コロナショックで見つけた新しい道と挑戦
ちょっと遡りますが、ヤマノバコーヒーの新たな展開について記しておこうと思います。
コロナによる仕事の影響が昨年からじわじわきてたのですが、ついに、ダイレクトかつ猛烈なビッグウェーブがぼくのところにもやってきました。
昨年から、コロナの影響でクライアントワーク(ぼくはアウトドアやスポーツ関連の企業のプロモーションやコンテンツ制作の仕事もしていたりします)がどどどどー、と減ってきてました。
少しずつ減る分には、構わないなと思ってたんです。
ここ3年くらいでクライアントワークは0に近づけていって、自分で作って発信するコーヒーや映画などの仕事に完全移行しようともくろんでいたからです。
が、しかし、But...
予想より来るタイミングが早すぎました笑
事業の売り上げの柱だった2つのクライアントから突然の契約打ち切りの連絡が入ります。
あらま、売り上げどうしましょう。コーヒーもまだフルではカバーできる商いになってないし。
それが2020年の秋頃の話。
かなりしんどいけど、加速度マシマシで目論見にむけて走りだせば、よいか!
うん、きっとそのサインだよ、うん。
そう言い聞かせて、これまで手をつけられてなかったコーヒーの商いに関するいろいろな仕事を片付けたり、友人にこれからを相談してアドバイスもらったりしていました。
そして2021年ゴールデンウィーク。
きました、大波が笑
ちょうど4月の半ばにそろそろ在庫がなくなるため、ネパールのウダヤさんにこれまでで一番多い200kgをどどーーんと発注し、送金も済ませ、さあ、あとは成田についたら通関、通関、わっしょいわっしょいという状態で待っていたんです。
そのウダヤさんから突然のコール。
プルルルル...(そんな音しないけど)
「ああ、山本さん?ナマステです。実は、コロナでカトマンズのロックダウンが強化延長されたため、しばらくコーヒー豆を出せなくなりました。200kgは梱包も済んでますが、外出も規制され、空港の税関もしまってます。飛行機も飛びません。申し訳ないのですが、よろしくお願いします。」
頭の中でぐるぐる考えを巡らせながらも、
「ウダヤさん、ナマステ!
そうなんですね、それはどうしようもないですね。。。
どうか無理なさらず、ご健康で!」
としか答えようがありませんでした。
まあ、昨年はロックダウンしても輸入できたし今回も
すぐに再開されるだろうと楽観視してました。
しかし、待ち人は来りません。
2週間たって再延長、そしてまた再延長、再延長。
やばいな。。。。
このままいくと国内在庫がもうもたない。
すべての商いがストップしちゃう。。。
うすうす前から、考えてはいたんです。
1商品のみを1つの国から輸入していることのリスク。
コロナにかぎらず政情不安や天災などで輸入できなくなることが
必ずいつかくるだろう。
どうすべきか? 他の国の豆を増やす?コーヒー以外も取り扱う?
上記の問いへの答えをこのビッグウェーブが、モーレツに催促してきたようです。
ひとまず、メンバーやアンバサダーのみなさん、一部卸先のパートナーの方々に一度供給をストップする旨連絡。みなさん、快諾していただき逆に応援の言葉を多数いただき感激。
そうして考える。考える。考える。
「他の国のコーヒー豆について」
取り扱うものは基本的に、ご縁やつながりとインスピレーションを大切にしたい。
売れそうとかスペック重視な視点では、ラインナップを無闇に増やしたくない。
それに、ネパールじゃなくたって、海外から仕入れる以上はコロナに限らず不可抗力によるアクシデントが必ず起こり得るし。
とはいえタネは撒いてみる。2つほど。
1つめはコロンビアでゲイシャという高級豆を栽培している農家に知人のつてでサンプルを依頼してみる。オーガニックでフェアトレードなコーヒーだ。
2つめはニュージーランドに唯一あるコーヒー農園「IKARUS COFFEE」にコンタクト。
夫婦でコーヒー産地でないニュージーランドに0から農園をおこし、実験しながら栽培し、オンラインやマーケットで販売しているらしい。
まさにソイル・トゥ・カップ!
ソールドアウトしてたので、入荷の連絡待ちリストにアプライしておく。
もしどちらかを輸入することになったら、”ゲストビーンズ”という形からテスト的にやってみようかなと思っています。
(あくまでメインはネパールコーヒー)
「コーヒー以外の商品」
はてさて、コーヒー以外だと何だろう?
紅茶?日本茶?
それともアグロフォレストリー(森林農法。ぼくの扱っているネパールコーヒーはこの農法で自然栽培されている)の何か?カカオ?バニラ?
考えてもどうも行き当たりばったり付け焼き刃的力技な感じがして自分の中で何一つしっくりこない。
であれば、コーヒー器具か?
