グループ持続可能な次の100年を見据え、「きれいと快適・健康」と「環境」を両立させた商品を世界中に広める。サステナブルの輪Vol.021 TOTO
皆さまこんにちは。ヤマト運輸公式note編集部です。
ヤマト運輸公式noteがお届けしている「サステナブルの輪」では、ヤマトグループとともにサステナビリティへの取り組みを推進しているパートナーさまに、サステナビリティに関する活動や想い、狙いについて語っていただいています。
今回は、衛生陶器をはじめとする住宅設備機器などの製造・販売を行うメーカー、TOTOさまのサステナビリティへの取り組みをご紹介します。
TOTOは1917年に衛生陶器メーカーとして創立。以来100年以上にわたり、豊かで快適な生活文化の創造を目指し、水まわりを中心に人々の生活に関わる商品を提供し続けており、トイレ、洗面器などの衛生陶器では国内トップシェアとなっています。
「ユニットバスルーム」は1964年にTOTOが最初に発売したもの(JIS規定による)で、現在、国内浴室の大半はユニットバスルーム工法でつくられるまで一般化しています。
1980年に発売した「ウォシュレット®」は、累計出荷台数が全世界で6,000万台(2022年現在)を超え、温水洗浄便座を代表する商品として定着しています。水まわり商品以外にも、新領域事業として、主に半導体製造装置用部材のセラミック事業も手掛けています。
今回、経営企画本部サステナビリティ推進部サステナビリティ推進第一グループの木村博幸さまと、坂村真理さまにお話を伺いました。
次の100年を見据えたTOTOのサステナビリティ経営
まずはTOTOグループの成り立ちからお話させていただきます。TOTOグループは初代社長の大倉和親が20世紀初頭にヨーロッパを視察したことに始まります。
大倉和親は欧米式の衛生的な水まわり文化に接し、真っ白なsanitary wares(衛生陶器)に感動し、日本にも衛生陶器を普及させなければならないという使命感を抱きました。
創立前の1914年には、国内初の腰掛式水洗便器の開発に成功。1917年に東洋陶器(現・TOTO)を創立しました。以来100年以上にわたって、水まわりを中心に人々の生活に関わる商品を提供し続けています。
当社の企業理念の一つに「水まわりを中心とした、豊かで快適な生活文化を創造します」がありますが、ここには創立者の「健康で文化的な生活を提供したい」という強い志と使命感が込められています。
現在、サステナビリティという言葉で言われていることを、当社では創立以来、企業理念に据えてきたと思っています。こうした創立以来の企業理念を土台に、2050年に持続可能な社会、カーボンニュートラルの実現を見据え、2021年4月に策定したものが「共通価値創造戦略 TOTO WILL2030」です。ここでは重要課題=マテリアリティを「きれいと快適・健康」「環境」「人とのつながり」とし、サステナビリティ経営を推進しています。以前は経営とCSRを一体化させようという図式でしたが、「TOTO WILL2030」ではサステナビリティ経営のもと、事業を推進することで企業の経済価値と社会的価値・環境価値を共に高めることを目指しています。
「TOTO WILL2030」では、2050年に持続可能な社会の実現を目指すため、2030年をマイルストーンとした具体的な数値を掲げています。例えば、「きれいと快適・健康」をもたらし、「環境」にも配慮した商品を「サステナブルプロダクツ」と定義し、その商品構成比を2020年度の69%から2030年度には83%とする目標値を掲げています。また、商品使用時水削減貢献量。これは2005年当時の商品を普及し続けた場合と比べて節水便器がどのくらいの水を削減できているかを算定したものですが、2020年度の10億㎥に対して2030年度には13億㎥の達成を目指しています。また、事業所からのCO₂排出量は、2021年度の35.2万tに対して2030年度には18.5万tの達成を目標にしています。
