Floyd Rose Fat Brass Brockを流用できるか否か
こんにちは、ギタリストのYamatoです。
前回トレモロブリッジの固定アイテムAllparts Tremol-No Pin Typeをご紹介して、文字数が多くなったのでまとめてご紹介できなかったアイテムをご紹介したいと思います!
※前回の記事はこちら
・Floyd Rose Fat Brass Broc
本当に需要の少なそうなアイテム紹介だな。と3連商品リンク見て思いました…w
こちらはフロイドローズ系のトレモロブロック(ブリッジとボディを繋げるためのスプリングをひっかけているパーツ)で、フロイドローズ系をはじめトレモロブリッジはテールピースや裏通しに比べると、低音の再生が弱くカリカリな音になってしまいがちです(むしろ私はそれが好きでトレモロ付きを選んでいる感もあります)。
そこでブリッジ下の体積(質量)を増やして弦の振動効率を改善(変化)させてやろうじゃないか!というオーディオ業界にはびこるロマン()アイテムです。
※実際音質変化は大体の方は実感できると思いますが、それが良くなったのかどうかはそれぞれの好みの問題です。
また一つ注意していただきたい点として、サイズが32㎜・37㎜・42㎜の3種類ですが厚みではなく高さの違い(装着した時の縦軸)です。
なのでレスポールみたいな厚めのボディに搭載されてるトレモロブリッジに32㎜を付けると、スプリングがうまく取り付けれない事態も考えられますので、ご購入前に交換したいギターのトレモロブロックの高さを確認しておくことをお勧めいたします。
厚みに関しては純正よりも大きくなるので、アーミングの可動域が狭まったりするので、可動域を確保したい方は工房などに持ち込んでザグリを拡張してもらう必要があるかと思います。
※ブリッジ下の体積を稼いでボディを削る本末転倒な行為ですがね…w
・『流用できるか』とは
タイトルにもあるようにわざわざ流用できるか否かと書いていますが、ライセンスフロイドローズメーカー(フランチャイズ的なメーカー)の物は付けてる方がいたり、取り付け可能な情報が探せば出てくるのですが、私が主に使っているギターはstrandbergという事はご存じの方も多いかと思います。
※最近の軽量&エルゴノミックというスタイルが流行り始めたころにはやり始めたメーカーです。
このstrandbergは10年以上運営しているようですが、厄介なことにまだまだ新興メーカーのカテゴリーだと思いますし、なによりもオリジナルのヘッドレスギターという事もありパーツが独自機構の物なんですよね(ここ重要)。
※良い所や悪い所はまた違う機会にご紹介したいと思います。
そんな付けれるかどうかどこに聞いたらいいかわからなかったので(めんどくさかったので)とりあえず買いました()。
結果として、無加工でも九分九厘問題ない程度の装着感です。
今回は作業途中で写真を残していたので、交換した時の写真を用いてご説明していきたいと思います。
・交換方法
その①
とりあえず弦&スプリングも外して、ブリッジをボディから取り外します。
ちなみにstrandberg純正のブロックにはイモネジでスプリングを固定する措置が施されています。
今後strandbergのトレモロブロックやスプリングを交換しようとお考えの方は「1.5㎜の六角レンチ」を用意しておかないと、元のスプリングを外すことが出来ないので予めご用意することをお勧めいたします。
その②
工具の先にあるオクターブピッチ調節用のビスを2mmの六角レンチで緩めてバレル状のチューナー兼ブリッジを外す。
その③
バレル下にあった平頭のビスを3㎜の六角レンチで取り外す。
ついでに溜まった汚れを掃除もしておくといいと思います。
※参考までに7~5弦の場所は未掃除、4~1弦の場所はやわらかめの歯ブラシで掃き掃除しました。
その④
緩めたらこんな感じでブロックが外れます。
その④とその⑤の間
floydrose規格のブロックにはベースプレートとブロックを固定するビスは3か所ついているのですが、strandberg規格のブロックは2か所しか開いていません。
しかし両端のネジ穴のピッチ(幅)はほぼ同じで、ネジ経・ネジ山ピッチは同じ規格なので無加工で取り付け可能です(ここマジ重要)。
先述の無加工でも九分九厘問題ない程度とはこのビス穴の数とネジ穴ピッチがほんの僅かに違う程度です。
※このことから推測すると独自規格ではあるけど、ある程度floydroseを参考にしてstrandbergのパーツ設計したのかな?と思われます。
それとブロックの大きさはstrandbergが薄くて幅のある形で、floydrosefatbrassは幅かやや小さく厚みは倍くらいあります。
高さはstrandbergが37㎜で、前回のAllparts Tremol-No Pin Typeを取り付けると、固定用ビスがザグリからはみ出てしまったので今回は32㎜の物を選びました。
Allparts Tremol-No Pin Typeを付けていないStrandbergをお使いの方なら37㎜で高さも同じものになります(純正ブロック実測済み)。
その⑤
後は外した手順の逆に取り付けていくだけです。
また、取り付けの際に向きがあるのでご注意ください!!
