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【みんなは知らない、スーパーの内緒話】

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皆さんが知らないスーパーマーケットの「内緒話」を経営者だった私が公開します!
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2022年10月の記事一覧

【ブラックボックス : 新聞チラシの折り込み料】

さあ、リターンマッチの開始である! ムダな経費は聖域なくカットする。売り上げはすぐには増えないが、経費ならその日のうちに削減できるものが多い。そしてその結果は従業員の目にもわかるため、モチベーションも上がる(^^)/ まず手始めに行ったのは、スーパーならおなじみの「チラシ広告」の経費の削減である。 いくら新聞の部数が減ったとはいえ、スーパーのメイン顧客である主婦層の来店は、やはり折り込みチラシに左右される。特に田舎ではそれが顕著だ。 チラシの印刷代は、ネットで一番安価な

【赤字からのV字回復〜光と影】

赤字スーパーを引き継いだ2年目、ここまで2期連続赤字のため、これ以上の損失は金融機関の対応がより厳しくなる…。そうでなくても担当が支店から本部の「再生支援課」に移管されている。待ったなしである! ⭐️始めに高いハードルを超えてしまえ! 先の投稿で、「一番嫌でやりたくないこと=会社への利益貢献」として、発祥の地からの撤退と先代社長の更迭を成し遂げた私はその効果を実感した。「始めに最難関課題を突破してしまえば、後は何でもできる気になっていく。改革の道はまた始まったばかりだ。

【月夜の晩ばかりじゃないぞ…】

メインの取引業者を替える決断…是か非か? 先代から1.5億円の赤字スーパーを引き継ぎ、銀行から「君が社長になれば金を貸してやる!」と言われたのにハシゴを外され、その支店長を「ぶっ殺すリスト」に入れた私。なんとしてでも業績を改善しなければ、倒産待ったなし!坊ちゃん育ちの三代目社長。 『利は元にあり』当時ウチの総仕入額の50%(10億)を任せていた会社(私の仲人)を訪ねた。担当者には頼んでいたものの一向に埒があかない。 社長同士の直談判!少しでもいいから仕入れ値を下げて欲し

【せっかく潰したのに、余計なことしやがって!】

先代の赤字1.5億円を39歳の若さで引き継ぎ、銀行から融資のハシゴを外されたことをきっかけに様々な改革(もどき)にまい進! ・メインの取引先(仲人)を替えて原価を下げ ・原価割れの特売を止めて売上高より利益率を上げ ・改革に後ろ向きな、先代絡みの親族をすべて解雇して労働環境を改善し ・赤字の店(発祥の本店含む)を閉鎖し ・電気代やチラシの折り込み料、家賃や顧問料も下げ この結果、沈没寸前だった家業の「スーパーやまと」は、社長交代2年目の期末に、わずかながら「黒字経

【潰れた店を引き継ぐということ】

今はなきスーパーやまとは「破綻スーパーの再生」を軸に業績を伸ばしていった。全16店舗中12店舗が、なんらかの理由で閉店の憂き目に遭った店である。多くは近隣に大手スーパーが出店したことによる経営不振での倒産。そこには行き場を失くした店舗・従業員・顧客・取引先がいる。 「正義の味方気取り」でその店に飛び込んでも、従業員からはほぼ歓迎されない。潰れたとはいえ歴史やプライドもあり、従業員もパートさんを含め思い入れのある場所、お客さんにも様々な思い出がある。そこに土足で踏み込む訳には

【家庭の生ゴミ仕入れます!】

私が現役時代に実施したことで、おそらく一番全国的に認知されたのは「家庭生ゴミ」を店舗で回収し、堆肥化の後、野菜を収穫して店舗で売る、という循環型システムを作ったことかもしれない。 ワイドショーで紹介されたり、全国のニュースでも取り上げられて「担当」の私は、取材の対応だけで3ヶ月くらい無休となった(笑) 総務省で表彰されたり報道の影響で、数えきれないほど自治体や企業、学校、議員さん達が見学に訪れ、実際に導入していった。 見学のたび人手不足の弊社の説明係は私が務め、社長に見