重要課題である3つのマテリアリティに関しても、簡単に説明させていただきます。一つ目の「きれいと快適・健康」は、事業を通じて「きれいと快適・健康」を実現することにより、SDGsに貢献していこうというものです。繰り返しになりますが、水まわりを中心に人々の生活に関わる商品を提供することで、「健康で文化的な生活を提供したい」という創立者の想いを、事業を通じて実現させてきました。商品開発を通して人を思い、清潔性や快適性を追求し、進化させること。そして、世界中の人々に、きれいと快適・健康な暮らしを届けること。「きれいと快適・健康」は創立者の想いに通じる重要課題の一つです。
二つ目の「環境」は、事業を通じ「環境」を守ることにより、SDGsに貢献していこうというもので、カーボンニュートラルに向けた取り組みをはじめとして、環境リスクの回避、水資源保全に向けた取り組み、地域社会とともに持続的発展を目指す取り組み、生物多様性も配慮したサステナビリティ調達などを掲げています。
三つ目の「人とのつながり」は、事業を通じ「人とのつながり」を築くことにより、SDGsに貢献していこうというものです。私たちの事業は私たちTOTOだけで成り立っているものではなく、多くのパートナーさまの協力と連携があって成り立っているものです。そしてもちろんお客さまの存在があります。こうした人との長く深い信頼を築くことで、SDGsに貢献していこうというものです。
性能進化の追求こそがTOTO独自のサステナブルな取り組み
SDGsには17の目標が掲げられていますが、その目標6が「安全な水とトイレを世界中に」です。世界中で水道設備のない暮らしをしている人は22億人以上。トイレがなく道ばたや草むらなど屋外で用を足す人は4億1,900万人にのぼると言われています。
目標6は、まさに当社が創業以来掲げてきた企業理念そのものです。先ほどお話をさせていただきましたように、当社が具体的に取り組んでいるSDGsに貢献する活動はさまざまありますが、ここでは目標6にも関わる「限りある水資源を守り、未来へつなぐ」という観点から、当社の節水器具の性能進化に関わる取り組みを紹介させていただきたいと思います。
もちろん、製造過程においてCO₂の排出量を削減していくことも進めていますが、節水することで、上下水道処理施設の節電につながり、CO₂排出量が削減できますし、何よりも水に関わる商品を製造している当社ならではの独自のサステナブルな取り組みになると思っています。
地球には多くの水がありますが、実際に人が生活に利用できる河川や湖沼などの淡水の量は、地球全体の水資源の0.01%しかないと言われています。水まわり商品を提供する企業として、私たちTOTOグループは人々の暮らしに大きな影響を与える「水資源の枯渇」という課題に対応していく大きな責任があると考えています。その一つが節水への取り組みです。
例えば、1955年発売の水洗便器は1回の洗浄水量が20Lでしたが、1999年には洗浄水量8Lの「レスティカシリーズ」を開発。さらに2012年発売の「ネオレストシリーズ」では3.8Lを実現し、洗浄水量を約51%削減しています。単に洗浄水量が少なければいいというわけではなく、汚物がしっかり流れなければなりません。いかに少ない洗浄水量できれいな便器を保つかという、節水と洗浄能力に、当社のサステナビリティへの取り組みが凝縮されています。
従来の洗浄方式は、便器上部のフチ裏に開いた穴から水が流れる方式でした。この方式だとどうしても穴と穴の間に不洗浄面が生じてしまい、掃除しにくいという欠点がありました。そこで、フチなしを実現するために、当社が開発したのが渦を巻くように洗浄するトルネード洗浄方式です。渦を巻いて洗浄しますので、従来よりも少ない洗浄水量で便器を洗浄することができ、大きな節水につながりました。しかし、水の勢いが強すぎると便器の外に飛び出してしまう。逆に水量が弱いと便器内をきれいに洗えない。このバランスを取るために、便器の最適な形状、水の勢いなど、さまざまな要素を考慮した便器設計が重要になります。
トイレ以外にもシャワーなどの浴室関連商品やキッチン関連商品などにおいても、「節湯」と言う考え方で、できるだけ少ないお湯でそれぞれの機能を発揮できる「節湯商品」を開発しています。使用するお湯が少なければ、それだけお湯を作るためのエネルギーの削減にもつながります。
