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がん様々 16 聞いてないよ…的な副作用、だから広がる知識や閃き

がん患者による、がん患者のための、
がん治療マニュアル


3章 抗がん剤治療•後半戦

3 ドセタキセル&ハーセプチン第1回目痺れ・発熱・痒みの観察②

(3 ドセタキセル&ハーセプチン第1回目痺れ・発熱・痒みの観察①、の続き)

2日目夜から少しずつ出ていた症状の痺れや痛みや違和感など様々な症状が、日を追う毎に増えて行きました。

前半のACのときは、表層の大きな筋肉への影響を強く感じていました。後半のこの回は、深層筋が固まっていく症状が強く、それに伴い痺れ(末梢神経障害)が起きているように感じていました。
深層筋が固まっていくということは、関節を支持している筋肉への影響もあるためか、身体の柔軟性が落ちていきました。

施術家としては、日々変化していくこれらの症状に興味津々でした。
ここに大きなヒントがあることを感じ取り、後に増えていった がん友の身体を施術させていただきながら、自分自身の身体に起きる症状と照らし合わせ、確認し、症状を緩和できる道を見つけていきました。

乳がん治療の抗がん剤パクリタキセルや大腸がんの抗がん剤オキサリプラチンなどのように、末梢神経障害が強く出るケースが多い抗がん剤があるのですが、その症状のある数人のがん友の施術をさせていただくことで、少しずつ確かな施術へと導けるようにしています。

そして言えるのが、セルフケアの重要性です。

治療が続く限り、抗がん剤の蓄積により副作用は出やすくなります。
神経経路が影響を受ける直接的、一次的症状からは逃れられませんが、軽度にすることは可能ですし、二次的な症状の緩和も可能と感じています。

私の施術を受けていただくことはそれに有効だと思いますが、日々セルフケアをしなければそれも一時的なものになってしまいます。症状が出るのを遅らせたり、出にくくさせたり、出たら施術効果をより持続できるよう、ストレッチやグッズを使用するなどして日々ご自身でできることについてアドバイスをさせていただいています。

私は、後半初回で起きた症状により気付いたことを次回から取り入れていったことで、同じような症状は回を重ねるごとに起きにくくなりました。
ストレッチは、どなたでもできるように寝ながらや座ってできることを意識して考えていて、その内容はまとめて動画などでお伝えできたらと思っています。取り入れていたグッズは、巻末付録1 -耳寄り情報- へ掲載します。

地球には重力があります。抗がん剤の副作用による症状も手術後もその先も、重力の身体への影響を感じさせてくれる時間でもありました。
人間は、地球上だから、このように生きていられます。重力という条件がもれなく加わるから、身体はこの条件のもとで生きなければならないし、地球上にあるすべてのものが、地に存在していられるのですよね。

4日目は、免許の更新に行きました。この時期は脱毛が続いていて、前半では殆ど残っていた眉毛やまつ毛も抜けてきて顔が薄くなっていたので、何年も残る免許の写真を撮るタイミングがこの時であることが、まるで記念撮影のように感じていました。

実際、頭は何かを被ったままでもよいのかなど免許センターへ確認の電話を入れたところ、スカーフや帽子も着用可能で、希望すれば髪が生えそろった時に撮り直しもしてくださるとのことでした。
免許センターの方は、病気姿の私を丁寧に扱ってくださいました。

5日目は一日、薬疹による手の甲と頚周りの痒さが強く、また、末梢神経障害による踵痛、膝痛、股関節痛、腰上部・胸下部痛がありました。真っ直ぐ立てない姿勢と深層筋が固くなりやすくなっていた影響です。

踵痛が強くて踵を地につけて歩けず、足裏前半分で歩いていた姿勢の影響で腰痛を起こしていました。
施術家としてはありえない状態です。それでもやはり、この経験から得られたことは多かったので、これも欠かせない経験でした。

この日、2組の友人ご夫妻と箱根に一泊しました。メモには書いてありませんが、肌寒く感じていたので旅先で夜熱を計ったら37.3度ほどの微熱がありました。歯茎がうずき痛くて、足首・膝下もうずいてあまり眠れませんでした。

この熱は後に、「抗がん剤の平熱は37.2度」と当たり前の認識になるのですが、この時はまだそれに気付けず、共に旅をしていたご夫妻にご心配をお掛けしないよう黙っていました。
がん患者は、心配をいただくことに申し訳ない気持ちにもなるのです。楽しく過ごせるならば極力言わないままでいたい、と思うこともあるのです。

