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がん様々 4 コントロールできる副作用の性格
がん患者による、がん患者のための、
がん治療対策マニュアル
2章 抗がん剤治療開始
1 サポーターチーム結成 !!
自然発生的にできた身近な友人で結成された“がんサポーターチーム”と共に、私の治療はすすんでいきました。
頻繁には会えない友人知人からは、心温まるメッセージをいただき、皆さんのパワーが遠隔治療のようになり、がん細胞を撃退しているのではないかと感じたくらいです。
一人暮らしのがん治療がこんなにも豊かになったのは、サポーターチームのお蔭様です。
サポーターチームメンバーは、7名。治療日程をラインのグループに報告すると、抗がん剤投与日の送迎、帰宅してからのケアなど、できる人が手をあげ、あっという間に対応スケジュールが決まっていきます。投与日の夜は主に、大阪の友人が泊まりでケアしてくれていましたね。
抗がん剤治療にまだまだ慣れていなかったAC療法(前半の抗がん剤治療)の投与日に表れる副作用は特に、一人では動きづらい部分もあったので大変助けになりました。
副作用のことも、治療を重ねるごとに私と同じように理解してくれ、リンパ節転移治療の現在は説明がいらないくらいです。
もし、一人暮らしでがん治療と向き合っている方が周りにいらしたら、実際に手を貸すことはできなくても、状況に心を向けてみていただきたいです。乳がんの場合、副作用にうまく向き合えたら、働きながらでも生活していけます。それが可能ながんの種類は、他にもあります。
一人暮らし、生きていくために働きながらの治療……日頃から、自分ごとのように想像を巡らせておくと、いざという時に、誰かの、自身の役に立つでしょう。
単身世帯の割合は年々増えています。「働きながら治療する」「高齢者の単身世帯の治療」、これからの時代、この立場にたってみて大事な社会問題だと認識しています。
だからこそ、自然発生的に結成された“がんサポーターチーム”の存在は大きく、がん治療が豊かなものになったのです。
がん治療の流れは初体験ばかりで、経験したことがないから、はじめは想像できる材料がなく、ベストは何かを常に考えていました。
ただ、このような心境でいることは空元気にも見えるようで、ある方から「そんなに頑張らなくていい」ように言われた時には、とても違和感がありました。
医療現場では、がん患者の精神状態を段階別に分類するようです。
私のように変わらないタイプはこうした分類には当てはまらず、くくられそうになることに苦痛を感じました。心が がんになるとさえ思いました。そこに当てはまらない人もいる、という項目も作ってほしいです。
主治医のA先生は、くくることはしませんでした。
抗がん剤治療の周期は、組織や臓器のターンオーバーに基づいていると考えられます。私が受けてきた治療は、3週間毎。3週間で、投与前の身体に戻る計算です。
大まかに説明すると、抗がん剤で身体がダメージを受けてから投与前の体調に戻るまでは、“ターンオーバーにきちんと乗れば” だいたい2週間。“ターンオーバーにキチンと乗れば”です。
残りの1週間で、次の治療に向けて体力をつける、という流れです。抗がん剤の種類によっては、もう少し早く戻ることもあります。
これが、流れに任せていたらなかなか難しい。副作用が起きたあとの対処方法だけでは、不調が続いて、抜け出しにくくなり、症状によっては慢性化していきます。
そうならないために、組織のターンオーバーに乗るお手伝いを自らするのです。セルフケアです。対処方法に頼るだけでなく、自身でできる予防策が重要になります。
この記事には、その予防策ネタを満載にできたらと思っています。
副作用は基本、ターンオーバーが早い臓器や組織に起きます。消化器=口腔内〜肛門までの消化機能低下、血液=骨髄抑制。少し時が経過してから表立ってくる、髪の毛=脱毛、爪=変色。
アレルギー反応としての薬疹が出ることもあります。抗がん剤によっては末梢神経障害による手足のしびれ。副作用の影響による栄養障害からくる、皮膚の乾燥などの皮膚トラブル、吐き気もあります。回を重ね蓄積されることにより起きる副作用もあります。
しかし、ターンオーバーに乗るお手伝いを自らすれば、投与から2週間後には投与前の体調に戻せたり、一次的反応でとどめられたり、二次的な副作用を抑えることもできるのです。
私は、がん治療のすべてにおいて、髪が抜けることだけが唯一気がかりなことでした。面倒くさがりなので、いかに効率良く髪を処理するかをずっと考えていました。ボブヘアにしていましたが、髪の毛が抜けるにあたり、長いと面倒な気がしたので少しでも楽することを考え、治療開始前にショートヘアにしました。
実際、髪が抜けはじめると、実に面倒くさい!! ショートヘアにしても面倒くさい!! 坊主にしてしまうのが一番の策でしょうが、私は、坊主にしたあとの毛穴に残る短い毛が抜けたときのことを想像しただけでチクチク感じ、その一手は選択しませんでした。
結局どうしたか!?、その場面でお話いたします。
抗がん剤の入った身体と毎日向き合っていて思いました。安静の判断やタイミングを捉えられなくて、辛さから抜け出しにくい人は多いと思います。安静にしすぎると体力が減退し、善くなるタイミングを逃します。それは、何でも一緒かもしれませんね。
辛いのは分かるので、特に初回初日は何が起きるか分からずドツボにハマり、ホントに辛かったので仕方ないのも分かります。痛みに強い人と弱い人がいるように、辛さも同じだと思います。
けれど、辛さに集中しすぎてそれに流されるのはもったいない…。もったいないから、身体と会話していました。
会話していたら、元気に乗り越える術(すべ)が徐々に身につき、表れる副作用レベルが低下していました。お楽しみに。
2 副作用、すべては代謝で説明できる
治療はフルコースで、3月16日開始。内容は、抗がん剤AC4回、抗がん剤ドセタキセル4回、分子標的薬ハーセプチン1年間(ドセタキセルと合わせて4回、残りは放射線治療後12/25より再開)、右胸全摘&リンパ廓清手術、放射線25回、ホルモン治療です。この治療の中で、何よりも救いになったのが栄養でした。
D先生との出会いは、私が行っていた抗がん剤副作用対策で重要事項となった栄養の摂り方を確認できる機会につながり、今回の自身の身体を研究材料とした当事者研究から得た大発見だと思っています。
D先生の言葉をお借りすると「すべて代謝学で説明できる」のです。
栄養学を学んできていない医師の中には、制吐剤(吐き気止め)でも抑えられなかった吐き気が食べ方の工夫で軽減した、と話すと全面的に否定される方がいます。
A先生はじめ、今までご担当くださった先生方にはいらっしゃいませんでしたが、“抗がん剤の吐き気はそんなことで抑えられるものではない、薬でなければ無理だ”というような表現で否定された方がいらっしゃいました。否定したい事情が何かあるのか…と疑いたくなります。
この方が、がん治療を経験したことがある先生かどうかは知りません。薬以外の対策を研究した結果の言葉なのかもしれません。
人って、知らなかったり分かっていないと簡単に否定できたり文句を言えたりできるものですから、もしかしたら知らないだけかもしれません。
食べることがどれだけ大切か、食べられないときはどのような工夫があるか、人間の身体は食べ物でできているという当たり前のことなど、がん治療を通して栄養と代謝の大切さを改めて感じています。
“博士”と呼んでいる生物学博士の知人が、重要なポイントは、「栄養は大事。でもどんなに栄養を摂っても身体を動かさないとエネルギーにはならない」とおっしゃっていました。
この言葉がきっかけで、抗がん剤の副作用に対するエネルギー供給の方法を意識できるようになりました。