【レジ袋を有料化します!嫌です!】

今ではレジ袋有料化が根付いているが、それより15年近く前の2008年に山梨県全県でそれをやろうという動きが起こった。行政主導だったが、そもそもこれまで無料で配っていたものを、お客さんに買わせることで圧をかけて枚数を減らそう!などと言う見下し目線の施策など、絶対に反対だった。 それなのに… 県の担当者がやって来て「何とか環境問題に理解ある社長が先頭を切ってやってもらえませんか🙏🏻」ときた。県内で一番若いスーパーの社長を人柱にして強行実施しようとするのも気に入らない。 私の承

【早過ぎたSDGs】

先代からの大赤字を回復してから、私は「スーパーやまと」を救ってくれた地域への恩返しのつもりで、様々な取り組みを始めていった。 ルールは「本業以外で儲けない!」と決めた。 今更ながら振り返ってみると、その一つ一つは当時にしては「早過ぎたSDGs」と言わざるを得ない (笑)。当時はそんな言葉は聞かなかったし、 環境や弱者対策など当たり前のことだと思っていたからだ。 せっかちな性格の私は、「有言実行」ならぬ「実行有言」タイプで、いつも動き出してから考える。県内で一番若い社長の私

【ホームレス正社員】

テレビで地元のニュースを観ていたら、いわゆる「ホームレス」の人たちが農場で作業している風景が目に止まった。NPOの農場で働くことの対価で、弁当や飲み物が貰えるとのこと。顔にはモザイクがかけられていた。 一人のおじさんが言う 「生活保護に頼りたくない!職を見つけて社会復帰したい」 この人だけ顔にモザイクがかかってなかった。こんな時、なぜか自分のスイッチが入る、「ROCK!じゃないか、自分の顔を晒して仕事を探してる。本気なんだ」困っている人がいたら手を差し伸べなさい!と学校で

【レジ袋有料化で得た莫大な利益】

私がスーパーを経営していた山梨県では、2008年から全国に先駆けて「レジ袋有料化」を全県で実施していた。 環境への配慮というスローガンに納得がいかず、そもそもお客様から代金(ペナルティ)を取ることによって、マイバッグの持参率を上げようとする試みに賛同できなかったが、県からの強い要請で、嫌がる他のスーパーをまとめて有料化の先鞭をつけた。 環境への貢献はさておき、それまで経費で支出していたレジ袋をお客様に買って頂くことによる企業の利益は莫大なものだった。 当時一枚2円で仕入

【生活根拠者への食料支援〜きずなBOX】

様々な理由で生活が困窮し、日々の食べ物にも事欠く、育ち盛りの子どもがいればなおさらのこと。各地でこの様な困窮家庭を支援する活動が拡がっている。 スーパーやまとでは全店で、支援団体「フードバンク山梨」と協力して、写真の「きずなBOX」を設置した。これは買い物をしたお客さんが会計を済ませた後、支援の品物を入れてもらう取り組みである。 ただ商品を入れてもらうだけでは私の気が済まないので、そのお客さんには別途倍額のポイントをつけてお礼の代わりした。 「支援する人→仲介店舗→困窮家

【大盛り『298円弁当』のからくり】

美味しそうじゃありませんか? 「スーパーやまと」ではご飯も大盛り350gで298円(写真は被災地への義援金付きで300円)のお弁当を売っていました。お昼時には売場に人だかりができ、巡回中のお巡りさんやタクシーの運転手さんもレジに並ぶほど (笑)。年間100万食も売れて単品売上げ3億円!まさに弱者のPB(プライベートブランド)でした。 当時、売上げが低迷していた弊社は、愛知県で弁当が評判のスーパーへ視察に行った。「ウチでも売れないか…」それまでのスーパーの弁当は、10個定価の