7日目から仕事復帰です。この状態での仕事復帰、仕事スイッチというのはスゴイもので、働ける神経を動かしてくれるものですね。
これも、動いたら楽になる、という事実が分かっていたからこその余裕でした。

しかし、薬疹の症状が進行し、さすがに痒みに耐えられなくなり、後半の抗がん剤の副作用は何が起きるかを十分に味わい学ばせていただいた満足感のもと、「タベモノ」に頼ることに決めました。
前半4回目のときに発見した「タベモノ」により、副作用の痒み対策はできる確信があり、それが安心につながることが想像できていたので、薬疹と痒みを存分に味わわせていただきました。

首の後面の薬疹

8日目。薬疹の痒さに耐えられず、午前中に「タベモノ」2食分を食べ、夜には痒みがおさまりました。
私の想像は当たりました。この翌日からは「タベモノ」を1日1回摂り続け、1週間もたたないうちに、薬疹の状態はかさぶたへと日々治る方向へ進化してゆきました。

そして、さらに数週間食べ続けた先、後半2回目の20日目あたりで登場します「髪がニョキニョキ」につながっていくことになります。

この薬疹効果に、あることがピッと閃きました。

お客様で、交通事故に遭い、その際に処方されたお薬による薬疹が首に出たまま、ありとあらゆることをしても治らず気にかけていらした方がいたので、この「タベモノ」をオススメしたのです。そうしたら、ナントっ!!あっという間に治ったではないですか。
これには、ご本人も大変喜ばれていました。首は見える場所ですから、気にかかっていたと思います。私も我がことのように嬉しかったです。

直感や閃きは、まず試す――。研究を行う際の大切な要素です。

首の痒さはほぼ感じなくなりましたが、なぜか左手甲の一部分だけ、ポツポツと小さな水疱のような症状と痒み感があり、これは大したことないと思っていたら、皮膚の中では徐々に進んでいたようで、いつの間にか両手に広がっていました。
終いには、両掌と甲の皮膚がすべて剥け、下からキレイなピンクの皮膚が現れました。

剥けた皮膚は、抗がん剤の副作用で茶色く、部分によっては硬くなっていたので、キレイな柔らかい皮膚に生まれ変わり、とても嬉しかったです。なかなか皮膚の色が変わるほどに剥けることはありませんからね。
行き着く先が喜びにつながっていると、幸せ感が増します。

皮膚が剥けることは、私のように掌と甲が全て剥けることはなくても、部分的に剥けることはよくあることです。実際、現在の治療では全て剥けることはなく、部分的に指や掌が頻繁に剥けていました。これは、保湿対策することでかなり軽減されます。

9日目。いよいよ現れました。後半の抗がん剤で最も現れた副作用、免疫反応による発熱。免疫反応により簡単に熱が上がるのです。

抗がん剤治療の日には、白血球数を抗がん剤治療を受けられる範囲内に戻しておかないと受けられなくなるので、前半以上に免疫力を戻すべく、食べ方と筋肉を動かすことを意識していました。血液検査の数値を想像してワクワクしていました。

お蔭様で、判定基準となる血液検査の「WBC」という白血球の数値が、この後からの抗がん剤治療日には、後半2回目/7,700、3回目/8,200、4回目/7,200と驚く好数値を叩き出したのです。ちなみに、女性のWBCの下限値は3,300、上限値は8,600です(上限下限数値は医療機関による)。

前半3回目の数値が2,900と下限値の下だったのですが、この3回目の低い数値を見たときから、「絶っ対に上げてやるぅ〜っ!!」と心にガッツポーズをしながら意識的に生活していたのです。

現在の治療でももちろん、白血球を上げるための注射を使用することなく、5,000〜7,000台の好数値を叩き出し続けています。
白血球を上げるための注射は副作用も伴うので、それを使用しなくて良いということは、苦痛がその分軽減され、治療を乗り越える術にも繋がると思います。

12日目。この頃には、後半の抗がん剤で残りの髪はほぼ抜け、眉毛とまつ毛も抜けて1割ほどが残りました。乳児と同じような状態なのに、赤ちゃんはカワイイものだが、大人だと“=病気”と想像され、やはり心配されることが気にかかる…あったものが無くなるとはこういうことか…。
見た目から人が想像する状態と、私の体感と心の状態が一致せず、常に心配いただくことが気掛かりでした。この頃の私の気掛かりは、髪の毛とソレでした。

この状況において、一事が万事すべてチャンスであり、学びですね。予定通りでないことは、人生にゴロゴロ起きます。


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