カップやドリップ用品などなど。
創業時にアウトドアコーヒーの専門店を目指してたことがあって、
アウトドアに特化したコーヒー器具をとも考えたこともあったけれど
これまた腹に落ちなくてやめていた経緯がある。
コロナビッグウェーブとは関係なく、少し前に仕込んでいたオーガニックでフェアメイキングなオーダーメイドTシャツと知り合いの安曇野在住の木工作家キトツチさんとのコラボの木のコーヒーメジャースプーンはまもなく売り出す予定でした。
ということで木製のコーヒー&テーブルウエアブランドを作って専門的に扱ってはどうか?と考えた。
そうだ、うんうん。
そのアイデアは僕が会員にもなっている長野県飯田市のNPO、いいだ自然エネルギーネット山法師で里山保全活動をしているのともつながった。
彼らが伐採した間伐材を使ってコーヒーにまつわる木のテーブルウエアが展開できたらおもしろそうだ!
実際自分でも手を動かして作品を作ったりもしたい。
早速NPOの事務局長に相談したところ、
「できるから、いつでも来てはじめたらいいよ」
とのこと。
長野の拠点は作りたかったから、ちょうど地元とつながる仕事が作れるじゃあないか。と少しコーフン状態に。
そしてそんなことを考えてたらいきなり降ってきました。ダメ押しのアイデア。
「漆(うるし)」
そうだ、コーヒーにまつわる漆器のテーブルウエアがいい!
しかもピッカピカのザ・工芸品って感じのじゃなく、カジュアルにデイリーに使える漆器。
実はぼくは実家が京都で亡き父は生前、西陣織の伝統工芸士だったんです。
漆の。
織物につかう金糸を作る人でした。
和紙に漆を塗り、その上に金や銀の箔を蒔いて模様を作る。
できたその紙を金糸屋さんに納品してました。
(ざっくりすぎますが、そんな感じ)
ぼくが社会に出るときに後を継がなかったのは当時からもう斜陽産業になっていてやめておけと進言されたからで、あっさり選択肢から外してしまい、今に至るのです。
今年、ぼくは50歳になり、父が西陣織の枠を超えて自ら生み出す漆の工芸を晩年模索していたスピリッツをぼくが漆器という形で継いでいけたらうれしいな、そう強く思いました。
漆について調べてみると、国内で利用されている漆の97% くらいは中国産の漆だそう。
しかしながら、最近、国も重要文化財の修復に必要との観点で国産漆の生産に力をいれはじめているらしい。
また日本の漆は、クオリティが高いらしく(本当かな?)、漆器に関しては中世のヨーロッパ人を魅了し、多くの漆器が作られ海外に売られたそうです。
漆は苗を植えてから12年くらい後に、取れる樹液です。
「殺し掻き」といって日本では、取れるようになった漆の木の幹に傷をつけ、その1シーズンだけで漆の樹液を取り切るそうです。取り切った漆の木は伐採され、また1から植林されるということで、超モノカルチャーな林業?!みたい。
そんな様々な情報をごった煮ガンボスープ状態にグルグル脳みそ内で煮込む。
そしてそして決めたんですよ。
漆をアグロフォレストリーで栽培して、精製し、塗る。
漆器の木地の材料も里山の間伐材。
殺し掻きはせずに、長く樹液がとれて木と共存できるやり方を模索する。
国産の漆の森の再生。
漆器のソイル・トゥ・カップ。
森と共にそだつコーヒーを循環する森の漆器で。
腹に落ちたら、走り出してしまう性分のぼくは、早速近所の漆塗りの教室へ通うことにしました。
漆器なんて素人ができるの?
どうやって作るの?
今から修行?
誰が買うの?それ。
他との差別化は?
とか、ネガティブな考えも鑑みたけど、
もう心の底から湧き出てくるワクワクが止まらなくなっちゃったんです。
だから、手探りだけど、新たなスタートです。
そんなことがあったのがつい先日のこと。
6月末にネパールの税関が再開してコーヒー豆も無事入荷。
引き続きそういうことでネパールのコーヒーも広げていきます。
新たにできた羅針盤をもとに、漆器や木工品、ゲストビーンズなどと
あわせて。
追伸:
話はそれますが、伝統工芸って本当に究極の分業制です。
だからこそ、専門的な職人の各技術が結集し、すばらしい作品ができていったんだと思うんです。
でも僕はできる限り全プロセスを自分たちの手を通して仕事する日常使いの漆器を作っていきたいなと思ってるんです。
アウトドアとスローライフのクリエイティブレーベル。自然とつながり、自然を身近に感じることで大切なチカラを取り戻す。自らの意志で自らハンドルを握り、人生を進んでいく。そんな生き方を、映像やイベントとコーヒーを通して提案しています。