がん様々 15 聞いてないよ…的な副作用の連続
がん患者による、がん患者のための、
がん治療マニュアル
3章 抗がん剤治療•後半戦
3 ドセタキセル&ハーセプチン第1回目痺れ・発熱・痒みの観察①
点滴の注射名は、炎症や免疫の反応を抑制するデキサメタゾン、抗がん剤のドセタキセル、分子標的薬のハーセプチン、生理食塩水の4つです。
どのような副作用が起きるか知りたくて、吐き気対策の栄養摂取以外の対策は取り入れなかったこの回の主だった副作用は、末梢神経障害、発熱、薬疹、それに伴う激しい痒み。
何の対策もない副作用症状の出方は、さすがに激しかったです。
先に書きましたように、AC療法の初回も、初体験で何が起きるか分からず何の対策もできなかったため、副作用をモロに受けました。
やはり、対策無しで抗がん剤治療を過ごしていくことは、経験しなくても良い苦痛を経験することにも繋がるのです。
ドセタキセルの副作用である末梢神経障害による手足の痺れ。一般的には、手袋と靴下の範囲に起きやすいといわれています。まさに、そんな感じでした。
痺れは、後に痺れ緩和方法の発見に繋がったのですが、この経験は、施術家としての宝の1つになっています。「施術家は、病んだ者勝ち」、整体の学校へ通っていた頃から言っていたことですが、年月が経てば経つほど、経験すればするほど、この意味は大きく貴重なものになっていきました。
治療1回目の末梢神経障害においては、様々な症状が現れました。
特に踵の前方の痛みが強く、地につけて歩くことができなくなり、つま先でしか歩けない状況になりました。その変な歩きは、腰痛にまで繋がっていきました。
当時は、初体験の症状に何事が起きているのか想像が繋がらず、対処の術を見つける間もなく悪化していきましたが、同じ薬で治療を行なっている現在の治療では、この経験が最大限に活かされ、生活への影響はほぼ無く過ごせています。
この対処法は、日々のストレッチに限ります。治療開始の前から行なっておくと、尚良いです。それは、寝ながらできること、誰でもできる小さな動きでできること、どなたかが手を貸してでもできることです。
医療現場でも、末梢神経障害にはストレッチが効果的、というのは認識されていますが、効果的な内容の明示までには至っていないと思いますので、内容については、いずれ動画でご提供できればと考えています。
後半の治療は発熱を伴うことも多くありました。この発熱には、幾つかパターンがあります。
ハーセプチン投与の初回初日に起きる反応性の発熱、頭痛も伴いました。
ドセタキセルの副作用である骨髄抑制により白血球が低下し、それに伴いウイルスや細菌、カビなどの病原体への抵抗力低下が生じるのですが、それにより感染症を起こすことでの発熱。
また、その低下した白血球が戻っていくシーズンに起きる免疫反応による発熱。
感染症による発熱は、急激に状態を悪くする可能性があり、抗菌剤や解熱剤を用いて熱を下げにいく必要があります。抗生剤や解熱剤服用の目安の体温は、38度以上です。
免疫反応による発熱は、免疫機能のバランスを保つための反応であり、必要な時に発熱するため、突如として体温が上昇し、突如として下熱していました。
私の普段の平熱は36.8度ですが、このシーズン中の平熱は37.2度と少し高めであり、体温が36.5〜37.7度くらいの間を急激に上がったり下がったりしていたので、まともには付き合っていられず放置プレイです。
研究をしてなければ、こんなにも熱を計ることはなかったため、計っていなければ免疫反応による発熱にはあまり気付かなかったかもしれません。
人生でこんなに頻繁に、それも容易に発熱したことは初めてでしたが、抗がん剤による骨髄抑制の流れからくるものと原因が分かっていたし、免疫反応による発熱はウィルスや菌に冒されての反応ではないので、現れる症状を少しでも多く感じ取りたい気持ちが勝っていました。
この熱は、インフルエンザや風邪を引いたときのような悪寒や強い筋肉痛、皮膚痛など、身体がウイルスや菌と戦っていることで起きるような痛みが起きません。感染しているわけではないので、熱が高いことに伴う症状のみでした。
がん治療中の人は、「必要な栄養を摂れているか」「適度に身体を動かしているか」が副作用をうまく乗り越えられるかどうかを大きく左右する、と思っています。
美味しく食べられていると尚良いと思うのですが、なかなかそういう訳にはいかない方も多いですよね。しかし、副作用に陥りにくい身体を事前に作る意識をしておくことが、その“尚良い状態”に導いてくれると思うので、治療前からの栄養管理、身体を適度に動かしておくことは、大切にしていただきたいと切に思います。
予防策です。
治療の最後まで、とにかく重視したのは「栄養を摂ること」と「たんぱく質の摂り方」「身体を適度に動かすこと」でした。食べられない方はインナーパワーなどに頼ればよいのです。
ちなみに、たんぱく質は「アミノ酸スコア」が100の食材を意識して摂っています。
抗がん剤が、戦えない私のために戦ってくれているのです。
私が患者として自分のためにできることは、それをサポートすること。
抗がん剤投与中だろうが何であろうが、どんな環境を与えられても、細胞は栄養がないことには始まらないのです。身体は細胞の塊です。
どんなに健康でも、栄養なくして正常な状態をキープはできないのです。
2日目の夜は、脚を上げて寝た際、左足中指と薬指が何に反応しているのか!?痙攣しているようにピクピクと無意識下で動き、空(くう)を押すように自然と力が入るような症状が起きていました。
この時はまだ、この先に待っていた関節痛に繋がっていくとは知らず、おもしろい反応も起きるものだな、くらいに流していました。
3日目は、抗がん剤ACの初回の数日後に起きたのと同じように、視界半分(今回は右側)の枠部分がチカチカネオンのように、ダイヤモンドの輝きのように、光る反応がありました。
たぶん…きっと想像できる方はあまりいらっしゃらないと思うのですが、網膜の半分が影響を受けている感覚です。半分だけ、光を異常に感じ取り光っているように映っていたのです。
時には、それが視界の邪魔になり、目に映るものが見にくい時はありました。
これがACのときは視界の左半分、この時は右半分で起きました。ただ、この症状は長続きせず、一時的なものです。
現在の治療時にも起きています。今回は以前より頻繁に、治療回数を重ねる毎に頻度は増えていますが、一度の症状が長続きしないので、邪魔ではありますが見流しています。
5年前の経験で、いずれ症状が無くなるのは分かっているので、日にち薬に頼るのも、対策の一つでしょう。
症状が落ち着かなければ、またそのときに考えます。
次回『ドセタキセル&ハーセプチン第1回目痺れ・発熱・痒みの観察②』へつづく