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ビールに味を!人生に幸せを!」をミッションに、環境に配慮した製品づくりとウェルビーイングな社会を目指す。サステナブルの輪 Vol.026 ヤッホーブルーイング

皆さまこんにちは。ヤマト運輸公式note編集部です。

ヤマト運輸公式noteがお届けしている「サステナブルの輪」では、ヤマトグループとともにサステナビリティへの取り組みを推進しているパートナーさまに、サステナビリティに関する活動や想い、狙いについて語っていただいています。

今回は、長野県・軽井沢に本社を置くクラフトビールメーカー、ヤッホーブルーイングさまのサステナビリティへの取り組みをご紹介します。

ヤッホーブルーイングさまは、1997年に創業。
「よなよなエール」「インドの青鬼」「水曜日のネコ」など、ユニークなネーミングと芳醇な味で、多くのファンを獲得。現在、クラフトビールメーカーとしては業界最大手、ビール業界全体でも大手5社に次ぐ第6位に成長しています。

今回、ヤッホー広め隊(広報)ユニットディレクターの渡部翔一さまと、麦府中奉行(製造・設備)ユニットディレクターの加藤直さまにお話を伺いました。


創業以来の取り組みが結果的にサステナビリティにつながる

ヤッホーブルーイングは、星野リゾートの星野佳路代表がアメリカ留学時代に、日本で主流となっているラガービールにはない、エールビールの豊かな香りとさまざまな味わいに衝撃を受け、日本にももっとバラエティに富んだ味のビールを広めようと、1997年にクラフトビールメーカーを設立したのがはじまりです。

創業以来、「ビールに味を!人生に幸せを!」をミッションに、「ただビールをつくるだけではなく、ビールファンにささやかな幸せを届けたい」との想いを込めて、ビールを中心としたエンターテインメント事業を柱に製品づくりを進めてきました。

お客様にとって良いもの、社会にとって良いもの、自分たちにとって良いもの、いわば三方良しの精神で取り組んできた結果、環境に配慮した製造・製品づくりや地域貢献など、サステナビリティにつながる活動に結びついていったと考えています。

ここではその取り組みについて紹介させていただきます。

環境に配慮した製造・製品づくりと地域貢献

サステナビリティ活動として、まずビールの製造過程において排水処理の取り組みがあります。

ビールを醸造する際は、ビールの15~20倍の排水が発生します。排水には麦芽の絞りかすが含まれており、放流する前に適切な処理を施さなければなりません。

麦芽の絞りかすには、実は多くの栄養分が含まれており、大手のビール会社さんですと、乾燥させて牛や豚の飼料として販売していたりします。ですが、乾燥させるには多くのエネルギーを必要とし、ランニングコストもかかってしまいます。麦芽の絞りかすは1日に2トンも出るので、1回の処理に何万円もかかります。

そこで当社では、肥料として地元の農家さんに提供する取り組みをはじめました。トラック1台100円という破格の価格で、畑の肥料として使ってもらっています。地域貢献の意味合いもありますが、廃棄物は燃やすよりも肥料にした方がCO2排出を抑制でき、サステナブルな取り組みにつながっています。

当社では排水処理施設も自前のものを設けています。微生物による分解とフィルターによるろ過で処理後、水質基準を満たすまで処理し、河川に放流しています。

また当社では、最初に発売した「よなよなエール」からアルミ缶を採用しています。当時、ビール業界では瓶と缶のシェアが半々という状況でしたが、リサイクル率が高く運搬効率も良いことから、アルミ缶を採用することにしました。
2023年には瓶製品の販売を終了し、全製品をアルミ缶に切り替えています。

当時は「瓶ビールの方が、高級感がある」「ビールはサーバーで味わうもの」といったイメージが強くありました。当社ではむしろ缶の方が色やデザインで個性を出せるメリットがあると考えており、今では缶もファッショナブルな製品として受け入れられるようになっています。
 
ビールの原料は、地産地消に力を入れています。数年前から、長野県や山梨県発祥のホップを使った、両県限定のビール「山の上ニューイ」を販売したり、軽井沢の小麦を一部使った「軽井沢高原ビール」をつくったりしています。

コロナ禍には、飲食店への休業や酒類販売禁止の要請の影響で、余ってしまった業務用のビール樽が行き場を失いました。賞味期限が近づく中で、「せっかくつくったビールを捨ててしまうのはもったいない」と、かねてから親交のあった地元の酒造会社さんの協力を得て、ビールを蒸留し、クラフトジンとして生まれ変わらせました。

フードロスの削減にもつながるよう、賞味期限の延長にも取り組んでいます。ビールはppb単位(10億分の1)の非常にわずかな酸素が溶け込むだけで酸化し、香りや味を損なう原因になります。

溶存酸素の原因となる工程や醸造工程の見直しをはじめ、設備の改修などを繰り返すことで、これまで5ヶ月だった賞味期限を7~12か月(製品による)まで延長することに成功しました。香りや味は当社の製品にとって、生命線のようなものですので、ギリギリまでバランスを維持するのに技術的に非常に苦労しました。

