喫煙クリスマス | 超短編小説
こんなに寒い深夜帯に山田は僕を「星を見に行こう」と誘った。
身支度を進める山田の傷んだ毛先は、もう既にマフラーに包まれていた。
「たまにはわざわざ外にタバコ吸いに行くのもいいかもね」
「本当に星見たいと思ってるし」
昔、少しだけ山田と遊んだ記憶のある公園のブランコで星を見た。
山田はずっと「今日は25日だからホワイトクリスマスだ」と言う。
「だって星降る夜とか言うし、星って白く見えるし。じゃあホワイトクリスマスじゃん。でも星って降ってんの?どこで?陽太さん見たことある?」
文句を言う山田は久しぶりに僕を名前で呼んだ。思わずマスクを外して近づいた。
山田もタバコを吸っていたから外していて、
ちょうど良かった。
初めてだった。
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