スタバの熱い接客を受けた話
スターバックスカフェは、店員さんの能力が高いことで有名である。能力が高いというのは、接客スキルが高いということだ。
つまり、利用する顧客のことを第一に考えてくれる"心地の良いカフェ"なのだ。
しかし、裏の顔は恐ろしい。特に女性には天敵となる糖分の化け物を期間限定でばら撒いている。見た目や匂いに釣られて、数々の人が集まるのだ。
「待て!!正気を取り戻すんだ!!止まってくれ!!」と力の限り叫んでいるが、思考が止まったかのようにスターバックスと書かれた自動ドアに吸い込まれていくのだ。
さて、そんな冗談は置いておいて、僕はある日にスタバに向かった。
カスタムやら期間限定やらに興味がない僕は、毎回シトラスティーのアイスを頼んでいる。
同じようにシトラスティーを頼んで支払いを済ませると、なにやら変わったレシートがでてきたらしい。
「お客様、レシートでアンケートが当たりました。こちらはご存知ですか?」と聞かれた。
そこまで頻繁に利用していないからか、初めてのことで戸惑いながら「いいえ、分かんないです」と答えた。
「こちらのアンケートに答えてもらって、表示された番号を記入いただければ、次回Lサイズの飲み物を無料で差し上げます。時間がある時にぜひ」
ランダムにでるレシートらしい。当たりを引いたみたいで少しだけ気分が良くなった。
さらに50円引きとかトッピング無料とかではなく、Lサイズ1つが無料なのだ。だいぶ大きいサービスな気がする。
そう考えると、また少しだけ気分が良くなった。
財布に入れた割引券やレシートを覚えていた試しがない。
数週間経ったある日のこと、チラッと財布から落ちたレシートを見ると、スタバで当たったレシートであった。
利用期限が明日まで迫っていた。せっかくならば使わなけばもったいないと、スタバまで足を運んだ。
「これって使えますか?」とレシートを提示すると、「使えますよ!」と元気よく応えてくれた。
それならばと、注文しようとした矢先、
「こちらのLサイズや、この期間限定のLサイズも利用できますよ!こちらのトッピングも追加できます!!何でもLサイズであればいけます!!」とおすすめをされた。
し、しとらすてぃーで良いんだけどな…と思いながら、最後まで紹介を聞いてしまった。申し訳ないなと思い、他の選択肢に悩むフリをしながら「し、シトラスティーで…お願いします」と言った。
「シトラスティーでよろしいのですか??」
よ、よろしいのです、すみません、シトラスティーにさせてください…
「こちらの果実増が付けられるのでつけておきますね!!!!」
「は、はい、ありがとうございます!!」
釣られて声を大にして答えてしまった。
当たったレシートが珍しいのか、アンケートに協力した相手に手厚いのか、このスタッフの熱量が高いだけなのか。せっかくの無料なんですから限界まで高く使ってくださいよ精神なのか。
店の外が眺められる入り口横のカウンターに座りながら、いつもより少し果肉多めのシトラスティーを飲んだ。少しだけ気分がよい。
ガラスの向こうには、看板に立てかけてあるスタバのメニューを見ながら悩む2人の女性が見えた。
2人は吸い込まれるように、スタバの自動ドアに進み、こちらの世界に入り込んできた。
なんだか少しだけ気分がよくなった。