いただて、各賞を選定する「Think LOCAL AWARD」を開催しました。例えば、2024年の「Think LOCAL AWARD」のグルメ部門賞は、選りすぐりの逸品の中から、ラスイートのル・パン神戸北野 瀬戸内レモンケーキが受賞しました。

(ラスイートのル・パン神戸北野 瀬戸内レモンケーキ)

坪井:北は札幌、南は博多に店舗を構えていますが、各店舗ではその地域に根差した魅力的なモノ・文化を探索・発信するオリジナリティ溢れる取り組みを実施しています。例えば、大丸福岡天神店では、「九州探検隊」という、九州全119の市を実際に訪れ、行政と協力しながらまだまだ知られていない魅力的な生産者やモノ、文化を発掘・発信し、九州全体を活性化していこうという取り組みが活発です。
日本三大絣(かすり)の伝統的工芸品で福岡南部の筑後地方一帯で製造されているの久留米絣の織元と問屋が一同に集結する「久留米絣大博覧会 ~つくる、伝える、使う人たち~」を産地をあげて継続開催し、伝統とファッションが融合した新たな久留米絣の魅力を発信しています。来場者に久留米絣の魅力に触れてもらうため、会場には各織元・問屋による直接の物販コーナーの他、大人も子供も楽しめる製造工程や歴史を紹介するブースやワークショップを開催し、多くのお客様にご好評を頂戴しました。

(九州探検隊のメンバー)
(大丸福岡天神店での「久留米絣大博覧会」の様子)

池本:松坂屋名古屋店では、地元の愛知県一宮市を中心とした世界三大毛織物産地とも称される「尾州」の服や生地が一同に集まる催事「びしゅう百貨店」を継続して開催しています。大丸福岡天神店の「久留米絣大博覧会」と同じく、国内有数の伝統産業の次世代の担い手である職人やデザイナーとタッグを組み、一緒になって魅力を発信することで、地元が誇る魅力的なモノや文化の継承への貢献を目指しています。

坪井:三つ目の「Think SMILE」は、2024年3月に人びとの笑顔輝く社会の実現を目指して、新たに立ち上がりました。

―「シェアスマ レシート」チャリティーも、「Think SMILE」の取り組みの一つですね?

坪井:そうです。2024年ホリデーシーズンには、お客様のお買い物を通じて、笑顔を子供たちや地域団体におすそ分け(SHARE a SMILE=シェアスマ)ということで、レシート寄付活動「シェアスマ レシート チャリティー」を対象9店舗で開催しました。「お買い物が誰かの幸せや未来につながってほしい」という想いから、各店舗での開催期間中、対象売場にてお買い上げごとに一枚お渡しする「シェアスマ」レシートを、お客様自らが選択した施設・団体のBOXに投函していただき、一枚につき50円を当社がその施設・団体に寄付しました。期間中にお買い物されたお客様からは多くの共感を頂戴し、寄付総額は約3,700,000円となりました。

(大丸京都店での「シェアスマ レシート」チャリティの様子)

坪井:各店舗の営業推進部と業務推進部には、サステナビリティ推進担当が配置されており、私たちサステナビリティ戦略担当と一緒に連携しながら3つの「Think」を軸としたサステナビリティへの取り組みを進めていくことが多いです。各店のサステナビリティ推進担当者を中心に「Think」を自分ゴト化して、それぞれの店舗が地域の特性を活かしながら、その店舗ならではのオリジナリティ溢れるサステナビリティ活動に取り組んでいるというのが、当社の最大の特徴だと思います。
自分ゴト化に向けては、毎年度当社の全従業員とお取引先様販売員に配布する「未来をつくるパスポート」を中心に様々な浸透活動を図っています。「未来をつくるパスポート」では、3つのThinkとSDGs17の目標とのつながりの説明や、各自が業務や私生活で持続可能な社会の実現に向けて貢献できる行動目標を設定し、半期ごとに目標に対する進捗を振り返っています。日頃、お客様と直接に接している店舗の従業員やお取引先様販売員のご理解あっての当社らしいサステナビリティへの取り組み体現だと思いますので、今後も様々な浸透活動により従業員が自分ゴトとして意識して取り組んでいただけるよう浸透活動に尽力し、当社が持続可能な社会の実現への使命を果たせたら大変嬉しいです。

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今回は、大丸松坂屋百貨店さまのサステナビリティへの取り組みをご紹介させていただきました。

次回からも引き続き、パートナーさまのサステナビリティへの取り組みをご紹介し、「サステナブルの輪」を広げていきたいと思います。

次回の配信もお楽しみに。

編集・著作:ヤマト運輸株式会社

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