その他、カーボンニュートラルに向けた取り組みとして、温室効果ガスの排出量削減に取り組んでいます。TOTOの多くの商品は使用期間が約10年~20年と長く、ライフサイクルで見ると、商品使用度時に排出されるCO₂の量が全体の9割を占めています。その削減に取り組むことが、毎日の快適な生活と環境にやさしい暮らしを両立させることにつながると考えています。持続可能な社会、カーボンニュートラルの実現に向けた国際的なイニシアチブに賛同し、2021年6月にSBT(Science Based Targets)イニシアチブ「2℃を十分に下回る水準(WB2℃)」の認定を取得。さらに2024年3月には、2030年に向けた温室効果ガス削減目標を更新し、世界の平均気温上昇を産業革命前に比べ1.5℃未満に抑える「1.5℃水準」の認定を取得しています。
全社員一丸となって取り組むサステナビリティ
TOTOグループでは、ユニバーサルデザインにも力を入れています。当社には「どうしても親切が第一」という創立者から受け継いできた言葉があります。ものづくりは「人を思うこと」だと考え、毎日の生活に密着したものづくりのために、年代・身体状況・ライフスタイルなど、一人ひとりのお客さまの生活を考えた商品開発・提案を行なっています。
車いすユーザーの方や乳幼児連れの方、性的マイノリティの方など、外出先でトイレを使用する際のお困りごとを調査した報告書の発行や、さまざまな状況に配慮したトイレ空間の提案などを行なっており、多くの現場でご採用いただいています。
最後に、TOTOグループ内におけるサステナビリティ意識の浸透への取り組みを紹介させていただきます。サステナビリティについて、個々の社員にとっては具体的に何に取り組んでいいのか分からないことが多々あります。しかし、私たちTOTOグループの創立以来の理念がサステナビリティそのものであることを自覚し、サステナビリティへの意識を向上させることで、さらなる貢献につながると考えています。その観点から当社では、サステナビリティ意識の浸透を積極的に進めています。
2023年8月からは、温室効果ガス削減につながる活動を加速させることを目的に、全グループ員参加型のカーボンニュートラル実現に向けた活動をスタートしました。
「仲間の活動と共有に感謝をし、未来からの感謝につなげる」をキャッチフレーズに、世界中のTOTOグループ員のアクションを社内のイントラネットで共有しています。具体的には、社内のいろいろな部門の実践内容をリレー形式の写真や動画で共有したり、各個人の取り組みを社内SNSで共有したりしています。実践内容を共有することでグループ員が互いに刺激を受け、新たな実践に取り組んだり、仲間が増えたりすることで意識が向上しています。
この活動をスタートして、カーボンニュートラルに向けた意識や行動力が高まったグループ員は約8割という結果となっており(残りの2割はもとより意識・行動力が高い)、活動の大切さを改めて認識しています。今後もこの活動を継続推進し、グローバルで取り組んでいくことで温室効果ガス排出削減を加速し、サステナビリティの実現に貢献していきます。
また、TOTOグループのカーボンニュートラルに向けた活動を分かりやすく皆さまにお伝えするため、取り組み内容をまとめたコンテンツを公開しました。水・お湯とCO₂の関係も分かりやすくご紹介しておりますので、是非ご覧いただければと思います。
※TOTO HP「水と暮らしのカーボンニュートラル」https://jp.toto.com/company/csr/csractivity/cn_water/
「TOTOのカーボンニュートラル」
https://jp.toto.com/company/csr/csractivity/cn_toto/
TOTO商品は世界中のさまざまな国や地域で使われています。今後も変わらず、日本のきれいで快適そして環境にやさしい“水まわり文化”を世界に提案することで、TOTOファンを広げていきたいと思っています。
今回は、TOTOグループさまのサステナビリティへの取り組みをご紹介させていただきました。
次回からも引き続き、パートナーさまのサステナビリティへの取り組みをご紹介し、「サステナブルの輪」を広げていきたいと思います。
次回の配信もお楽しみに。
編集・著作:ヤマト運輸株式会社