がん様々 18 副作用研究の終盤と賜物
がん患者による、がん患者のための、
がん治療対策マニュアル
3章 抗がん剤治療•後半戦
5 サポーターチームへメッセージ
7月12日(水) 10日目
残り2回しかできない抗がん剤副作用研究に関して、そばで見届けてくれいるサポーターメンバーに心配かけないよう、伝えたいことがありました。そのまま載せます。
『みなさん、おはようございます☀
今日は、ワガママなお願いをしようと思います(人´∀`*)
いつもたくさんのサポートありがとうございますね。
抗がん剤治療、あと2回。自分自身の身体を使って研究をしている身としては正直副作用対策の研究はあと2回しかできない!!とも感じています。
皆さんが見てくださっているように、研究分析の成果を色々といただいています。そんな中、あと2回で行いたいこともあります。
それは、限界を見極めたいということ。
もしかしたら、皆さんが見ていてヒヤヒヤしたり、心配になるようなこともあるかもれません。今までもそんな光景はきっとあったでしょうね。
でも、だからと言ってやめたら限界を知ることは一生できません。
限界を感じることでしか見つからないことがあります。限られた機会にしかできないことなので、また、ずっと続けるわけではないので、どうか残り2回、その機会に協力する気持ちで、たとえ心配を感じても見逃し、見届けていただけたらこんなに有り難いことはありません。
経験しているモノの身体でしかできないのです。幸い、シコリさんは順調にコブリになっています。命は大丈夫です。
限界を超える、そこで起きる事実を知ることは、私にとっては必要なのです。それを研究分析して次に、何かに活かす!これが健全です。
できるヒトが少ないことだからこその現状なのだと思っています。
もしかしたら、何の成果もないかもしれません。
それは、何の成果もないことを知れることが成果になります。
もしかしたら、言っている割には大したことはしないかもしれません。それは、必要ないと私が感じてのことでしょう。
たくさんの想いをいただいているのにこんなワガママなお願いで…あきれて笑ってください。
歳を1つ重ねた最初の決意表明』
15日目頃から、歩くスピードが落ちていきました。
大腿の筋肉がダルダルに緩んでいき、街を歩く人々のスピードに、段々乗れなくなっていきました。
そんな様子が、このあと数日間のメッセージに記されていました。
7月20日(木) 18日目
『身体の調子は、さすがに今回のは副作用が重く出るのと回を重ねるごとに身体に蓄積されていくのとで、超速歩きが難しくなってきています。息切れしちゃって。
毎朝、駅まで小走りして体力が今どのくらいかを計るのですが、駅までノンストップで小走りは無理になりました。ゆっくり歩行が好きになってきましたねぇ。
そして、階段をかけ上がれなくなり、最後は、ヨイショ、な気持ちになりますね。階段で人を追い越すことがなくなり、同じ歩調になりました。
息切れするんですよぉ~!!あと2回の蓄積が重なるから、もう少し落ちますね。』
この下肢の筋肉ダルダルと筋力低下の症状は、サルコペニアに陥っていたからだと思います。
そして、ミオパチー(筋疾患)も起きていたと思われます。近位筋(身体の中心に近い筋)の筋萎縮が発症していて、ずっと座っていると椅子から立ち上がりにくいとか、階段が昇りにくいなどの重力に逆らう動きがしづらい、といった副作用症状を受けていました。
ミオパチーからの筋力回復は、投与が無くなった3〜4週間後くらいから感じられました。
しかし、先に述べました通り、現在の抗がん剤治療では、今のところ一切起きておりません。この5年前の研究の賜物です。
20日目の週は、なんと!!髪がいきなりニョキニョキと生えてきました。
生えてくる前の数日、頭皮が痒かったのです。髪はないながらも洗髪(洗頭!?)していたし、汗疹あせもか!?と頭掻きかき過ごしていたのですが、まさか髪が世に飛び出そうと毛穴の中でモソモソしていた故の痒みとは思いませんでした。
前半の抗がん剤で1割残った髪は、後半の抗がん剤初回投与後しばらくしたら抜け、9割残っていた眉毛やまつ毛も抜け残り1割ほどになっているそばから、髪が生えてきたのです。
これは、後に「タベモノ」のおかげであろうということが判明しました。
髪が生えなくて困っていた がん友に試していただいたのです。
乳がんが発覚したときの抗がん剤治療で、髪はすべて抜け落ち、抗がん剤が終わってからも2〜3㎝までしか伸びなくなってしまい、それも間引いたような状態で地肌が見えていました。カットしても2〜3㎝しか伸びず、常に帽子をかぶって保護する生活でした。
「タベモノ」を試していただいた結果。あっという間にニョキニョキ生えはじめ、2ヶ月後には帽子はいらなくなり、3ヶ月後にはフッサフサになっていました。仕方ないねという前向きな がん友の笑顔が、心から喜びを感じている笑顔になったのが懐かしいです。
この生えてきた髪の毛ですが、髪質でおもしろい現象が起きていて、私はそれをとても楽しみにしていました。
抗がん剤の影響で頭皮や毛根にダメージが起こることで、カールの付いた髪の毛が生えてくるのです。西洋人のようなカールが付いた髪の毛が生えてくる方が多いと聞いていたので、カールが付いた素敵な髪型を想像しながら、「これくらいの楽しみがないと抜けてらんない」と言いながら、とても楽しみにしていました。時には、羊毛並みのカールで生えてくる方もいます。
髪の毛は、抜けて生えてを繰り返していますが、まさか一気に生まれ変わるなんて、なかなか経験できないいことではないですか。
生まれてから抜ける前まで直毛だった“我が毛”が、抗がん剤による毛穴や毛根のダメージでカールがつき、素敵な髪型の夢をもたせてくれました。実際、西洋人のような髪型にはなれませんでしたが、天然パーマがかかったことで、ショートヘアが似合う髪質になり、手入れがとても楽になっていました。
ただ、生えはじめて数ヶ月は、つや感のないマットな黒でした。髪質は、毛穴の状態が改善してから徐々に善くなります。そして、いつしか元の直毛に。
このフッサフサの真っ黒の髪の毛に、一様に驚かれました。少なかったですが元々生えていた白髪が、半分は黒髪になって生えてもきました。
伸びも早く、抗がん剤終了5ヶ月後には美容院復帰いたしました。
さて、お話を治療にもどしましょう。