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経験にも学び、歴史にも学ぶ。

私事ですが、先日長男が小学校に入学しました。

朝早くに見送るこちらには気にも留めず、友達と連れ立って楽しそうに歩いていく姿はなかなか感慨深いものです。

そんな長男は入学したばかりということもあって、慣らし期間の短縮時間割で学校生活を送っています。

給食を食べたあとは、まだまだ体力を持て余して帰ってくるのです。

先日、そんな帰宅後の長男と家の目の前のグラウンドで遊んでいたときのことでした。

長男がラグビーボールを持ってきて「スクリューパスを教えて」と言ってきたのです。

長男は、父親がラグビー選手なので、普通以上にはラグビーが身近な存在であることには違いありません。

でも母親が美大出ということもあり、絵を描くのも好きです。

僕がよく本を読むので、読書も好きです。

何よりラグビーに触れることを強制していません。

むしろ親としては、色々な物事に触れてほしいと思っています。

それはスポーツも同じで、この日もテニスボール、フットサルボール、ラグビーボール、フリスビー等色々なものを持参していました。

最近のお気に入りはフリスビーで、投げるのも捕るのもできるようになったので楽しいみたいです。

あとはNETFLIXで見てハマっている「SLAM DUNK」の影響でフットサルボールでバスケをしたり、友達とよくやっているドッジボールの特訓をしたり、という長男にはラグビーボールの扱いが難しいらしく、他のボールに比べると出番が少なめです。

で、そんな長男が「スクリューパスを教えて」ときたわけです。

ラグビーの素晴らしさを十二分に知っている僕は、その思いにしっかりと応えてあげたいと思いました。

それはもう懇切丁寧に教えてあげました。

否定的なことは言わず、決して声を荒げたりなんてせず、

僕の持てる教育的理論、ラグビー理論、全てを総動員して臨みました。

結果、10分ほどボールを投げた長男は
「僕、そろそろ友達と遊んでこようかな」
・・・轟沈。

何が間違っていたのでしょう。

子育ては理屈だけで語れない部分がたくさんありますが、

思うに、

「楽しむ」ことが足りなかった、

のではないかと。

小学一年生、たった6歳の彼にとって「スクリューパスを教えて」は言葉通りの意味ではなかったかもしれないです。

本当に「スクリューパスの投げ方が知りたかった」のか「ラグビーボールを使って楽しく遊びたかった」のか、おそらく後者でしょう。

初心者向けのラグビー体験会や、子ども向けのラグビー教室の講師役は今まで何度も経験してきました。

どちらもスポーツやラグビーの入り口であり、「楽しむ」ことを主眼に置くのが大事であることは理解しています。

そう、頭では分かっていたのです。

ビスマルク風に言えば、すでに歴史には学んでいたのです。

今回改めて、経験にも学ばされました。

ご存知でない方のために紹介すると、

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」

というのはドイツ帝国の初代首相であるビスマルクの言葉です。

要は、痛い目見たり骨の折れる経験をしたりしながら学んでいくのは愚者のすることであり、賢者であるならば先人の知恵や知見を活かし、失敗を未然に防いだり物事を要領よく進めることができるでしょう、ということです。

僕は高校で世界史を勉強していたときにこの言葉を知って以来、この言葉が結構好きです。

と言うのも、僕自身大切なことを人に教えてもらったり、本を読んで知り得たりしてきたと思っているからです。

高3のとき、地理の受験勉強をするにあたって、地図帳を参考書にしていました。

ボロボロになるまでページをめくり、書き込みだらけになった僕の地図帳は、今でも世界一の地理の参考書だと思っています。

楽しくて受験に必要ないところまで勉強していたことを覚えています。

地図帳を眺めるだけでも、地形の成り立ち、地域の特色や文化が生まれた背景等が見て取れます。

それでも世界中、日本中を見て回る「経験」をしなければ知見を広めることはできないのでしょうか。

僕はそうは思いません。

が、

「経験」もとても大事だと思います。

それを改めて今回の出来事で長男から学びました。

頭では理解していたことを、経験して改めて学んだのです。

今後も、世界中の本が僕に色々なことを教えてくれることでしょう。

僕が「我以外皆我師」の精神を忘れなければ、大勢の人たちもまた、僕に色々なことを教えてくれるでしょう。

と同時に、

得た知識について、経験することで多くのことを学んでいくでしょう。

インプットとアウトプットの関係にも似ています。

アウトプットすることでインプットの定着度合いが高まるように、

歴史と経験、そして学びにも同じことが言えそうです。

ただの知識から血肉となる、というイメージでしょうか。

当たり前のようで、意外と盲点。

歴史に学んでいるから自分は大丈夫、自分は失敗しないと思っていると、うまくいかないこともあるだろうし、失敗を受け入れることが難しくなってしまうかもしれません。

ラグビーもそう。

という真理な話。

Just output.

認めました。

長男には悪いことをしたなあ。

また一緒に楽しく遊ぼう。

ではまた。

<山田 龍之介 やまだ りゅうのすけ>
1991.10.12生 釜石シーウェイブスに所属するラグビー選手
東京都立大泉高校でラグビーをはじめる
その後立教大学、NECグリーンロケッツでプレー
2019年釜石シーウェイブスに入団
2020年4月からはプロ選手としてチームに所属
北海道・釧路町出身 岩手県・釜石市在住

最後まで読んでいただきありがとうございます!スキもサポートも嬉しいです!これからもラグビーの空き時間に投稿していきます!