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サステナビリティのフロントランナーを目指し、計測ソリューションで持続可能な社会の実現に貢献する。 サステナブルの輪 Vol.012 HIOKIグループ

みなさまこんにちは。ヤマト運輸公式note編集部です。

ヤマト運輸公式noteがお届けしている「サステナブルの輪」では、ヤマトグループとともにサステナビリティへの取り組みを推進しているパートナーさまに、サステナビリティに関する活動や想い、狙いについて語っていただいています。

今回は、電気計測機器の総合メーカーとして、開発から製造・販売・サービスまでを展開するHIOKIグループさまのサステナビリティへの取り組みをご紹介します。

1935年の創業以来、産業のマザーツールと呼ばれる電気計測器の研究開発型メーカーとして、自動試験装置、記録装置、電子測定器、現場測定器の4つの製品群を提供。現在、国内に10拠点 2オフィス、海外はアメリカ、アジア、ヨーロッパを中心に11拠点を展開し、海外売上比率は6割を超えています。

今回、経営企画室室長の清水久志さまと、経営企画室主幹の水出博司さまに、サステナビリティへの取り組みついてお話を伺いました。

サステナビリティと親和性の高い電気計測

私たちHIOKIグループでは、2022年に「サステナビリティ基本方針」と「HIOKIサステナビリティ宣言」を策定、発表しました。「サステナビリティ基本方針」では、長期経営方針「ビジョン2030」の実現を目指し、3つの基本方針を定めています。

「サステナビリティ基本方針」の策定には、当社の二つの企業理念が前提となっています。「人間性の尊重」と「社会への貢献」です。「社会への貢献」という理念では、これまでは地域社会への貢献に力点が置かれていましたが、サステナビリティへの関心や意識の高まりもあり、経営指針に「持続可能な社会の実現」の項目を追加。「社会への貢献」がサステナビリティにつながるよう補完しています。

3つの基本方針の1つ目が「電気計測を通じてお客様の安全で有効なエネルギー活用を促進し、社会の安心と発展に貢献する」ことです。もともと電気計測は、脱炭素という観点からサステナビリティと親和性の高い分野です。化石燃料から代替エネルギーによる発電、電動化・電子化の加速による電気自動車の普及、蓄電デバイスであるバッテリーなど、脱炭素社会の実現に電気の役割は重要性を増しています。そうした中で、いかに電気を効率よく使っていくか、各機器の正常な作動を検証していくか、電気計測機器は現在の産業社会にとって不可欠な存在になっています。こうしたHIOKIグループならではの事業から、電気計測を通じて脱炭素社会の実現に貢献していこうというものです。

2つ目が「全てのステークホルダーの皆様と、積極的なコミュニケーションを通じて信頼関係を構築する」ことです。サステナビリティへの取り組みは、私たちHIOKIグループだけの取り組みだけでは限界があります。お客様やサプライヤーの皆様、全てのステークホルダーの皆様との協力と連携が不可欠です。そのための積極的なコミュニケーションを通じた信頼関係を構築していこうというものです。

3つ目が「社会の一員として、社会の発展に役立つ活動や環境保全活動に取り組む」ことです。もともとHIOKIグループでは、地域貢献活動や環境保全活動には積極的に取り組んできた経緯があります。例えば、1990年に現在の長野県上田市に本社を移転した際、本社工場一帯を全社員の手で当時6万本の苗木を植え、「HIOKIフォレストヒルズ」と呼んでいます。その後、新入社員による植樹を通じて、現在までに約93,000本の木々が植えられ、今では立派な森になっています。こうした植樹活動は、海外拠点でも行われています。

HIOKIフォレストヒルズ

「HIOKIサステナビリティ宣言」では、脱炭素化に向けて、2つの明確な達成目標と具体的な取り組みを掲げています。1つが、創業90周年を迎える2025年までにスコープ1(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出)、スコープ2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)のカーボンニュートラルを達成すること。2つ目が創業100周年を迎える2035年までに、スコープ3(スコープ1、スコープ2以外の間接排出)のカーボンニュートラルを達成することです。
スコープ3はできるだけオフセットに頼らずに、自社の努力でカーボンニュートラルを達成していこうというのが当社の基本方針です。スコープ1では主に本社サイトを含め、国内外拠点の燃料関連でのカーボンニュートラルの達成を目指しています。スコープ2は電気関連になります。スコープ3はサプライチェーンの上流・下流を始め、お客様との連携・協力、社会的な仕組みや技術革新に伴うものを含めています。

「測る力」でサステナビリティのフロントランナーへ

ここからはスコープ1〜3の具体的な達成目標と取り組みを紹介させていただきます。スコープ1の燃料関連では、社用車のEV化を進めています。遠距離に必要な営業車以外、ほぼ全ての社用車をEV化しています。海外拠点でも国内拠点同様にEV化に取り組んでいます。現在、積極的に取り組んでいるのが、ソーラーカーポートを電源としたオフグリッド型のEV充電システムであり、社員の駐車場にソーラーカーポートの設置を進めています。当社では「減らす」ことだけではなく、「作る」ことにも積極的に取り組み、「減らす努力」と「作る努力」の二軸で脱酸素化を推進しています。