目印として、ブロックのFR刻印がブリッジ側・無刻印がネック側になるように取り付けて下さい。
これ恐ろしいことに逆向きでもブロックとベースプレートの取り付けは出来るんですけど、スプリングの取り付け位置が逆になってしまい、バレルを取り付けてブリッジをボディに取り付けようとした時に発覚すると、相当めんどくさい事態になります。
※ブロックが厚くてスプリングをひっかける位置まで届かないので、再びバレルを外してブロックの向きを変えてまたバレルを付けて…とゴール手前のミスという事もあり、かなりメンタルがやられそうな事態です。
その⑥
取り付け後表面
Allparts Tremol-No Pin Typeを付けているがためにスプリングを張った状態でもブリッジが水平を保っています(これは一部ユーザーからしたら見る目を疑うような状態の写真ですw)
取り付け後裏面
Allparts Tremol-No Pin Type固定用ビスがまだ少し飛び出していますが、交換前に比べるとだいぶ収まってる感があります。
交換前との比較
これはAllparts Tremol-No Pin Typeの取り付け時に撮った写真で、今回と撮影角度が違いますが参考までにご覧いただければと思います。
※蛇足※
以前Twitterで同じくBoden Tremをお使いの方から「ちなスプリングどう掛けとる???」とご質問をいただいた際に軽くご紹介しましたが、私は画像の奥から
【ESP Tremolo Tone Spring Type-2】
【Allparts Tremol-No Pin Type取り付け棒】
【ESP Tremolo Tone Spring Type-2】
【strandberg純正固めスプリング】
【ESP Tremolo Tone Spring Type-2】
という感じで張っております。
スプリングもいろいろ試した結果、弦の本数や張力によりますがESP Tremolo Tone Spring Type-2を4本掛けするのが一番好みの感じだったんですが、7弦だと弦の張力に負けてしまったので7弦は上記の様なセッティングでで妥協しました…
(スプリングについてあーだこーだしてた体験も後日別記事を書かねばなるまいという大宇宙からの強い波動を感じた瞬間)
・交換してみた感想
正直「Allparts Tremol-Noが無加工で付けれたからブロックも余裕では?」という考えと「最悪ダメなら手元にあるフロイド系ギターに付ければいいや」という諦めと「手元にある工具で加工できるなら加工法を記事にすれば受けるのでは?」という人柱的思考で購入しましたが、心配事は杞憂に終わり何の苦労もなく取り付けが出来ました(ついでに行ったメンテナンスで少し時間がかかりましたけど…w)
冒頭でご紹介した「音質変化」ですが、交換前と交換後でドライ音データを比較すればよかったのですが、そこまでする気力はなかったです(本当に済まないと思っている!!)。
しかし、ファットフィンガーをヘッド部分に取り付けた時に「質量変化による音質変化」を体感しているので、多分それに近い恩恵は受けていると推測してます。
※ファットフィンガーは発売当初はGROOVE TUBEから発売されていましたが、今は吸収合併の影響でFenderから発売されています。
これちょっと怒られそうですけど、GROOVE TUBE時代のは「fat finger」と刻印されているだけだったのですが、現行はでかでかと「F Fender」って刻印されてるのマジで余計なマイナーチェンジだと思います(Fender好きの皆さんには申し訳ないです…)。
ヘッドレスギターでもかろうじてクリップチューナーを取り付けれるので、いい感じの場所にいい感じに取り付けてあげると「もしヘッド有だったらこんな感じの音の方向性なのね~」というのもわかるので、これまた興味のある方はお試しください!w
で、話を戻しましてFat Brass Brockの恩恵は音質変化よりも、ボディ側の質量増加にメリットを感じました。
質量増加≒音質変化なんですがそれはちょっと度外視して書くと、ヘッドレス&チェンバードボディの最大の恩恵である超軽量ですが、軽すぎるが故にストラップを付けて立奏した時にヘッド落ちが起こりやすいなんてデメリットもあったりします。
これはストラップの素材でも改善は可能ですが、演奏中にヘッド側が重力に負けないようストラップが服とか肩に食い込み気味(北海道弁で言うところの”いずい”状態)で、滑りはしないものの少なくともストレスの一環です。
それをほんの数十gでもボディ側に加算することで、ヘッド落ちがやや改善されたりボディの安定性が上がりました(思い込み効果かも?w)。
先述のファットフィンガーと併用したら重量バランスは相殺されそうですが「ボディ側の質量をもっと上げればいいや」という「軽量ボディが売りのギターとは?」という千日手が繰り広げられます…
・strandberg tremブリッジにfloydパーツを付ける注意点
Floyd公式パーツは今回取り付けが出来ることが証明されましたが、類似品メーカー(GOTOHとか)のFloyd系パーツが取り付けれる保証はないですが、似た構造ならたぶんできるんじゃないですかね?(責任は1㎜も取りませんw)
それとFloyd公式のLシェイプブロックはザグリを拡張しないとまず入りませんのでご注意ください。
※ノーマルでほぼぴったりなので間違いなく横に飛び出た部分が干渉します。
普通のFloyd系はアームの差込口の下までザグリが掘られていますが、strandbergはバレルの下部分しか掘られていません。
質量増加目的ならLシェイプの方が数g重くなるので、より効果は望めたのですがこれは手出ししませんw
あとTremol-Noの購入時にピンタイプを選んどいて正解だなと思いました。
ブロックの厚みがかなり厚くなったので、もしかしたらクランプ式だとラージタイプの物じゃないと付けれないかもしれないので、私のようにTremol-NoとFat Brass Brockを同時導入する方はクランプ式でも取り付けサイズを確認した方がいいですが、ピンタイプならここに成功実績があるのでその組み合わせなら大丈夫です!w
・最後に
これで前回からの合わせてほぼ2部構成でお送りした「strandberg×floydrose」についての記事は終了です!
両方ともご覧いただいた方は相当なオタクだと思います(超絶賛辞)
次回のアイテム系記事はちょろっと出てきたスプリングのお話か、そもそも今回のパーツ交換に踏み切るきっかけになったstrandberg Boden Tremの弱点のどちらかを書きたいと思いますので、ほどほどにご期待してお待ちください!!
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それと「こいつのレッスンだと不安だな…」とお考えの方は、小林信一さんが運営しているONLINE MUSIC DOJO内で、私も所属している全国ONLINE GUITAR LESSONには様々な先生がいらっしゃるので、気になる先生を探してみるのも良いかと思います。
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