サステナブルな物流の推進

物流面では、「ホワイト物流」を推進しています。クラフトビールを全国にお届けするためには、トラックが必要になりますが、物流業界では運転者不足が深刻化しています。
 
これらの課題を解決し、物流機能を安定的に確保するために国が推進している運動が「ホワイト物流」です。
当社では、2020年8月に「ホワイト物流」推進運動に賛同し、自主行動宣言を提出しました。具体的な取り組みとして、「大型センターへの1配送あたりの物量集約」「土日出荷の原則廃止による平日への物量集約」「個店別配送から大型センター配送への切り替え」などを推進しています。
 
なかでも当社が力を入れているのが、「リードタイムの延長」です。現在、翌日配送が当たり前になっていますが、翌日に納品するために物流業界に多くの負担をかけ、運搬効率も下がっているのではないかと思い、お取引さまの理解と協力を得ながら、出荷後翌日納品だった卸先のうち65%を、出荷後中一日納品に切り替えさせていただきました。社内でも、荷捌きが間に合わない場合には翌日に持ち越せるようになり現場の負担が軽減したとの声も上がっています。

また、当社の通販には月に1~2ケースを自動的にお届けするサービスもあります。このようなサービスを活用していただくことで、ビールのストックを気にすることなく、余裕を持ってビールを楽しんでいただけた方が幸せなんじゃないかなと、個人的には思っています。再配送の問題もそうですが、ひとりひとりの意識で、物流への負担を少しでも減らせるのではないかと思っています。

ウェルビーイングな価値観を大切にした活動

当社の社員は、一人ひとりに、お客様や地域の人に「ささやかな幸せ」を届けようという想いがあります。実際、当社のミッションである「ビールに味を!人生に幸せを!」に共感して入社する社員が多く、それが働きがいにもつながっています。
 
当社では、社内コミュニケーションの活性化や相互理解を深めるために、役職序列をなくしたフラットな関係を目指し「ニックネーム制」を導入しています。例えば、社長の井手直行は「てんちょ」、渡部は「ジン」、加藤は「なおG」と呼ばれています。ニックネームを自ら命名し、ニックネームで呼び合うことで、年齢や役職の垣根が取り払われて、自由な議論や意見交換が可能になっています。ちなみに、部署名も広報部を「ヤッホー広め隊」、製造・設備部門を「麦府中奉行」と呼んでいます。

当社には「ガッホー文化」というカルチャーがあります。スタッフ一人ひとりの力と自発的な努力を原動力に、一人では成し遂げられないことをチームとして目指し、ファンにささやかな幸せをお届けすることで「ビールを中心とした「エンターテインメント事業」の醍醐味を味わうはたらき方を目指しています。働く上での価値観として、ウェルビーイングという言葉と非常に親和性が高いと考えています。

また、「宴」というファンとの交流イベントも開催しています。このイベントは2010年から開催しており、最初は40人程度の規模でしたが、今では最大5,000人まで拡大しています。2024年には5年振りに北軽井沢のキャンプ場で「よなよなエールの超宴」というイベントを開催しました。ビールファン約1,000人が集まり、多くのファンの皆さまとクラフトビールを楽しみました。

最近では、「ゆっくりビアグラス」というものもつくりました。これはついついハイペースで飲んでしまうビールの飲み方に対して、わざと飲みづらいグラスにすることで、ビールをゆっくり飲んでもらおうと考案されたものです。砂時計のような丸みを帯びたグラスの形状が香りを閉じ込めるので、「よなよなエール」の華やかなホップの香りや味わいをしっかり感じることができます。

2024年7月に「ゆっくりビアグラス」として限定販売しました。3,000件近い応募がきまして、この度、量産の目途が立ったため、公式通販サイト「よなよなの里」で通年販売を開始しました。

「ゆっくりビアグラス」も、ウェルビーイングの発想から企画されたもので、ビールをゆっくり、じっくり味わうことが身体的・精神的・社会的に良好な状態につながるという考えからです。
 
今後の取り組みとしては、省エネに取り組んでいきたいと考えています。製造過程での熱回収や再生可能エネルギーへの切り替えは進めていますが、できる限りの熱を余すところなく使うということが最近の醸造のトレンドであります。エネルギー価格が高騰する中で、価格転嫁せず、できるだけ手軽にビールを飲んでいただきたいという思いがあります。
 
また、冒頭に麦芽の絞りかすのお話をしましたが、発泡酒のビールが増える中で、麦芽の絞りかすが減少し、飼料の値段が高騰しています。発泡酒は麦芽の使用率が25%以下ということで、麦芽の絞りかすを牛や豚の飼料にしていた人たちは、飼料価格の高騰・不足に陥っており、当社にも、麦芽かすの飼料化の問い合わせが来ていますので、麦芽かすの飼料化も考えていきたいと思っています。
 
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今回は、ヤッホーブルーイングさまのサステナビリティへの取り組みをご紹介させていただきました。
 
次回からも引き続き、パートナーさまのサステナビリティへの取り組みをご紹介し、「サステナブルの輪」を広げていきたいと思います。
 
次回の配信もお楽しみに。
 
編集・著作:ヤマト運輸株式会社

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