ガス燃料に関しては、本社で利用するすべてのガスを、上田ガス株式会社が提供するカーボンニュートラルガス(CNG)に切り替えています。カーボンニュートラルガスは、世界各地の森林保全プロジェクト等でのCO₂削減効果を信頼性の高い認証機関が認証したカーボンクレジットを活用したもので、天然ガスの採掘から燃焼に至るまでの全ての工程で発生する温室効果ガスがカーボンオフセットされたものとなります。自社の努力で限界があるものに関しては、それを補完する取り組みとして、J-クレジットの購入を実施しています。現在、長野県の森林由来のJ-クレジット100トン-CO₂を購入。国内のガソリン/軽油の使用量3分の1をオフセットしています。
カーボンニュートラルガスやJ-クレジットは、日本国内ではまだまだ普及率が低い中、当社では他社に先駆け積極的に取り組んでいます。

電気関連のスコープ2では、屋内練習場やテニスコートなどの厚生設備のLED化を進めています。年間排出量8.76トン-CO₂削減を見込んでいます。消費電力量が多いコンプレッサーなどの機器も入れ替え、年間排出量20.9トン-CO₂削減を目指しています。
そもそもの消費電力量を削減するために、建物のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化も進めています。ZEB化とは快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロすることを目指した建物のことです。

スコープ3ではポリ袋包装の一部廃止や充電池への切り替え促進などを掲げていますが、こうした取り組みは社会的仕組みや技術革新に関わるもので、時代の変化や技術の進化を積極的に取り込むことで目標達成をしていきたいと考えています。

これからの取り組みとして重要なのがスコープ3の領域だと思っています。CO₂排出で最も多いのがサプライヤーから購入する部品や装置です。実は当社の排出量の中でも、8割から9割を占めています。購入する部品や装置の製造にどのくらいのCO₂が排出されているのか、それが分かれば値段が高くても排出量の少ない部品や装置の購入する努力が必要だと考えています。また当然ながらサプライヤーの取り組みに対しての連携やサポートも行っていきたいと思っています。

長期経営方針「ビジョン2030」では、“「測る」の先へ”という言葉を掲げています。これには業界のフロントランナーとして「測る」を進化させ続け、世界のお客様と共に持続可能な社会をつくる「ソリューションクエリエイターになる」という思いが込められています。産業の脱炭素化に貢献する計測ソリューションの提供という役割からも、自社においてカーボンニュートラルの達成目標や達成度を計測し数値化しています。単なるスローガンに終わることなく、計測し数値化することで取り組み成果を検証し、課題の発見につながることになります。また当社では毎年、第三者機関による温室効果ガス排出量の検証意見書を取得しています。

さらなるサステナビリティの強化に向けて

冒頭でもお話をさせていただいたように、私たちHIOKIグループの社員は、植樹活動などを通じた環境保全や地域貢献活動には高い関心と意識を持っています。現在も長野県上田地域で行われている「にぎやかな森プロジェクト」への参画や次世代の人材育成に向けた「学びのコンソーシアム・海の森プロジェクト」、野球場などの福祉厚生施設の地域住民への開放など、環境保全活動や地域貢献活動を継続して行っています。2000年から始まった「HIOKI祭り」は、さまざまなイベントを開催し、社員全員がホストとなっておもてなしをするお祭りです。昨年で20回を迎え、今年も開催予定です。

HIOKI祭り

サステナビリティは環境分野だけではなく、人権や労働、教育、企業のガバナンスなど社会や経済の分野にも関わる幅広い活動が求められています。ここまで脱炭素社会に向けての取り組みを中心にお話をさせていただきましたが、他の領域でのサステナビリティへの取り組みも積極的に進めています。

2022年の「サステナビリティ基本方針」や「サステナビリティ宣言」の策定にあたっては、経営企画室にサステナビリティ担当を設け、経営企画室のメンバーが中心となって進めてきました。サステナビリティを言語化することによって、社員の関心・意識は環境以外の分野にも浸透しつつあります。

今後さらに、サステナビリティ全般にわたる取り組みも強化していく計画です。そうした取り組みへの目標も込めて、2024年5月から「国連グローバルコンパクト」に加盟しました。「国連グローバルコンパクト」は、「人権・労働・環境・腐敗防止」の4分野10原則を国連が定めた世界最大のサステナビリティ・イニシアチブです。世界各国では2万以上の企業・団体が、日本では600余りの企業・団体が賛同・加盟しています。「国連グローバルコンパクト」に加盟することで、環境分野以外での取り組みを強化していきたいと考えています。

サステナビリティへの取り組みは、まだまだやるべきことが数多くあります。例えば、「サーキュラーエコノミー(廃棄物をなくして資源を循環させ、自然を再生する循環型の経済システム)」への取り組みもその一つです。当社では経済産業省が主導する「サーキュラーエコノミーに関する産官学のパートナーシップ」にも参画し、社内有志による勉強会も進めています。2022年には「バッテリーサーキュラーエコノミーへの貢献」も発表。バッテリー計測によるバッテリーサーキュラーエコノミー循環の促進を目指しています。

今後も、お客様やサプライヤーの皆様、全てのステークホルダーの皆様と連携・協力しながら、全社員が一丸となってサステナビリティへの取り組みを推進していきたいと思います。


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今回は、HIOKIグループさまのサステナビリティへの取り組みをご紹介させていただきました。

次回からも引き続き、パートナーさまのサステナビリティへの取り組みをご紹介し、「サステナブルの輪」を広げていきたいと思います。

次回の配信もお楽しみに。

編集・著作:ヤマト運輸株式会社

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